子どもが産まれて、その喜びとともに、「子どもの教育費って、いったいいくらかかるのだろう???」という疑問と不安を抱かれる方も多くいらっしゃるかと思います。
特に、いわゆる、学校教育費の準備とその貯蓄計画など、どのようにしていったら良いのか・・・気になるところだと思います。
ここでは、学校教育費(授業料など)と、学校外教育費(学校以外にかかる学習塾や習い事など)も含めて、学校段階別に平均的な教育費について解説をしていきます。
学費・教育費総額の平均
ここでは幼稚園から大学(自宅通学の場合)までの平均的な教育費について一覧にして解説していきます。
なお、このデータは、幼稚園(公立・私立)~大学(国公立・私立)までの学校教育費・学校給食費等を加味した数値となっています。
幼稚園 | ||
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公 立 | 670,941円 | 学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計 |
私 立 | 1,583,748円 |
小学校 | ||
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公 立 | 1,927,686円 | 学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計 |
私 立 | 9,592,146円 |
中学校 | ||
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公 立 | 1,465,191円 | 学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計 |
私立 | 4,219,299円 |
高 校 | ||
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公 立 | 1,372,140円 | 全日制の金額 |
私 立 | 2,909,733円 |
大 学 | ||
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国 立 | 2,425,200円 | 入学金・授業料 |
私立(文系) | 4,412,795円 | 入学金・授業料・施設設備費・実験実習料・その他 |
私立(理系) | 6,007,009円 | |
私立(医歯系) | 22,735,422円 |
昨今、首都圏を中心に、小学校あるいは中学校から私立に入学させるケースも多く、学校教育費および学校外教育費が高額になっている傾向にあります。
また、高校では公立・私立の学校教育費に大きな開きが生じ、公立・約140万円に対し私立では約300万円になっています。
さらに、大学についても、国公立に比べ私立の学校教育費は高額になっています。
特に私立(理系)や私立(医歯系)になりますと、さらに高額な学校教育費が必要となります。
子どもの進路によって学費・教育費には大きな開きがあるのがお分かり頂けたかと思います。
特に、公立と私立との開きが大きい小学校・中学校の学費・教育費については、早い時期から高額な教育費支出になりますので、ご家族内で教育にかける資金についてしっかりと協議をして進めていくことが重要になります。
一方、児童手当や、高等学校等就学支援金、各種奨学金などの制度もあります。こうした制度を上手に利用することで、ご両親の負担軽減にもつながります。
参照:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査(調査結果の概要)」
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf
文部科学省「国公私立大の授業料の推移」
https://www.mext.go.jp/content/20211224-mxt_sigakujo-000019681_4.pdf
文部科学省「令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
https://www.mext.go.jp/content/20211224-mxt_sigakujo-000019681_1.pdf
学費・教育費の内訳と平均額
幼稚園~高校までの学費・教育費の内訳と平均額については、文部科学省『平成30年度子供の学習費調査』より、保護者が支出した1年間・子ども一人当たりの学習費総額のデータを下記に掲載します。
また、大学については『令和3年度教育費負担の実態調査結果(日本政策金融公庫)』のデータおよび、『令和2年度学生生活調査結果(日本学生支援機構)』のデータを元に掲載します。
幼稚園の教育費の内訳と平均額
以下の表は、幼稚園の教育費の年間平均額です。
区 分 | 公 立 | 私 立 |
---|---|---|
学習費総額 | 223,647円 | 527,916円 |
内)学校教育費 | 120,738円 | 331,378円 |
内)学校給食費 | 19,014円 | 30,880円 |
内)学校外活動費 | 83,895円 | 165,658円 |
幼稚園の教育費については、公立の学校教育費・約12万円に対し、私立学校教育費・約33万円と3倍近い開きがあります。また、学校外教育費についても、公立・約8.4万円に対し、私立・約16.6万円と2倍程度の支出が見られます。
学習費総額で、公立と私立では年間約30万円の開きがある点も幼稚園における教育費の留意点になるかと思います。
小学校の学費の内訳と平均額
以下の表は、小学校の学費の年間平均額です。
区 分 | 公 立 | 私 立 |
---|---|---|
学習費総額 | 321,281円 | 1,598,691円 |
内)学校教育費 | 63,102円 | 904,164円 |
内)学校給食費 | 43,728円 | 47,638円 |
内)学校外活動費 | 214,451円 | 646,889円 |
小学校の学費についても、幼稚園と同様に公立と私立では学校教育費と学校外活動費の支出金額に大きな開きがあります。
学校教育費については、公立・約6.3万円に対し、私立・約90万円。学校外活動費については、公立・約21万円に対し、私立・約65万円となっています。
中学校の学費の内訳と平均額
以下の表は、中学校の学費の年間平均額です。
区 分 | 公 立 | 私 立 |
---|---|---|
学習費総額 | 488,397円 | 1,406,433円 |
内)学校教育費 | 138,961円 | 1,071,438円 |
内)学校給食費 | 42,945円 | 3,731円 |
内)学校外活動費 | 306,491円 | 331,264円 |
中学校の学費については、公立と私立では学校教育費の支出について最も大きな差があることが分かります。
公立・約14万円に対し、私立・約100万円となっています。
高校の学費の内訳と平均額
以下の表は、高校の学費の年間平均額です。
区 分 | 公 立 | 私 立 |
---|---|---|
学習費総額 | 457,380円 | 969,911円 |
内)学校教育費 | 280,487円 | 719,051円 |
内)学校給食費 | ― | ― |
内)学校外活動費 | 176,893円 | 250,860円 |
(※全日制のデータ)
高校の学費については、公立の学校教育費約28万円に対し、私立・約72万円となっており、約2倍強の支出となっています。
ちなみに、都立高校の初年度納付金は、124,450円(入学金等5,650円・授業料118,800円)に対し、都内私立高校では、平均で945,522円となり、最高額は1,912,500円(最低額は、723,800円)となっています。
こうしたことからも、高校については、進学先によって学校教育費等に大きな差が生じる傾向にあることが分かります。
参照:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査(調査結果の概要)」
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf
都立高等学校、中等教育学校(後期課程)の授業料・入学料及び特別支援学校高等部の授業料について
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/tuition/tuition/tuition.html
東京都 「令和4年度都内私立高等学校(全日制)の学費の状況」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/12/09/13.html
大学の学費の内訳と平均額
大学の学費は、上記資料の通りですが、一方、『令和2年度学生生活調査結果(日本学生支援機構)』のデータより、短期大学および、修士課程・博士課程・専門職学位課程別の一人当たりの学習費総額について掲載しておきます。
内訳として、学校教育費(※1)と課外活動費(※2)についてまとめたデータとなります。
国立大学
区 分 | 短期大学 (昼間部) |
修士課程 | 博士課程 | 専門職 学位課程 |
---|---|---|---|---|
学習費総額 | ― | 583,200円 | 560,100円 | 654,000円 |
内)学校教育費 | ― | 495,600円 | 395,200円 | 533,800円 |
内)課外活動費 | ― | 87,600円 | 164,900円 | 120,200円 |
(※1)学校教育費・・・授業料、その他の学校納付金。
(※2)課外活動費・・・修学費、課外活動費、通学費
公立大学
区 分 | 短期大学 (昼間部) |
修士課程 | 博士課程 | 専門職 学位課程 |
---|---|---|---|---|
学習費総額 | 484,300円 | 620,300円 | 681,400円 | 721,600円 |
内)学校教育費 | 394,600円 | 504,500円 | 481,800円 | 580,700円 |
内)課外活動費 | 89,700円 | 115,800円 | 199,600円 | 140,900円 |
(※1)学校教育費・・・授業料、その他の学校納付金。
(※2)課外活動費・・・修学費、課外活動費、通学費
私立大学
区 分 | 短期大学 (昼間部) |
修士課程 | 博士課程 | 専門職 学位課程 |
---|---|---|---|---|
学習費総額 | 1,092,600円 | 1,073,600円 | 838,900円 | 1,290,300円 |
内)学校教育費 | 966,500円 | 949,900円 | 653,900円 | 1,143,100円 |
内)課外活動費 | 126,100円 | 123,700円 | 185,000円 | 147,200円 |
(※1)学校教育費・・・授業料、その他の学校納付金。
(※2)課外活動費・・・修学費、課外活動費、通学費
大学の学費については、目指す進路や専門性によって、支出する学費にも大きな差が生じています。
上述のように、理系を専攻する学生にとっては、4年制大学以降、修士課程や博士課程に進学するケースも予想されます。
学費・教育費の中でも特に高額になりがちな大学の学費については、時間を味方につけた中長期の学資準備をしていくことが望ましいと言えます。
■『令和2年度学生生活調査結果(日本学生支援機構)』より作者作成
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2022/03/16/data20_all.pdf
まとめ
ここまで、子どもの教育費の平均額についてまとめて来ました。
上記のデータの通り、子どもの教育費は思っていた以上にかかるのではないでしょうか?
幼稚園~大学まで全て公立(国立)であったとしても一人当たりの総額は約786万円となり、全て私立の場合、大学が文系であっても約2,270万円となります。大学が理系や医科歯科系となるとそれ以上となります。
想像はしていても、実際に支出するとなるとかなり大きな金額となりますので、お子様が幼少の時期から計画的に貯蓄をし、将来お子様が希望する進路に対し、親としてしっかりと応えてあげられるよう備えていきましょう。
なお、教育費についての考え方として、「給与から支出する部分」と「貯蓄から支出する部分」を明確にしていくと、より具体的な準備が可能になります。
例えば、上記のグラフのような教育費支出のケースで、オレンジ色線までの支出については、「給与から支出」というルールとした場合、オレンジ色線を越えた部分については、「貯蓄から支出」する部分となります。
このグラフでは、高校入学時と大学入学時から4年間分の教育費については、「貯蓄から支出」する部分が必要となりますので、この給与から支出を越えた部分の金額については、最低限貯蓄をして準備しておく必要があります。
当然ながら、学校外教育費等もかかりますから、このグラフのように単純にはいきませんが、こうした「収支の明確化を図る」という準備こそが、とても大切になってきます。
また、緑色図で示した「積極的に貯蓄する期間」に、いかに計画的な貯蓄が出来るかが重要になってきます。
上記グラフでは、高校を私立高校として試算していますが、お子様の進路によっては、貯蓄出来る期間が短くなるケースも出てきますから、「時間を味方につける」ためにも、実際に教育費がかかる幼稚園入園前からコツコツ準備をしていくことが、「将来を確定する」ことに繋がります。