2人目の子どもが生まれたら学資保険に入っておくべきか悩むものです。
お一人目のお子さんに準備されていれば、尚のこと同じようにしてあげたいと思うのは当然の親心です。
ここではそんな時、前と同じ内容が良いのか、加入する際はどんな点に気を配れば良いのかについて解説していきます。
2人目の子どもの学資保険に加入するかは、まずは費用と収入のバランスを考えて決定しましょう
冒頭にも述べさせていただきましたが、お二人目のお子様とお一人目のお子様は、学資準備等差別することなく同じように用意してあげたいと思われるのは、親心として当然の事だと思います。
しかしながらそれを用意するためのご家庭の状況は様々な状況変化も加味し、同一ではない場合もあるかと思われます。当然ですが、支出はすべて収入との兼ね合いで決定されると思います。
その点をクリアにした上でどのくらいの額が支出できるかを決定されると思います。
せっかく学資保険に加入されても、途中で支払いが困難になり解約にいたっては意味を成しません。
将来的にも支払い負担をカバーできる事が明らかになった上で、次にどのような保険や手段を活用すればよいかの検討に入ることをお勧めします。
ちなみにこの点をクリアするには、ライフプランの作成がとても有効です。
将来の資金計画や収入シミュレーション、資産状況や将来かかる様々な費用などを数値化、ビジュアル化することで計画が立てやすくなります。
身近にFPの方がいらっしゃれば、この様な相談にも力添えいただけると思いますので是非相談されるとよいかと存じます。
学資保険に加入するメリット・デメリット
そもそも学資保険とはお子様の教育資金の確保を主たる目的としてご加入する保険であり、基本的な保障については一般の生命保険とよく似ています。
少し前までは定額の保険料を積み立てていき運用して、将来の教育資金の確保となる給付金・満期保険金や一時金を増やすことを目的としているものでした。
ただし、昨今の低金利下においてはそれも厳しくなってきており、積立の選択肢も幅広く持つことが重要となってきています。
そのような中、学資保険に加入する場合においてはより一層そのメリット・デメリットをよく見極め採用することが大切です。
メリット
まずはメリットですが、学資保険と名の付く通りこれは保険であり、契約者であるお父様、もしくはお母様が亡くなられたとしても、また高度障害状態になり保険料が支払えない状況になったとしても保険料の支払いが免除され、当然ながら保険金やお祝い金などは当初の設定どおり受け取る事ができるという点です。
預貯金のような場合、積み立てをしているお父様にもしもの事があった場合、計画どおり預貯金を続けることは困難となるでしょうから、これは大きなメリットと言えるでしょう。
また税制面で銀行預金などの貯蓄と異なり生命保険料控除があり、また受け取り金額においても一時所得控除の対象となります。
大きなポイントは、預貯金のように簡単に引き出してお金を使うという事ができない点です。
いわゆる強制貯蓄として、お金を引き出すことに少し制約が入る事で目標時期まで計画的に資金確保ができるといった点もメリットといえると思います。
デメリット
デメリットは、医療保障など付加されている保障型は元本割れをする場合があります。さらに昨今の低金利状況下、そういった保障が付加されていない場合でも元本割れとなる商品もあるという事です。
ほかの選択肢を活用するといった点もこのような状況下で多く見られるようになりました。
また先にも述べましたが、契約者となる親御さんに万が一のことがあった場合の保険という意味あいから、その親御さんの健康状態如何では加入することができない可能性もあるという事です。
保険を活用して貯蓄という意味合いからも、メリットの意味合いと反する部分、流動性は預貯金より劣ります。
期間途中での解約はほとんどの場合払い込んだ額よりマイナスとなります。
加えて、お子様がある程度の年齢になった場合は加入できないこともあるので加入時期といった点での制約もある事がデメリットと言えるでしょう。
2人目の子どもの学資保険に加入する際のポイント
お二人目の学資保険採用の折、意識しておかなければならないポイントについていくつか記載しておきます。大切な事はお一人目のお子様との加入時期の差によって(年数が経っている場合特に)、更に意識する必要性が高くなることをご理解しておいてください。
ライフプランを立てておく
まずは収入と支出の中でどれくらい積み立てられるか、どの程度の教育資金が必要なのか、いつ必要になるのかを理解しておく事、その上で将来学資以外にもどのような資金が必要になってくるのかを知っておくことが大切です。
以前、費用についてお話ししておりますが、文部科学省の調査によると、小学校 約211万円(公立)、約999万円(私立)、中学校 約161万円(公立)、約430万円(私立)、高校(全日制) 約154万円(公立)、約315万円(私立)となっています。
参照:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」
https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-000026656_1a.pdf
この後に最もお金がかかる大学進学にかかわる費用となる訳です。
国公立大学で 481.2万円、私立大学(理系)に至っては821.6万円となり、ここまですべて公立学校で約1,007.2万円、すべて私立(理系)となると約2,565.6万円という大きな金額が必要となります。これらの費用に関して、どれくらいを学資保険で準備するのか、漠然と金額を決めるのではなく、これだけ大きな費用となるのですから、生活設計(ライフプラン)の中で家庭での収入、他の支出などと合わせて計画することが重要かと思います。
参照:日本政策金融公庫「令和3年度『教育費負担の実態調査結果』」
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf
ライフプランを立てることにより、将来の資金繰りが事前に予想でき、無駄な出費を抑えたり貯蓄計画が挫折することなく進行したりするメリットが生じてきます。
またライフプラン設計により、家族で情報の共有化ができるという点でもメリットは大きいと思います。 余裕があるうちに是非作成してみてください。
学資保険やライフプランについては以下の記事もご参照ください
安易に1人目の子どもと同じ保険にしない
先にも述べましたが、お一人目のお子様と同じ状況であることは稀だと思います。金利状況、また収入環境、生活スタイル等々様々な条件が異なっている場合にはそれに応じたプランの採用が大切です。
くれぐれも学資保険加入の折「一人目がA社の学資保険だったから、二人目も同じ内容で」といったご依頼をされることの無きよう、ご注意ください。(以前と同じ内容の学資保険が販売停止となっている場合も少なからずございますので。)
昨今の低金利下においては、教育資金の為の運用もいろいろ選択肢があります。
つみたてNISA、変額保険等を活用し、リスク分散を考慮して同年代のお子様お二人に同時加入する場合でも商品を変えて採用する方法も必要かと考えます。
兄弟割引の特典がある保険を検討する
同じ会社を選択する場合のメリットとして稀なパターンですが、契約者が同一であるなどの条件をクリアすれば、兄弟割引という特典を用意している会社もあります。
ご兄弟の多い家庭で、学資保険を検討される場合などは候補として検討されても良いのではと考えます。
ファイナンシャルプランナーに相談する
学資保険のように将来の資金確保のための貯蓄を考える場合、目標を明確にすることが大切です。例えば大学費用として300万円までは学資保険で準備するー といったようにです。
ゴールが明確ではない計画は達成できません。ゴールが明確になれば目標達成のためには今月から毎月幾らの貯蓄を開始するといった具体的な計画が生まれてきます。
しかしながら、一年先といった身近なゴールではなく10年以上先のゴールとなると、途中様々な障害も発生すると思われます。
事前にどのような障害、資金需要が発生するかを理解した上で、ご家庭の収入と照らし合わせて計画達成していくことが、手段である学資保険のような商品選択よりも実はより一層大切な事なのです。
この計画が出来て初めて手段としてどのような商品、あるいは学資保険を採用するかが明確になってくるのです。
ただ、このような計画は一般の方が作成することはなかなか困難ですが、身近にFPの方がいらっしゃればきっと相談に乗ってくれるはずです。
子供のために学資保険に加入したが途中お金が必要になったから解約した。といった事にならないよう是非FPの方に相談され、その上でライフプランを作成した上でどのような学資保険、あるいは他の手段を選択するかを決定される事をお勧めします。
まとめ
当初の二人目の子供のために学資保険は必要か?といったお題項目と少し話がずれたかもしれませんが、親である以上お子様には公平に準備をしてあげたいと思われるはずです。
ただ、その準備については全く同じ内容で用意する事が重要ではないという事をまずはご理解いただけたでしょうか。
目標であるゴール、その到達に対する資金準備を同様にしてあげる事が大切であり「その手段は時期や環境によって変化するものだ。」ということ、そしてその手段については選択肢が学資保険以外にもあるという事をご理解いただければ幸いです。
その上で、お二人目のお子様の教育資金準備に限らず、少し遠い将来の資金準備を計画するときはライフプランを作成することが実は重要であり、その計画を遂行していく事が目標達成の近道である事ご理解頂ければ幸いです。