人により症状はそれぞれですが、多くの妊婦さんが経験するのが、つわり。ひどい方の場合、入院が必要なこともありますが、果たしてそういった場合にも生命保険は適用されるのか不安になる方も多いのではないでしょうか? 妊娠や出産等、女性にとって大変大きな出来事であると同時に、経済的な不安もあるかと思います。 ここでは、つわりの症状から入院の詳細等について、及び医療保険の請求について解説していきます。
つわりの主な症状
ここでは、つわりの主な症状について解説させて頂きます。
嘔吐
妊婦さんの大半が吐き気や嘔吐を経験していると言われています。
症状は、人それぞれで、1日のうちの一定時間だけの方から、1日中吐き気を感じる方、1回も吐き気を感じなかった方から出産まで吐き気を感じていた方もいるようです。
症状の重たい方は、激しく嘔吐を繰り返し水分補給が困難となるために、脱水や飢餓症状になり点滴治療や入院が必要になる場合もあります。
食欲不振
主に吐き気や嘔吐が原因で、食欲不振に陥る妊婦さんも少なくありません。
また、胃もたれや胸やけ、胃痛を伴うケースもあるようです。
匂いにも敏感になり、特に食べ物の匂い、生活臭等に通常時ではないほどの嫌悪感を抱くことも多くあります。
食べ物への嫌悪や嗜好の変化も妊娠初期に起こる変化のひとつです。
頭痛
嘔吐や吐き気を繰り返すことや、疲労等も原因とされていますが、妊娠初期から頭痛の症状が現れる妊婦さんも少なくないようです。
妊娠中のため、鎮痛剤等を服用することは控えないといけないため、しばらくの間、安静にして生活をすることしかないのが実情のようです。
つわりでの入院
つわりが原因で入院をするケースについて解説してきます。
症状が重いと入院に
つわりの症状は、早ければ妊娠初期の4週頃から始まり、10~12週頃にはおさまりますが、16週頃まで続く場合もあるようです。
その中で特に症状が重い場合には、重症妊娠悪阻(おそ)と診断され、主治医の判断で入院を勧められることもあります。
重症妊娠悪阻は、入院して点滴(ビタミン剤・吐き気止め)投与から、徐々に食事を摂れるようになるまで入院することになります。
妊婦さんの中には、重いつわりによって食欲不振や睡眠不足等から体重が2~3㎏減ることもあります。
無理をせず主治医に相談し入院することも検討されると良いと思います。
期間はどのぐらい?
入院期間についても、個人差があり、比較的軽度の場合には1週間~10日程度で退院出来ることもあります。
一方、重度の症状の場合には、退院まで2~3ヶ月かかる方もいます。
重症妊娠悪阻は、症状も個人差があり入院期間も様々と言えます。
費用はどのぐらい?
重症妊娠悪阻で入院した場合の費用についてですが、入院日数や病室種類(個室等の差額ベッド代)等によって金額は幅があるのが実情です。
多くの方が個室を希望されるかと思いますので、差額ベッド代も含めての医療費がかかると考えておいた方が良いでしょう。
厚生労働省『主な選定療養に係る報告状況』によると、差額ベッド代の平均は、6,188円/日(1人部屋 7,837円/日)(平成29年7月1日現在)と言われています。
症状により入院が長期になる場合には、出費も大きくなる可能性もあります。
入院費の内、差額ベッド代や食事代など全額自己負担になるものもありますが、基本的には健康保険(3割負担)や傷病手当金(※)、高額療養費制度の利用も可能となります。
また、民間生命保険の医療保険も給付金の支払い対象となります。
民間の医療保険では、特約で女性疾病入院給付金等を付保している場合には、主契約の入院給付金に上乗せで女性疾病入院給付金を受け取ることも可能な保険もあります。
尚、支払い条件等については、保険会社によって異なりますので、ご自身の加入保険がどのような保障内容なのか、妊娠前に確認しておくことも大切です。
(※)【傷病手当金の受給条件】
(1)業務外の事由による病気やケガで療養中であること
(2)労務(今まで従事してきた仕事)に服することができないこと
(3)連続する3日間(待機期間)を含み4日以上休んでいること
(4)給与の支払いがないこと(給与の減額支給等ある場合は調整あり)
・傷病手当金は、被保険者本人が健康保険に加入していることが必要です。また、自営業者等の国民健康保険加入者は対象外となりますので注意が必要です。
■参考記事として下記についても併せてご一読頂けたらと思います。
↓
ほけんペディア「医療保険と健康保険はどう違う? 医療保険の基礎知識」
ほけんペディア「女性保険って何?その仕組みや医療保険との違い」
ほけんペディア「女性向けの医療保険の特徴」
ほけんペディア「帝王切開は医療保険の対象!妊娠前に知っておきたい保険のこと」
■出典 厚生労働省『主な選定療養に係る報告状況 中医協 総‐8-2 30.11.4』
医療保険の請求は?
医療保険の請求についてご案内させて頂きます。
生命保険会社に「保険金・給付金請求書類」の送付依頼をする。
・証券番号
・契約者(被保険者)氏名
・傷病名
・入院日(退院日)
・手術の有無・通院の有無等
等の情報が必要となりますので、お手元に準備してご連絡されると良いと思います。
生命保険へ請求書類を提出する。
生命保険会社から送付された書類「請求書・診断書等」の案内に従って必要書類を整え、生命保険会社へ提出します。
(診断書は、主治医に記入頂く書類となりますが、およそ5,000~10,000円程度費用がかかります。)
尚、診断書は原則として生命保険会社所定のものを使用しますが、保険会社によって異なりますので請求時に確認をしておくと良いと思います。
また、入院日数や支払われる入院給付金の合計額などに応じて診断書の添付が不要となる生命保険会社もあります。
請求書・診断書等については、保険会社から届いた記載事項など確認をして進めるとスムーズかと思います。
また、給付金の請求権の時効は、約款で一般的に“3年”と定められていますので、早めに請求されることをおススメします。
まとめ
ここまで、つわりによる入院と生命保険について解説をして参りました。
妊娠・出産は、新しい家族が増える喜びとともに、妊婦さんの多くは、つわり等の辛い思いをしながらも大切な命を育んでいく素晴らしい経験でもあると思います。
同時に、妊娠期間の体調の変化や出産等、不安も多くあるかと思います。
経済的な不安は、健康保険や医療保険で準備することが可能ですが、精神的な不安は、何と言っても家族の支え、特に配偶者の理解と協力は重要になってきます。
家族にとっての大切な“新たな命”の誕生ですから、大切に育てていきたいですね。
執筆者
綿引 隆弘(ファイナンシャルプランナー)

■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格、トータル・ライフ・コンサルタント