子育てにかかる費用はいくら? 未就学児から大学生までの費用を詳しく解説!

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「子育てにかかる費用」と聞くと、まず初めに「学校教育費」のことをイメージする人が多いと思います。確かに、学校教育費には多くのお金がかかりますが、子育てをしていく過程では、それ以外にも実に多くのお金がかかります。

そこで、ここでは学校教育費以外にも、子育ておよび子どもの生活に必要なさまざまな費用を詳しく解説していきます。

この記事が、今後の子育て費用の準備等の一助となれば幸いです。

子育て費用とは

子育て費用とは、学校教育費だけではなく、子育てに関わるその他生活全般に関わる費用も含んだものを言います。

子育て費用と言うと一般的には、学校教育費が最もフォーカスされますが、その他の費用についても留意しておく必要があります。

ここでは、大きく「教育費」と「養育費」といった形で解説をしていきます。

教育費

「インターネットによる子育て費用に関する調査報告書」のデータを元に、「教育費」について解説をしていきます。

教育費については、大きく3つの費目で分類されています。(具体的な内容例については、下記の一覧表をご参照ください。)

  • 「学校教育費」
    主に、入学時の初期費用や授業料、給食費等にかかる費用
  • 「学校外教育費」
    主に、学習塾や家庭教師等、学校外でかかる費用
  • 「学校外活動費」
    主に、学習塾以外の習い事等でかかる費用
費 目 実際の費用例
教育費関連 学校教育費 小学校入学以降の入学初期費用、授業料、寄付金、給食費、学級費、課外クラブ費、修学旅行費用、制服、通学用品費、教材費、交通費等
学校外教育費 学習塾・ドリル代・家庭教師代など学校外でかかる費用
学校外活動費 学習塾以外の習い事月謝、用具代、その活動にかかる費用

教育費という分類だけでも、あらゆる費目の費用がかかることが分かるかと思います。

なお、学校外教育費および学校外活動費については、お住まいの地域や環境によっても差異が生じる費目になります。

中でも、学習塾等にかかる費用や学習塾以外の習い事などは、高額になりがちですので、家計の収支バランスをしっかりと確認しておく必要があります。

養育費

続いて、「インターネットによる子育て費用に関する調査報告書」のデータを元に、「養育費」について解説をしていきます。

子育てをしていく過程では、教育費以外にも子育てに関わる費用は、様々な分野に及びます。

例えば、「養育費」は、食費や生活用品費、衣類・服飾雑貨費等も含めた生活全般に関わる費用を言います。

昨今、子どもの携帯電話料金などは、ひと昔前では考えられなかった費用でもあります。年々、携帯電話を子どもに持たせる年齢も若年齢化してきており、大きな支出項目のひとつになっています。

また、養育費の特徴として、子どもの年齢によりかかる費用も異なり、未就園児ではおむつ等の生活用品費や保育費の比重が高く、中学生では学校教育費や学校外教育費の比重が高くなる傾向にあります。

なお、詳しい費用については、後述にて解説をしていきます。

費 目 実際の費用例
養育費関連 衣類・服飾雑貨費 普段着、寝間着、靴、防寒具などの費用
食費 粉ミルク、離乳食、おやつ、家庭内での食事、弁当に係る材料費、外食費など
生活用品費 おむつ、歯ブラシ、文房具など消耗品、教養娯楽費、おもちゃ・ゲーム類、子ども用家具・家電・寝具など
医療費 予防接種、検診、疾病時に保健・医療機関窓口で支払った額、交通費、医薬品類など
保育費 保育所・幼稚園などの入園初期費用、入園準備費、月々の保育料、給食費、行事・教材費、一時保育料、学童保育費など
子どもの携帯電話料金 基本料金・通話料・パケット料金など
お小遣い 子どもが自由に使えるお金
お祝い行事関係費 出産・お宮参り、入園・入学・卒園・卒業祝い費、誕生日祝い、クリスマス、お年玉など
子どものための預貯金・保険 学資準備のための積立、学資保険など
レジャー・旅行費 子どものレジャー・旅行費など

参照:内閣府政策統括官(共生社会政策担当)「「インターネットによる子育て費用に関する調査報告書【概要版】」(平成22年3月)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/gaiyou.pdf

教育費の平均額

ここでは、幼稚園から大学までの教育費(自宅通学の場合)より、平均的な教育費について一覧にして解説をしていきます。

このデータは、幼稚園(公立・私立)~大学(国公立・私立)までの学校教育費・学校給食費等を加味した数値となっています。

幼稚園
公 立 670,941円 学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計
私 立 1,583,748円
小学校
公 立 1,927,686円 学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計
私 立 9,592,146円
中学校
公 立 1,465,191円 学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計
私立 4,219,299円
高 校
公 立 1,372,140円 全日制の金額
私 立 2,909,733円
大 学
国 立 2,425,200円 入学金・授業料
私立(文系) 4,412,795円 入学金・授業料・施設設備費・実験実習料・その他
私立(理系) 6,007,009円
私立(医歯系) 22,735,422円

昨今、首都圏を中心に、小学校あるいは中学校から私立に入学させるケースも多く、学校教育費および学校外教育費が高額になっている傾向にあります。

また、高校では公立・私立の学校教育費に大きな開きが生じ、公立・約140万円に対し私立では約300万円になっています。

さらに、大学についても、国公立に比べ私立の学校教育費は高額になっています。特に私立(理系)や私立(医歯系)になりますと、さらに高額な学校教育費が必要となります。

併せて、上記データの他、大学入学時より自宅外から通学する学生では、自宅外通学を始めるための費用として、「平均38.7万円」(日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」より)が支払われています。

この費用は、アパートの敷金や家財道具等の購入費の合計となります。

なお、自宅外通学者への仕送り額(年間)の平均は、「95.8万円」となっています。

前年調査90.3万円(令和2年度)より5.5万円増加しています。(日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」より)

学校教育費については、特に大学通学期間の支出が大きな負担になることが予想され、また通学の状況(自宅・自宅外)によって、仕送り等の支出も必要となる点も留意しておく必要があります。(下図参照)

●日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」より筆者作成

参照:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査(調査結果の概要)」
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf
文部科学省「国公私立大の授業料の推移」
https://www.mext.go.jp/content/20211224-mxt_sigakujo-000019681_4.pdf
令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)
https://www.mext.go.jp/content/20211224-mxt_sigakujo-000019681_1.pdf
日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf

子どもの学費はいくらかかる? 教育費の平均について解説! 子どもの学費はいくらかかる? 教育費の平均について解説! 子どもが産まれて、特に学校教育費の準備とその貯蓄計画など、どのようにしていったら良いのか気になるところだと思います。ここでは、学校教育費(授業料など)と、学校外教育費(学校以外にかかる学習塾や習い事など)も含めて、学校段階別に平均的な教育費について解説をしていきます。

養育費の平均額

ここでは、未就園児~大学生(修士・博士・専門職学位課程含む)の「養育費」について、まとめています。

未就園児~中学生までについては、内閣府政策統括官「インターネットによる子育て費用に関する調査報告書」(平成22年3月)のデータを元に、大学生については、独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」より、算出をしています。(高校生については、公的データがないため、概算としています。)

年間養育費 備 考
未就園児 816,141円 0~6歳児(各世帯第1子につき)
保育所・幼稚園児 1,142,584円
小学生 847,225円
中学生 975,565円
高校生 1,000,000円 (概算にて記載)
大学生(昼間部) 664,300円 国立・公立・私立の平均(※)
短期大学(昼間部) 494,200円 公立・私立の平均(※)
修士課程 1,003,700円 国立・公立・私立の平均(※)
博士課程 1,617,900円
専門職学位課程 1,212,800円

※高校生については参照可能な公的データが見当たらない為、中学生と同等の費用を概算として記載
※大学(昼間部)~専門職学位課程の養育費については、「生活費」として、「食費・住居費・光熱費」、「保健衛生費・娯楽・し好費・その他の日常費」から算出しています。

年間養育費については、それぞれ約80~100万円前後の支出が必要であるということが分かります。(短大を除く)

また、小学生で、学童保育等に預けるケースでは、その施設のサービス等により学童保育料分も差異が生じることも予想されますので、この点も留意しておく点になります。

加えて、参考資料として、大学(昼間部)の「居住形態別学生数の割合」についても補足として掲載しておきます。(下表)

大学(昼間部)の生活費の詳細は、「国立(839,800円)」、「公立(767,900円)」、「私立(617,900円)」というデータになっており、居住形態により生活費に差異が生じている点についても補足が必要と思いましたので、掲載させて頂きます。

【参考】居住形態別学生数の割合(大学(昼間部)
区 分 自 宅 学 寮 下宿・アパート、その他
国 立 35.7% 6.2% 58.1%
公 立 43.7% 3.3% 53.0%
私 立 65.2% 7.2% 27.6%

国立の学生の生活費が、私立の学生に比べて高額になっている点について、私立の学生の65.2%が自宅から通学している事に対し、国立の学生の58.1%が下宿・アパート等暮らしをして通学をしている点からも、養育費(生活費)の差異が生じている理由の一つと考えます。

国立大学は、私立大学に比べ大学数が少ない点や、地方から国立大学を目指して入学してくる学生も多いことから、下宿・アパート率が高いことも要因と言えると考えます。

参照:内閣府政策統括官(共生社会政策担当)「「インターネットによる子育て費用に関する調査報告書【概要書】」(平成22年3月)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/gaiyou.pdf
参照:独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2022/03/16/data20_all.pdf

子育て費用総額の平均

ここでは、年間の子育て費用総額の平均について、まとめています。

なお、未就園児~中学生については、「インターネットによる子育て費用に関する調査報告書」より、高校生については、「日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」に、養育費(概算)を追加した数値を、大学生については、独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」のデータを元に試算しています。

上記グラフから、小学生の年間子育て費用総額は、一人当たり平均1,153,541円とむしろ保育所・幼稚園児よりもやや少なくなるが、中学生では一気に約40万円も多くなり、一人当たり平均1,555,567円になっています。これは、未就学児の年間子育て費用総額の約1.5倍となる点に留意すべきと考えます。

中学生の子育て費用が増えている要因としては、未就園児、保育所・幼稚園児、小学生に比べ、「学校教育費」「学校外教育費」の比重が大きくなっている点があると考えます。

加えて、下図は子育て費用について未就園児~中学生までのデータですが、就学区分における年間子育て費用総額にも、地域差が出ている点がありますので、押さえておきたいと思います。

下図をご覧頂くと、特に東京23区の子育て費用が突出していることがよく分かります。これは、共働き世帯が多い点や、教育への意識の高さ等も影響しているものと考えられます。

●「インターネットによる子育て費用に関する調査報告書」(平成22年3月)より筆者作成
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/gaiyou.pdf

未就学児

未就学児(未就園児・保育所・幼稚園児)の一人当たり年間子育て費用の総額は、平均1,043,535円になります。未就園児では、一人当たり平均843,225円。

保育所・幼稚園児では約37万円多くなり、平均1,216,547円になります。これは、保育費の支出が増加する点が最も大きな要因となっています。

小学生

小学生の年間子育て費用総額は、一人当たり平均1,153,541円となり、むしろ保育所・幼稚園児よりもやや少なくなりますが、ほぼ横ばいの子育て費用になっています。

未就学児に比べ、保育費は極端に減りますが、食費や学校教育費、学校外教育費、学校外活動費等のいわゆる教育費の割合が増加しています。

中学生

中学生の年間子育て費用総額は、小学生に比べ約40万円多くなり、一人当たり平均1,555,567円になります。これは、未就学児の約1.5倍になります。中学生は、学校教育費、学校外教育費の比重が大きくなります。

学校教育費について補足しますと、中学1年生で年間約33万円、同2、3年生は年間約25万円。学校外教育費については、1学年ごとに多くなり、中学3年生では年間約36万円になっています。(出典データより)

高校生

高校生については、公立か私立かによって、学校教育費等の差が大きくなっています。また、就学区分(地域)によっても差異があることが言えます。

都立高校の初年度納付金は、124,450円(入学金等5,650円・授業料118,800円)に対し、都内私立高校では、平均で945,522円となり、最高額は1,912,500円(最低額は、723,800円)となっています。

こうしたことからも、高校については、進学先によって学校教育費等に大きな差が生じる傾向にあることが分かります。

上記グラフの子育て費用(1,756,000円)の内、学校教育費分(756,000円)から見ても、都内における学校教育費が全国平均から見ても高額になっていることが分かります。

参照:東京都教育委員会HPより
都立高等学校、中等教育学校(後期課程)の授業料・入学料及び特別支援学校高等部の授業料について
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/tuition/tuition/tuition.html
東京都 「令和4年度 都内私立高等学校(全日制)の学費の状況」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/12/09/13.html

大学生

大学生の学生生活費全般については、博士課程を除き、いずれも私立が国立・公立よりも高くなっています。

大学の学費についても、私立(1,310,700円)に対し国立(592,000円)、公立(605,000円)となり、学費、学生生活費を合わせて私立の費用負担が大きいことが分かります。

一方、生活費については、国立(839,800円)が、私立(617,900円)に比べ、約22万円高くなっているデータがありますが、これは自宅以外の学生の割合が高いため、住居・光熱費等の費用が要因と考えられます。(【参考】居住形態別学生数の割合(大学(昼間部))

参照:独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2022/03/16/data20_all.pdf

まとめ

以上のように、「子育て」には多額の費用が必要だということがお分かり頂けたでしょうか?

そして、「出来るだけ子どもの希望を叶えてあげたい」と思うのが親心だと思います。

一方で、子育て費用は、「いつのタイミングに必要で、おおよその予算が分かるライフイベント」でもあります。計画的な貯蓄等を行うことにより、無理のない準備が可能になると思います。

時間を味方につけて、早期から着実な貯蓄計画を実践していくことが重要になります。

また、計画的な貯蓄計画と合わせて、一定の条件はありますが、児童手当や、高等学校等就学支援金、各種奨学金などを上手に利用することで、ご両親の負担軽減にもつながります。

いずれにしましても、その他のライフイベントとのバランスを取りながら、「コツコツと準備」をしていくことが重要になってきます。

ご家族全員で協力をしながら、「子育て費用」の準備をしていきましょう!

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執筆者

綿引 隆弘(ファイナンシャルプランナー)

1995年大学卒業後、大手住宅販売会社に入社。FP資格を活かすべく2002年外資系金融機関に転職。ライフプラン・相続事業承継・リタイアメントマネジメント等、法人・個人への提案業務に従事。2012年、更なるソリューションを追求するために独立し現在に至る。~Improve your quality of Life~(価値ある人生のお手伝い)を旨として、人生に関わるすべての課題・問題に対し、ファイナンシャル・プランナーとして、また保険マンとして、そしてひとりの人間として、解決方法を見出していく活動をしています。ほけんペディアへの記事掲載については、より多くの方々に保険について詳しく知って頂きたいという気持ちと自分自身が真摯に保険に向き合うことが出来る素敵な時間になっています。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格トータル・ライフ・コンサルタント
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