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出産費用の平均額はどのくらい? 自己負担額を抑える方法も解説!

ライフプラン

この記事を書いた人

橘 美穂子(ファイナンシャルプランナー)

1997年大学卒業後、外資系金融機関に新卒入社。契約管理部門から営業部門へ。女性の少ない営業現場で、女性ならではの気配りや丁寧な対応でクライアントから絶大な信頼を得て営業部門初の女性管理職となるも、よりお客様に寄り添ったコンサルティングがしたく2014年に転職し現在。マネーセミナーの講師などもつとめる。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格
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初めての妊娠、右も左もわからず不安が多いですよね。「妊娠したかな?」と思っても、どのタイミングで産婦人科に行けば良いのか、産婦人科では、どのくらいお金がかかるのか、出産にもどのくらい費用がかかるのか?

初めてであれば、分からないことだらけ。
この記事では、出産にかかる費用とその内訳、自己負担額を抑える方法も解説して参ります。

出産費用の平均額

まず、最初に出産費用の平均額を見てみましょう。

病院、診療所、助産所の出産費用の合計の平均額
妊婦が負担する額の合計
505,759円

参照:公益社団法人国民健康保険中央会「平成28年度 出産費用の全国平均値、中央値」
https://www.kokuho.or.jp/statistics/birth/2017-0620.html

ここでの平均額は、あくまでも「正常分娩分の平均的な出産費用(平成28年度)」となります。早産となった場合や母子の状況から帝王切開となった場合、つまり出産方法によっても異なります。

出産する施設(病院・診療所・助産所)で受けるサービスの内容、里帰り出産を希望すれば帰省の費用、妊娠中のマタニティ用品など、言わずもがな様々な要因で費用は変わります。

出産費用の内訳

次に、出産費用の内訳とその平均額を見ていきましょう。

病院、診療所、助産所の出産費用の合計の平均額
妊婦が負担する額の合計
505,759円

この平均額は、入院料、室料差額、分娩料、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料、産科医療補償制度、その他全8項目の平均となります。

出産費用の項目別の平均額一覧表
項目 平均額
入院料 112,726円
室料差額 16,580円
分娩料 254,180円
新生児管理保育料 50,621円
検査・薬剤料 13,124円
処置・手当料 14,563円
産科医療補償制度 15,881円
その他 28,085円

出産施設別の出産費用

出産できる施設は、総合病院、産科または産婦人科専門の診療所(クリニック)、助産所(助産院)とありますが、施設によって出産費用は変わります。

病院、診療所、助産所の合計の平均額は505,759円ですが、より詳しく、施設別での費用を見ていきましょう。

施設別の出産費用の平均額一覧表
施設 妊婦合計負担額
病院 511,652円
診療所 501,408円
助産所 464,943円

病院

病院での出産費用の平均額511,652円は、入院料、室料差額、分娩料、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料、産科医療補償制度、その他全8項目の各平均の合計金額となります。

病院での出産費用の項目別の平均額一覧表
項目 平均額
入院料 145,741円
室料差額 18,521円
分娩料 231,318円
新生児管理保育料 45,742円
検査・薬剤料 13,630円
処置・手当料 12,682円
産科医療補償制度 15,776円
その他 28,243円

診療所

診療所での出産費用の平均額501,408円は、入院料、室料差額、分娩料、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料、産科医療補償制度、その他全8項目の各平均の合計金額となります。

診療所での出産費用の項目別の平均額一覧表
項目 平均額
入院料 84,086円
室料差額 15,200円
分娩料 274,317円
新生児管理保育料 55,120円
検査・薬剤料 12,898円
処置・手当料 15,802円
産科医療補償制度 15,971円
その他 28,014円

助産所

助産所での出産費用の平均額464,943円は、入院料、室料差額、分娩料、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料、産科医療補償制度、その他全8項目の各平均の合計金額となります。

助産所での出産費用の項目別の平均額一覧表
項目 平均額
入院料 84,246円
室料差額 636円
分娩料 259,589円
新生児管理保育料 42,280円
検査・薬剤料 2,711円
処置・手当料 34,650円
産科医療補償制度 16,012円
その他 24,819円

参照:公益社団法人国民健康保険中央会「平成28年度 出産費用の全国平均値、中央値」
https://www.kokuho.or.jp/statistics/birth/2017-0620.html

出産方法別の出産費用

ここまでは、正常分娩分による平均的な出産費用について細かく見てきました。

ここからは、出産方法別の費用について確認していきましょう。

以下の図のとおり、分娩方法は大きく分けて「経腟分娩」と「帝王切開」の2つです。経腟分娩の中には自然分娩や和痛分娩、無痛分娩があり、帝王切開には妊婦検診の段階で決定し計画的に行われる予定帝王切開と、妊娠中や分娩時の緊急事態に行われる緊急帝王切開の2種類があります。

経腟分娩

正常分娩での出産費用は、これまで見ていただいたデータからもお分かりのように、全国平均約50万円です。

参照:公益社団法人国民健康保険中央会「平成28年度 出産費用の全国平均値、中央値」
https://www.kokuho.or.jp/statistics/birth/2017-0620.html

帝王切開

帝王切開は、妊婦が自分で選ぶというよりは、医師の判断により選ばれる方法です。
医療行為にあたり健康保険の適用となります。

診療名 診療報酬点数 3割負担額
緊急帝王切開術 22,200点 66,600円
選択帝王切開術 20,140点 60,420円

参照:公益社団法人日本産婦人科医会「帝王切開術点数改正のお知らせ」
http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/01/img-212134725.pdf

上述の手術以外にも、投薬・注射・検査そして入院(自然分娩がおよそ6日程度のところ、帝王切開では7~10日、産後の経過によっては10日以上)と自然分娩ではかからない費用が発生します。病院や診療所によって差異がありますが、これまで見てきた正常分娩の平均的費用よりも10万円程度増えるイメージです。

一定の金額を超えると、高額療養費の対象になりますので、予定帝王切開であれば健康保険組合等に「限度額適用認定証」の発行をして貰い入院時に受付に提出しますと、後日改めて高額療養費申請をする必要がなくなります。

「高額療養費制度」について

1ケ月(歴月:1日から末日まで)にかかった医療費が高額になったときは自己負担を少なくしてもらえる制度です。

69歳以下の自己負担限度額
区分(所得額) 限度額
区分ア (年収1,160万円以上) 252,600円+(医療費ー842,000)×1%
区分イ (年収約770~1,160万円) 167,400円+(医療費ー558,000)×1%
区分ウ (年収約370~770万円) 80,100円+(医療費ー267,000)×1%
区分エ (年収約370万円以下) 57,600円
区分オ (住民税非課税者) 35,400円

参照:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf

母子の状況によっては、急いで分娩を終了させる必要があり緊急帝王切開となる場合もありますが、子宮口が開いて赤ちゃんが十分に下がっている状態で吸引分娩・鉗子分娩となるケースもあります。これらも医療行為にあたり健康保険の適用となります。

診療名 診療報酬点数 3割負担額
吸引娩出術 2,550点 7,650円
低位(出口)鉗子 2,700点 8,100円
中位鉗子 4,760点 14,280円
会陰(陰門)切開及び
縫合術(分娩時)
1,710点 5,130円

民間の医療保険に加入されている方であれば、帝王切開も含め、異常分娩の場合は入院・手術給付金支払いの対象になります。

和痛分娩

和痛分娩は自然分娩と同じで健康保険は適用されません。
麻酔や陣痛促進剤などを使用するので、その費用が加算されます。その加算される費用は医療機関で大きく異なります。

無痛分娩

無痛分娩も和痛分娩と同様に健康保険は適用されません。
麻酔や陣痛促進剤などを使用するので、その費用が加算されます。その加算される費用は医療機関で大きく異なります。

出産地域別の出産費用

これまでは全国の正常分娩分の出産費用(病院、診療所、助産所の合計)の平均額を見てきましたが、ここでは地域別の出産費用についていくつか見てみましょう。

都道府県別の出産費用の平均額一覧表

全国平均よりも出産費用が高い上位3都道府県
都道府県 平均額
東京都 621,814円
神奈川県 564,174円
栃木県 543,457円
全国平均よりも出産費用が最も安い3都道府県
都道府県 平均額
鳥取県 396,331円
熊本県 415,923円
沖縄県 418,164円

東京都と鳥取県の出産費用では、約22.5万円の違いがあります。

参照:公益社団法人国民健康保険中央会「平成28年度 出産費用の都道府県別平均値、中央値」
https://www.kokuho.or.jp/statistics/birth/2017-0620.html

出産費用の自己負担額を抑える方法

出産費用の自己負担額を抑える方法は、公的医療保険制度を効率良く利用することです。加入している健康保険により、受け取れる金額が変わりますので、以下のフローチャートで確認してみましょう。

出産育児一時金

出産育児一時金は、フローチャートで①から④のいずれでも受け取れる助成金です。

基本額 産科医療補償制度の
対象外出産の場合
42万円 40.4万円

妊娠4カ月(85日)以上の方が出産したとき、その翌日から2年以内に申請すれば受け取れる一時金です。

直接支払制度を導入している機関であれば、[かかった出産費用総額]-[出産育児一時金]の支払のみでOKです。

総額が[出産育児一時金]以下であれば、余剰分が還付されます。

出産手当金

出産手当金は、フローチャートで②となった方が受け取れます。

妊婦自身が勤務先で健康保険に加入し、その被保険者が出産のために会社を休み、妊娠4カ月(85日)以上で出産し、その間に給与の支払いを受けなかった場合に支給されます。産休中の生活を保障するための制度です。

出産手当金
日額(標準報酬月額の平均額)÷30日分×3分の2×産休により会社を休んだ日数

産休により会社を休んだ日数とは?

産前と産後に分けて申請することも可能なようですが、産後56日を経過した後で申請手続きを行う後払い方式が一般的です。

標準報酬月額の
平均額
98日会社を休んだ場合 
出産手当金
160,000円 約348,000円
200,000円 約435,000円
250,000円 約544,000円
300,000円 約653,000円

出産手当金以外では雇用保険制度による「育児休業給付金」の受給もあります。

まとめ

この記事では出産費用のさまざまな平均額について調べてきました。

出産費用は自然分娩でも約50万円と高額ですが、「出産育児一時金」により大半がカバーされることも分かりましたので、少しは安心出来たのではないでしょうか。

病院、診療所、助産所の出産費用の合計の平均額
妊婦が負担する額の合計
505,759円
出産育児一時金
基本額 産科医療補償制度の
対象外出産の場合
42万円 40.4万円

また、ここでは記載しておりませんでしたが、妊娠期間中は母体の状況を確認する為に健診の回数も厚生労働省により定められており、計14回ほど受診することになります。10万円~20万円くらいかかることになりますが、役所に「妊娠届」を提出すると、お住まいの自治体から母子手帳と一緒に「妊婦健診補助券」が配布され、補助券の使用により健診費用の一部を自治体が負担してくれます。

初めての出産であれば精神的な不安も大きいはずです。出産施設、出産方法をよく検討することも必要ですね。費用だけで決めずに、施設の環境や施設の方針などご自身との相性を見極めることも必要でしょう。

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