医療保険は「掛け捨て」と「積み立て」どっちがおすすめ? メリット・デメリットを徹底比較

医療保険

20代の頃は健康診断で何も問題がなかったのに、30代も後半になって健康診断で注意マークが付いてしまい、民間の医療保険(以下:医療保険)の検討を始めた方も多いのではないでしょうか。

ところが、医療保険の検討を始めた多くの方が最初に驚くのが医療保険商品の多さです。

数多くの生命保険・損害保険会社から様々な医療保険商品が販売されていて、どれを選んだらいいのかわからなくなりますよね。

今日は、医療保険を選ぶ検討のポイントとコツをみなさんと一緒に勉強していきましょう。

医療保険とは

医療保険とは病気やケガに備える民間の保険です。
医療保険は一般的に大きく分けて「掛け捨て型」と「積み立て型」の2つのタイプがあります。
一長一短があるので、どちらがより優れているというものではありません。

「掛け捨て型」と「積み立て型」の2つのタイプの特徴を把握して、どちらがよりご自身のライフスタイルに適しているか厳しい目で判断することが重要です。

こちらでは「掛け捨て型」と「積み立て型」の2つのタイプのメリット・デメリットを詳しく説明して、よくある誤解について正しい情報をお伝えします。

「どの医療保険を選べばいいのかしら?」と悩んでいる方の参考になれば幸いです。

掛け捨て型の医療保険とは?

掛け捨て型の医療保険の特徴

「掛け捨て型」の医療保険とは、解約返戻金が無いタイプの医療保険です。
支払った保険料が返ってこない、つまり保険料を捨てるという意味合いで「掛け捨て」と一般的に表現しています。

掛け捨てと聞くと多くの方は「もったいない」というイメージを持ちますが、実は全く違います。
掛け捨てだからこそ手厚い保障を安い保険料で実現できるのです。

それでは「掛け捨て型」の医療保険のメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

掛け捨て型の医療保険のメリット・デメリット・プラン

メリット

「積み立て型」と比較して保険料が安い

「掛け捨て型」の医療保険は「積み立て型」の医療保険と比較して保険料が安いことが最大のメリットです。
「積み立て型」の医療保険は貯蓄部分の保険料が上乗せされているので、その分保険料は高くなります。

例えば40歳男性で同じ保障内容で保険料を比べてみると「積み立て型」の医療保険は「掛け捨て型」の医療保険の2倍以上の保険料となることがあります。このまま5年、10年、20年と保険料を支払い続けると、ちょっと無視できない保険料差額となりますね。

最新の商品に切り替えがしやすい

医療技術は日進月歩です。日本の医療制度も刻々と変化しており、それに対応するために医療保険も次々と新商品が発売されています。
昔加入した医療保険では、保障が充分でなくなっているかもしれません。

「掛け捨て型」の医療保険は加入後に、より自分に合った条件の良い医療保険新商品が見つかった際、躊躇なく切り替えることができます。

「積み立て型」の医療保険の場合、途中解約すると解約返戻金や健康還付金などが削減される大きなデメリットがあるため新商品への切り替えは難しくなります。

しかしながら「掛け捨て型」の医療保険には解約返戻金が無いので、途中解約した際のデメリットがありません。

したがって、より魅力的な新商品が見つかったら悩むことなく切り替えることができるのです。

商品数が豊富で商品選択の幅が大きい

「掛け捨て型」の医療保険は「積み立て型」と比較して、圧倒的に商品数が豊富です。
終身タイプと定期タイプ、日額保障タイプと実損填補タイプなど様々な商品の中から、自分に合ったより条件のよい医療保険を比較検討することができます。

デメリット

病気やケガをしなかったら支払保険料が戻ってこず、文字どおり掛け捨てとなる

医療保険に加入する最大の目的は、病気やケガをした時に給付金を受け取ることです。
しかしながら、医療保険加入後に病気やケガをするかどうかは誰にもわかりません。

もちろん健康で健やかに過ごすことが何よりですが、給付金の請求が無い場合、「掛け捨て型」の医療保険には解約返戻金がないため、支払った保険料1円も戻ってきません。

保険はお守りという考え方もありますが、何も無ければ保険料が戻ってこないことに変わりはありません。

掛け捨て型へのよくある誤解

「掛け捨て型」というと、もったいないな~とか、無駄なことをしてるよね~という悪いイメージを持つかもしれません。

しかしながら、決してそんなことはありません。

人は誰しもいつ自分が病気やケガをするかわかりません。
何も無いのが一番ですが、万が一の時に備えるのが保険ですよね。

手厚い保障を、解約返戻金がないからこそ安い保険料で実現できて、バリエーションも豊富なのが「掛け捨て型」の医療保険なのです。

積み立て型の医療保険とは?

積み立て型の医療保険の特徴

「積み立て型」の医療保険とは、解約返戻金・健康還付金が有るタイプの医療保険です。
つまり、「掛け捨て型」の医療保険と違い、保険料の一部が戻ってくるため、保障と同時にお金を貯めることができるのが最大の特徴です。

え?お金が戻ってくるの?もしかして儲かっちゃうかも!と勘違いされている方が多いのですが、実は全く違います。
現在の超低金利の時代に、保険料よりも多くお金が戻ってくることはありません。

確かに保障と同時に貯蓄する機能があるというのは魅力的ですが、世の中どうもそんなうまい話しはないようです。

それでは、「積み立て型」の医療保険のメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

積み立て型の医療保険のメリット・デメリット・プラン

メリット

保険料が戻ってくる!?

「積み立て型」の医療保険の最大の特徴は、お金が貯まるということでしょう。
解約返戻金のあるタイプの医療保険であれば、解約時に決まった割合で解約返戻金を受け取れます。

また、最近多くの方から高い評価を受けているのは健康還付金があるタイプの医療保険です。
例えば、一部の商品の中には、60歳や65歳などになった際に支払った保険料の全額が戻ってきます。

全額戻ってくるので保険料を損した気分にはなりませんよね。

もし入院や手術をした場合はどうなるのでしょうか?
その場合は、受け取った給付金が差し引かれて健康還付金をうけとることができます。

健康還付金を受け取った後はどうなるのでしょうか?
この場合、契約時の保険料は変わらずに、「掛け捨て型」の一生涯の医療保険に変わります。

保障と同時にお金が貯まり、さらに加入時の保険料を一生涯予約確定させることができるのはうれしいですよね。

デメリット

「掛け捨て型」の医療保険と比較して保険料が割高

「掛け捨て型」の医療保険に、将来受け取ることができる積み立て部分が上乗せされているので、当然保険料は割高になります。

長期間にわたって割高な保険料を支払い続けることになりますので注意が必要です。
しかも、将来受け取れる健康還付金は支払保険料と同額ですので、利息がついて増えることはありません。

もし仮に積み立て部分保険料相当額を同期間、投資信託などで運用した場合のシミュレーションと比較してみるとよいでしょう。

中途解約すると当初の金額通り戻ってこない

多くのケースで中途解約をすると契約時に示された通りの金額が戻ってくることはありません。
「積み立て型」とはいえ、契約期間のどのタイミングで解約しても保険料が全て戻ってくるということはありません。

定められた期間まで保険料を支払い続けて、はじめて健康還付金を受け取ることができます。
保険期間の途中で解約すると、解約返戻金は払い込んだ保険料の総額を下回りますので注意が必要です。

これは重要なポイントです。

保険料を払い続けることができなくなって中途解約をしたら思っていた額のお金を受け取ることができなくなるのですね。
定められた期間、無理なく支払い続けることができる保険料を設定することが大事です。

入院・手術給付金を受け取ると健康還付金がなくなる

決めた年齢になれば支払った保険料が全額戻ってくるというのは魅力的です。

しかしながら、保険期間中に病気やケガをして給付金を受け取ったとしたらどうでしょうか。
この場合、健康還付金は受け取った給付金を差し引いて支払われます。

もし仮に大きな病気になって、健康還付金を超えて給付金を受け取った場合、将来受け取れるはずだった健康還付金はゼロになってしまいます。

「積み立て型」の医療保険は「掛け捨て型」の医療保険と比較して保険料が高く設定されています。
もし健康還付金を受け取ることができない場合、割高な保険料を支払う意味がなくなってしまうという点に注意が必要なのです。

商品が少なく、見直しも難しい

「積み立て型」の医療保険は「掛け捨て型」の医療保険と比較して商品の数が圧倒的に少ないです。
現在巷に溢れている医療保険のほとんどは「掛け捨て型」の医療保険です。
数少ない商品の中から選ばなければならない点はデメリットです。

また、「積み立て型」の医療保険に加入した場合、中途解約はマイナスの点が多いので、将来魅力的な新商品が発売されたとしても乗り換えが難しくなります。

積み立て型へのよくある誤解

保障と同時にお金が貯まる「積み立て型」の医療保険は魅力的です。

しかしながら、以下の点に注意が必要です。

  • 支払った保険料より多く戻ってくることはない
  • 保険料が割高
  • 給付金を受け取ると割高な保険料を支払う意味がなくなる
  • 中途解約はマイナスとなる点が多い
  • 商品が少なく、見直しが難しい

医療保険の掛け捨て型と積み立て型はどっちがいいの?

これまで、「掛け捨て型」と「積み立て型」の医療保険のメリット・デメリットを一緒に勉強してきました。
どちらを選べば良いのか、どちらも一長一短あって悩んでしまいますよね。
それでは、どのような方が向いているのかそれぞれのタイプ別に考えてみましょう。

掛け捨て型が向いている人

「掛け捨て型」医療保険が向いているのは、30代~40代の住宅の購入や子供の進学など大きな出費があり保障を充実したい人です。

「掛け捨て型」の医療保険は、できるだけ保険料の負担を抑えて、大きな保障を実現できます。
住宅ローンの返済や子供の教育費用のために出費が重なる時期に、保険料を抑える目的で「掛け捨て型」の医療保険を選択することは賢明な判断です。

また、より魅力的な新商品が販売されたら迷うことなく切り替えることができるのも大きなメリットです。

積み立て型が向いている人

「積立型生命保険」が向いているのは、健康に自信があって掛け捨てが嫌いな人に向いています。

自分は病気にならないと健康に自信があれば、掛け捨ての医療保険料がもったいないと感じますよね。
「積み立て型」の医療保険であれば、毎月の保険料が貯蓄になって、決まった年齢になれば全額戻ってきますので無駄がありませんし、万が一病気やケガをした時の保障もあれば安心です。

まとめ

ここまで、「掛け捨て型」の医療保険と「積み立て型」の医療保険のメリット・デメリットを勉強してきました。
どちらを選べば良いのか本当に悩ましいですよね。
また、多くの保険商品の中から本当に自分に合った保険商品を探し出すのは至難の業です。

私は、「掛け捨て型」と「積み立て型」の医療保険を、支払える保険料の範囲内で両方に加入することをおすすめします。
そうすれば、それぞれの良いとこ取りをしてメリットを享受することがでます。

もちろん、年齢や家族構成、職業やライフプランによっても選ぶべき保険商品は変わってきます。
「あ~もうめんどくさいからまた今度考えよう」と問題先送りにしてはいけません。
もしかしたら、ある日突然病気になってしまい保険に加入できなくなるかもしれませんよね。

この機会に、お一人で悩まずに保険のプロに相談してみては、いかがでしょうか?

執筆者

梶野 俊太郎(ファイナンシャルプランナー)

東京都足立区に住む、旅行とサウナが趣味の2児の父親。平成12年AIU保険会社入社。平成16年全ての基準を達成し法人代理店として独立開業。生命保険、損害保険代理店経営を経て、現職へ参画。1,600件以上の事故処理の経験を柱に、常にお客様に寄り添うコンサルティングサービスを提供し、提携先や法人個人の数多くのクライアントから絶大な信頼を獲得。誠実に一生懸命をモットーに保険を通してお客様の満足の創造を目指します。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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