腰痛・ぎっくり腰の治療や椎間板ヘルニアの手術にも医療保険は適用される?

医療保険

若いうちから、慢性的な腰痛に悩まされている方が多いようです。

そのような方が新たに保険への加入を検討するとしたら「腰痛持ちでも医療保険に入れるの?」と疑問に思うでしょうし、すでに医療保険に加入されている方なら「腰痛の治療で給付金が受け取れるの?」と気になるところでしょう。

そこで今回は、腰痛・ぎっくり腰の治療や椎間板ヘルニアの手術などにおける、医療保険での扱いについて解説したいと思います。

そもそも腰痛や椎間板ヘルニアでも医療保険に加入できる?

慢性的な腰痛やぎっくり腰、または椎間板ヘルニアなど、腰回りの病気やアクシデントを経験された後に、医療保険に加入することはできるのでしょうか。

新たに医療保険に加入する時には、保険会社から、健康状態について「告知」することが求められます。

保険会社によって「告知書」の内容は若干の違いがありますが、多くは『最近5年以内』などの所定の期間内に、『医師による診察・検査・治療・投薬、または入院・手術を勧められたこと』の有無が問われます。

つまり、腰痛はあっても全く病院に行っていない場合は、この質問には該当しないことになるでしょう。

また、症状を緩和するために保険診療ではないカイロプラクティックや整体に行っている場合なども、それが医師以外による治療であれば告知に該当しないケースもあります。

逆に、腰痛が原因で病院に行き、医師の診察や治療を受けたりしている場合は当然告知することが必要となります。

腰痛は病気ではないから、というような勝手な解釈で告知しないと「告知義務違反」になることがあるので注意してください。

告知義務違反と認定されると、給付金を請求しても支払われないだけでなく、保険契約自体が解除されることもあります。

万が一に備えるために加入する保険ですが、これでは本末転倒、事実を正確に告知するようにしましょう。

例えば椎間板ヘルニアで手術治療した場合、状態が改善していたとしても術後のリハビリや経過観察が終わるまでは完治とは言えません。

今の状況が告知の質問に当てはまるのかどうかよく確認し、慎重に回答しましょう。

また、告知事項があるからといって、必ずしも保険に加入できなくなるという訳ではありません。

保険会社の査定により、場合によっては健康な方と変わりなく加入できることもありますし、条件付きで加入できることもあります。

例えば、「部位不担保」という条件が付く場合は、「腰椎部」など特定の部位についての病気・ケガについては保障の対象外となります。

このような部位不担保の条件は、期間が限定されていることが多く、加入から5年経過するなど一定期間が過ぎれば条件がなくなります。

他にも、最近では、持病がある方でも加入できる「引受基準緩和型」(保険会社によっては「限定告知型」などと呼びます)の医療保険も登場しています。

一般の医療保険と比較すると保険料が割高ではありますが、告知項目が限定されているため無条件で加入できる可能性が高くなります。

加入できれば持病のある腰についても保障の対象となりますので、一般の医療保険への加入が難しかったり、条件が希望に合わない時などに検討してみてください。

告知の際の注意点

医療保険に申し込む場合、「告知書」に持病や傷病歴などを記載する必要があります。

保険会社が査定する上で、加入の可否だけでなく条件が付く場合の判断材料となりますので、事実を正確に告知することが必要です。

腰痛自体は身体に表れている症状であり、正確な病名ではありません。

病名を診断されているのであれば、その詳細を告知する必要があります。

以下に挙げる病名について具体的に見てみましょう。

腰痛・ぎっくり腰について

ぎっくり腰の原因ははっきり特定されておらず、筋肉や関節の捻挫のようなもの・炎症、椎間板の亀裂、その他原因となる可能性のものは多くあります。

医師には、腰椎捻挫、腰部挫傷、または急性腰痛症などと診断されることが多いようです。

医師による診察や検査を受けたことがあるか、現在も治療中なのか、経過観察中なのか、または完治しているのかを明確に記載しましょう。

ポイントとなるのは、以下の項目です。

  • 治療期間(開始時期)
  • 入院の有無(回数や日数)
  • 後遺症の有無(その病名や治療状況)

入院日数が長い場合や、また後遺症がある場合などは保険会社の査定が厳しくなる可能性があります。

腰椎椎間板ヘルニアについて

腰椎椎間板ヘルニアは、腰に強い負荷がかかった時などに椎間板が損傷を受け、内部に存在する髄核(ずいかく)が外に飛び出してしまい、その飛び出してしまった髄核が、腰回りの神経を刺激することにより痛みが生じる疾患です。

腰椎椎間板ヘルニアの場合、上記に加えて次のように症状の詳細な記載が必要となります。

  • 部位(何番目と何番目の腰椎間か)
  • 手術の有無(手術名)
  • 保存的治療(手術をしない治療)の内容

手術やこれまで受けた治療内容について、また再発や合併症、後遺症を引き起こしたかどうか、などの情報が求められます。

ただし、腰椎椎間板ヘルニアの場合は進行度合いや現在の状況によって、一般の医療保険への加入は厳しい可能性があります。

腰痛・ぎっくり腰や椎間板ヘルニアで給付金は受け取れるのか?

医療保険に加入していれば、腰痛・ぎっくり腰や椎間板ヘルニアが原因で「入院」や「手術」を受けた場合に給付金を受け取ることができます。

つまり、他の多くの病気と同様、医師に病名を診断されただけでは給付金を受け取ることはできません。

また、手術を受けても、手術内容によっては対象とならないこともありますので、請求する前に確認しましょう。

一方で、腰痛の治療は、通院回数が多くなる傾向があります。湿布薬などの外用薬治療が続いたり、MRIなど各種検査で何度も病院に通うことになれば、思いのほか治療費がかさむこともあるでしょう。

もし医療保険に「通院」保障のオプションを付加していれば、通院時にも給付金を受け取ることができます。

しかし、これも他の病気と同様、入院や手術を伴う通院だけが対象となるのが一般的です。

つまり始めから終わりまで通院だけで治療が行われるのであれば、その通院は対象外になるので注意しましょう。

また通常、通院日数にも条件があります。多くの医療保険では、給付金が受け取れる通院は「退院後180日以内」であり、かつ「30日限度」などの日数制限があるのが一般的です。

最近では、退院後だけでなく、入院前の通院も対象とする商品が登場するなど通院保障の内容は各社バリエーションが出てきていますので、検討の際には内容を確認しましょう。

また、繰り返しになりますが、保険加入前に発病していた病気については、うっかり告知し忘れていた場合も含めて給付金は受け取れませんので注意してください。

まとめ

ぎっくり腰だと思って検査に行った結果、椎間板ヘルニアや癌など、他の病気が判明したということも耳にします。

たかが腰痛と思わず、ひどくなる前にきちんとケアすることが大切ですね。

また経済面で言えば、そのような思いがけない病気やケガに遭遇したことによって、大切な貯金を取り崩すことがないようにしたいものです。

社会保険や勤務先の福利厚生をチェックし、必要な保険を過不足なく選択することが大切です。

執筆者

宮脇 英寿CFP®資格

中学高校の数学教師を経てファイナンシャルプランナーの道へ。「100歳まで元気に生きるためのライフプランニング」が独身者、家族世帯を問わず好評である。年間100世帯以上の個別相談に対応しながら、確定拠出年金や住宅ローン、ねんきん定期便の見かた等各種セミナー講師も担当。プライベートでは小・中・高校生の3人の子どもの子育て中である。
■保持資格:CFP®資格住宅ローンアドバイザー宅地建物取引士
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