医療保険の保険料相場はどのぐらい?

医療保険

保険に加入する際、やはり気になるのが保険料ですよね。提示された金額が安いのか高いのか適正なのか?世間一般的にどのくらいなのか?では、保険料はいくらぐらいが相場なのでしょうか。ここでは、医療保険の妥当な保険料について考えて参ります。

保険料はいくらぐらいが妥当か?

まずは、データを見てみましょう。
生命保険文化センターの調査データによる年間払込保険料(全生命保険)の平均です。

年間平均 月換算
全体 179,000円 14,917円
男性 206,000円 17,167円
女性 160,000円 13,333円

参照:(公財)生命保険文化センター 「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf

このデータは、民間の生命保険会社、郵便局、JA(農協)、県民共済・生協等で取扱っている生命保険や個人年金保険の加入者のうち、実際に保険料を支払っている人の年間払込保険料平均です。

今回のテーマ「医療保険」だけの平均額ではありませんが、他のご家庭がどのくらい保険料を支払っているか知るには一つ参考になるデータかもしれません。

しかし、加入者全体の平均的な額から「保険料相場」を語るのは少しナンセンスかもしれません。

なぜなら保険料は様々な要素で金額が変わる上に、求める保障内容により大きくその額が相違するからです。

保険料が安くなる要素

  • 加入年齢が若い
  • 保険期間が短い(定期)
  • 保障がシンプル
  • 掛捨てタイプ

など

保険料が高くなりがちな要素

  • 加入年齢(加入時の年齢に応じて保険料は上がる)
  • 保険期間が長い(終身(一生涯))
  • 加入から保険料払込終了までの期間が短く設定
  • 特約などの多数付保
  • 貯蓄タイプ
  • 割増保険料の有無

など

このような様々な要素の組み合わせによりそれぞれ保険料は違います。ですから、平均値で価格相場をお伝えすることは難しいのです。

では、もう一つデータを見てみましょう。
同じく生命保険文化センターからのデータで、[世帯年間払込保険料]対[世帯年収比率]です。

全生保
2021(令和3)年 6.7%
2018(平成30)年 7.2%

全生保・・・民間の生命保険会社、郵便局、JA(農協)、県民共済・生協等を含む

2021(令和3)年のデータによれば
世帯月収30万円の場合、20,100円(6.7%)
世帯月収50万円の場合、33,500円(6.7%)
という計算になります。

このデータも保険全体の数値となる為、医療保険相場を知るには少し物足りないデータですが、先ほど同様、周囲の人々、世間一般「より安い」「より高い」といった比較するには参考になるデータかと思います。

参照:(公財)生命保険文化センター 「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf

最後にもう一つデータを見ましょう。
同じく、生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」からのデータで、世帯年間払込保険料(全生保)[世帯主年齢別]です。

全体 29歳以下 30-34歳 35-39歳 40-44歳 45-49歳 50-54歳 55-59歳 60-64歳 65-69歳 70歳以上
令和3年 37.1 21.5 26.2 38.2 34.8 37.5 43.2 43.6 38.4 43.6 31.0

(万円)

このデータからは、ライフイベントに応じて必要保障も変化しそれに伴い支払保険料も増え、現役引退期と共に支払保険料が減っている様子がうかがえます。

一番支払の多い世帯主年齢帯は55-59歳と65歳-69歳の43.6万円となり、 月換算した場合、月額36,333円となります。

全体ですと37.1万円となり月換算した場合、月額30,916円となります。

様々データを見て参りましたが、あくまでも参考であり、世間一般の保険料平均額・世帯収入比率・年代別支払保険料といったデータだけでは、医療保険の妥当額を知るのはやはり難しいと言えるでしょう。

なぜなら、個人もしくは各ご家庭内における収入・支出・貯蓄のバランスと「必要とする保障内容は何か」を分析して初めて、ご意向に適した商品および保険料が決まってくるからです。

「他人より安い」「他人より高い」と言った視点ではなく、無理なく保険料の支払が継続でき、万一の際、役に立ってこその「保険選び」でなくてはなりません。

保険料が変わる重要な要素

前述の通り、様々な要素で保険料は異なる訳ですが、その中でも重要となる要素についておさえておきましょう。

払込期間

まず、保険料の払込方法(回数)についてですが、月払・半年払・年払・一時払の4種類があり加入時に選択します。
途中変更する事も可能です。

ただし、保険会社の規定により取扱いが出来ないケースもありますので、詳しくは加入時もしくは変更希望時に保険会社へ確認ください。

つぎに、保険料の払込期間についてですが

全期払 保険期間の全期間にわたって、保険料を払い込む
短期払 保険期間より短い期間に全保険期間分の保険料を払い込む

と2つの方法があります。※終身保険の「終身払」は全期払です。

例えば、30歳男性2名が同じ保障内容を選択、同じく月払を選択した場合でも、設定する保険料払込期間によって月の負担保険料は変わります。

全期払よりも短期払の方が一般的に月負担額は高くなります。

終身医療保険の場合で全期払である終身払を選択した場合、一生涯保険料を支払い続けなければ終身保障を確保することは出来ません。

終身払の方が月の支払は安くなりますが、無理なく保険料の支払が継続出来てこそ(老後になっても)の保険ですので、払込期間については慎重に選択する必要があります。

老後に高まる入院のリスクに対し、現役時代に保険料の支払いを終了させたい、ということで短期払である60歳払や65歳払を選択する一方で何より今の月々の負担を軽減したいので終身払を選択する、など、各ご家庭で選び方はさまざまです。

保障内容

同じ保障内容でも、保険会社が保険料を値上げするケースもあります。

最近では、保険料の算定基礎となる標準生命表が改定され2018年4月から軒並み保険料を見直す動きが各社でみられました。

保険料が安いから保障が悪い、保険料が高いから保障は万全!とも限りません。

「無解約返戻金型」と言われる保険は途中解約しても解約返戻金はありません。

いわゆる掛捨てと言われるタイプです。同じ保障内容でも途中で解約した場合に解約返戻金があるタイプの保険もあります。

また、60歳70歳時に還付金があるような商品もあります。後者のように、手元に解約返戻金や還付金が戻るタイプは比較的保険料は高くなります。

保険料を決めるポイント

安心のために加入したはずの保険が家計を圧迫し、日々の生活が苦しくなるようであれば意味はありません。

先に予算を決めてから保険に加入するのではなく、まずは将来どのような生活をしたいのか、夢や目標は何なのかをしっかり考えてライフプランを立てることから始めましょう。

そして加入している社会保障や勤務先の福利厚生制度も把握した上で、足らない保障は何なのか、保障額はどれくらい必要なのか、いくらの保険料なら払っていけそうかなどを確認しておくことが重要です。

無理なく支払いができる金額にする

生命保険は、一定期間を過ぎて保険料を滞納した場合、保険が有効でない状態「失効」になる場合があります。

契約が失効した場合は、手続きを行い未納の保険料を支払い、元の保障が機能している状態に戻す「復活」をする訳ですが、健康状態によってはこの「復活」が出来ないケースもあります。

いざという時の保障な訳ですから、保険料の滞納が続き保険が失効しないようにしなければなりません。払込回数を月払にする場合は、毎月の経費(公共料金の支払や家賃)など支払総額から、無理なく支払える金額に設定する必要もあります。

相場だけにこだわらない

上記ではデータを元に具体的%を掲載しましたが、個人個人、様々な要因が絡んできますので、この数字に捕らわれ過ぎずに保険の加入目的を確認しましょう。

支払方法や保険期間はどうすべき?

短期払と終身払のどちらを選ぶべきか

前述の通り、保険料の払込期間は「全期払」「短期払」があるわけですが、加入している限り一生涯保険料を払い続ける全期払(終身払)と一定年齢で支払いが終わる短期払のどちらを選ぶべきでしょうか?

終身払

短期払よりも毎月の保険料が安く、見直しもしやすいです。社会保障制度の改定や医療の進歩によって必要な保障は時代によって変わります。保険商品もそれにあわせて変わるため、途中で見直しができるほうが臨機応変に対応できるでしょう。

しかし、保険の継続を希望する間中保険料の支払が必要となる為、長生きをすれば支払う保険料の総額は増えます。短期払より多く支払うこともあるでしょう。

もちろん、その頃には、年金以外の収入もなく保険料の負担が家計に大きく響く可能性もあります。

短期払

60歳や65歳で払い込みが終了する短期払は、収入があるうちに払い込みが終わるので、老後に保険料の心配をすることがありません。

また、保険料が変わることはなく、解約返戻金は無いかあったとしても僅かな場合がほとんどです。ただし、老後の保険料も前倒しで支払うので毎回の保険料が終身払に比べて高く、保険の見直しがしにくいというデメリットがあります。

定期型と終身型のどちらを選ぶべきか

終身型は一度契約すれば保障期間が一生涯であると共に、保険料も一定です。ということは、終身型は老後までの保険料を平均化し、若いうちに老後の分の保険料を先払いしていく形になります。

一方、定期型は、定められた一定期間のみ保障し、その期間が満了すれば契約は終わります。期間の満了時に契約を「更新」することで保障を継続できるタイプもありますが、更新時の年齢に合わせて保険料は上がっていきます。

つまり、常にその年齢に見合った保険料を支払うことになります(定期型でも会社により、期間設定(歳満了)により更新出来ないタイプもありますのでご注意ください。)

終身型と定期型の保険料を比較するならば、若い年齢では終身型よりも定期型の方が保険料は安くなります。

しかし、老後まで医療保険に加入し続けた場合の支払保険料の総額で考えると、終身型の方が安く済むと言えるでしょう。どちらがベターかは一概には言えず、個々の考え方やライフプラン、経済状況に合わせて選択することが必要です。

まとめ

民間の生命保険会社、郵便局、JA(農協)、県民共済・生協等で販売されている医療保険の数は膨大です。

その中からご自身に適した医療保険を一つ選択するのは至難の業と言えるでしょう。

まずは、ファイナンシャルプランナーなどに相談しながら、自己分析をした上で、医療保険だけに限らず、生命保険全般の総支払額を考慮しながら加入する保険を検討してみてください。

執筆者

橘 美穂子(ファイナンシャルプランナー)

1997年大学卒業後、外資系金融機関に新卒入社。契約管理部門から営業部門へ。女性の少ない営業現場で、女性ならではの気配りや丁寧な対応でクライアントから絶大な信頼を得て営業部門初の女性管理職となるも、よりお客様に寄り添ったコンサルティングがしたく2014年に転職し現在。マネーセミナーの講師などもつとめる。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格
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