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学資保険は必要? 不要?

学資保険

この記事を書いた人

吉本 忠男(ファイナンシャルプランナー)

京都生まれ、京都在住。1994年大学卒業後、銀行に入行。個人顧客への住宅ローン相談、法人顧客への融資業務など幅広い銀行業務に携わる。ある出会いがきっかけで、外資系生命保険会社へ転職。「一度しかない人生を少しでも安心して豊かに過ごして頂きたい」をモットーに、出会った方には全力かつきめ細かく家計相談やライフプランニング、個人保険販売を行う。12年の勤務の後、お客様への幅広い提案を求め現在に至る。プライベートでは4人の男の子の父親であり、教育・住宅・老後・家計簿診断など生活に密着した相談を得意としている。ほけんペディアにおいても、金融、住宅、子育てなど、自身の経験が生かされた記事が多い。また、マネーに関するセミナー講師をつとめるなど幅広く活躍中。
■保持資格:トータル・ライフ・コンサルタント
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子供が生まれると18年後の大学進学の教育費用について不安を持たれている方も多いのではないでしょうか。

その為に学資保険に入らなくてはと思われ、学資保険とはどんなものなのか検討される方も多いと思います。

そんな学資保険に不要論があることをご存知でしょうか?

ここでは、学資保険が必要か不要なのか確認していきましょう。

子どもの学費はいくら必要なもの?

子どもの学費はいくら必要なのかについて、小学校から高等学校までの12年間の学習費総額は以下の通りとなっています。

公立 私立
小学校 約211万円 約999万円
中学校 約161万円 約430万円
高等学校(全日制) 約154万円 約315万円

参照:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果」について
https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-000026656_1a.pdf

この後に最もお金がかかる大学進学にかかわる費用となる訳です。

国公立 私立
大学(文系) 約481万円 約689万円
大学(理系) 約481万円 約821万円

参照:日本政策金融公庫「令和3年度『教育費負担の実態調査結果』」
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf

ここまですべて公立学校で約1,006万円、すべて私立(大学理系)となると約2,567万円という大きな金額になってしまいます。コツコツと無理なく貯めていくことが大切です。

学資保険が不要といわれる理由

そもそも学資保険とはなんでしょうか。

振り返ってみましょう。

学資保険の機能として一般的に皆さんがご存じなのは子供の教育費を貯める貯蓄機能です。

あともう一つは子供や親に万が一があった際に保険金が出る保障機能です。

つまり学資保険は単にお金を積み立てていく以外に契約者や被保険者の保障もついた保険ということです。

その学資保険が不要といわれる理由はなんでしょうか。

・学資保険の利回りが低い。

これがやはり一番の理由じゃないでしょうか。

保険の予定利率が低い今現在ですと18年固定の金利で掛けていくため思ったほど増えません。

これに保障機能を充実(親が万が一の際の育英年金や子供入院保障など)させると元本割れもありえます。

・18年間という比較的長期にわたり資金が拘束されることに加えて、仮に途中で解約すると元本割れをしてしまう可能性が高い。

以上のことなどから学資保険が不要ではないかと考える方もいます。

学資保険のメリット

上記のように学資保険不要論が言われますがメリットはなんでしょうか。

貯蓄性が高い

そうは言っても積立に特化したら保険料の払い込み以上に積み立てられる貯蓄性の高さはメリットになります。

加えて預貯金であれば微々たる利息に対しても20.315%の税金がかかります。

一方で、学資保険の祝金や満期保険金については一時所得になるため払い込んだお金より50万円以上増えなければ税金がかかりません。

これも低金利の昨今では見逃せないポイントかもしれません。

あと年末の保険料控除対象になるのでお金が貯まりながら税金還付を受けられるのも嬉しいですね。

この戻ってくる税金を支払い保険料で割って利回り計算しますと意外に良いんです。

強制的な貯蓄効果

貯蓄は得意ですか、と聞かれて自信満々にハイと言えない方も多いのではないでしょうか。

通帳に残高があれば使ってしまったりついつい目先のことに目がいってしまいがちで、10年以上先に向けて計画的にお金を貯めていくなんてなかなか難しい話です。

そんななか学資保険は、大学進学という18年後の一般的にお金がかかるタイミングをゴールにして、定期的に貯めていくので通常の預貯金と違いその他の用途に使うことも少なくなるでしょう。

またお子様の名前が出てくるのでなかなか解約しにくいという点や、必要な金額から逆算して貯めていけば、この学資保険さえ継続すれば大学資金を貯め終わったと思えるのも良い点かと思います。

保険料払込免除特約

学資保険の契約者(例えば親)が亡くなった場合に、その後の保険料を支払わずとも予定していた保険金を受け取ることができるのが払込免除です。

もし稼ぎ頭である方が亡くなっても、その方が契約者であれば学資の積み立てをしなくても大学進学資金が準備できるのは非常に大きなメリットかと思います。

学資保険に加入する際の注意点

学資保険は、金融商品であって万能ではありません。要注意点をみていきましょう。

途中解約をするとマイナスが生じる

学資保険は、18年後に満期を設定することが一般的です。もしそれまでに入用で解約などをされますと元本割れといって掛けてきた保険料より解約払戻金の方が少ない状態になることがあります。

保険会社から貰った設計書などを良くご覧頂きマイナスが生じないか。また保険解約以外に選択肢がないかお考え下さい。

元本割れする商品もある

学資保険に求めるのは一般的に貯蓄効果です。ですので、お子様の進学時に幾らくらい増えているのかをしっかりご加入前に確認しましょう。

学資保険にはお子さんの医療保障や契約者である親が亡くなった時の育英年金がセットになっているものがあります。

その保障部分の保険料は、貯蓄効果がないので学資保険の貯蓄にブレーキをかけてしまうことがあります。

結果18歳時に元本割れをすることがありますので貯蓄に集中できるよう不要なものがあれば外せるかなど確認して頂くことが大切です。

誰でも加入できるわけではない

学資保険は、その名の通り保険です。保険ですので告知といって健康のチェックがあります。健康状態に心配なことがある場合は、事前に確認しておきましょう。

学資保険が向いている人

先程、メリットにあたる「強制的な貯蓄効果」の欄でも書かせて頂いた通り、「貯蓄が得意ですか?」の質問に「いいえ、苦手です」とお答えになるような方、お金の管理が苦手な方には向いています。

途中で解約しにくいようにまた貯めていく原動力の為に保険証券にお子様の写真を貼っておくと更に効果倍増です。

学資保険に入る必要のない人

もうすでに教育費の準備ができている方は勿論ですが、教育費の貯め方は、学資保険だけではありません。

昨今ですと様々な資産運用商品や運用方法があります。

低金利でかつ固定金利の学資保険ではなく自分で積極的な資産運用ができる方は学資保険に向いていないと言えるでしょう。

あとその場合忘れてはいけないのは、払込免除のメリットを補う万が一の際の保障をしっかり準備できていることが必要です。

学資保険以外に学費をカバーできる保険とは?

学資保険以外でも貯蓄効果がありそのお金を教育費に利用できる保険があります。見ていきましょう。

外貨建て保険

外貨建て、つまり円ではないということです。主流は、世界の基軸通貨である米ドル建てが多いようです。

外貨建てが選択肢に出てくるのは今の円建ての商品の予定利率が非常に低いのに対し、外貨建ての予定利率は比較的高いことにあります。

ただ良いことづくめではありません。外貨建ての商品は、為替手数料などがかかりますし、その保険料、解約払戻金や保険金が外貨の為、為替によって円高なタイミングや円安のタイミングがありそれらの受け取り時に金額が変動します。

自分が必要な時に必ず良いタイミングになるとは限りません。そのような変動要素もあるのでその点をしっかりと理解してご検討ください。

低解約返戻金型終身保険

この商品は、まず保障の観点で見ていきますと一生涯の終身の保障になります。被保険者つまり保険の対象を親にしておくことで亡くなった場合その死亡保険金を教育費に充当できる為育英年金的な利用ができます。

次に解約払戻金をみていきます。保険料払込期間中は、低解約払戻金型つまり解約払戻金を抑え払込終了時に解約払戻金が跳ね上がる商品です。

その跳ね上がった解約払戻金を必要なタイミングで教育費に使う形になります。払込期間を10年、15年と短期に設定することで大学入学などのタイミングである18年目には、解約払戻金が払込保険料の総額を上回る金額になります。

まとめ

お子さまが生まれると学資保険のご加入について多くの方が悩まれると思います。

学資保険も万能ではありませんし、必ず加入しないといけないものでもありません。

お子様の教育費にどれくらいの金額が必要になるか。そのお金を今から貯めていくのか、借りるのか、お子様に借りてもらうのか(奨学金)など、ご夫婦でライフプランを作り優先順位に基づいて考えていくことが必要になります。

ご家庭に応じた計画で無理なくしていくことが大切です。

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