「学資保険」は、子どもの学資金の積み立てを主目的として、生命保険会社が、販売している保険です。
待望の子どもが生まれた、もうすぐパパママになる、そんな時に話題にのぼるのが「学資保険」でしょう。
「学資保険に加入すると、控除が受けられる」 という話を聞いたことがある方がいらっしゃるのではないでしょうか?
しかしながら、控除が受けられると言っても、どれくらいの額の控除を受けることができるのでしょうか。
また、具体的にはどうすれば控除を受けることができるのでしょうか。
ここでは、学資保険で受けることができる生命保険料控除について、具体的な申請方法や気をつけるべきポイントと合わせて、詳しく解説していきます。この記事を読めば、学資保険の保険料控除に関する正しい知識が身につきます。
学資保険は生命保険料控除を受けられる!
学資保険は、生命保険会社が販売している、「生命保険」の一種、ということになります。従って、学資保険も生命保険に加入した際に受けることができる、「生命保険料控除」の対象になります。
現在の生命保険料控除制度は、保険の種類に応じて「一般の生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「新個人年金保険料控除」の3種類があります。学資保険はそのうちの「一般の生命保険料控除」の対象として、年末調整や確定申告で所得控除を受けることができます。控除の対象は、1月から12月までに支払った保険料です。
※生命保険料控除制度には旧制度と新制度があります。この点については後ほど解説いたします。
学資保険の控除申請の際に気をつけるべき4つのポイント!
年末調整で申告できるのは「保険料を負担している人」
生命保険料控除は、保険料を支払った方が受けることができます。契約者が、保険料負担者と違う場合は、契約者ではなく保険料を支払った方が、保険料控除を受けることになります。
また、控除を受けるためには、保険金等受取人の方が
- 保険料負担者
- 保険料負担者の配偶者
- その他の親族(※)
のいずれかである必要があります。保険金受取人が2名以上いる場合は、全員がこの条件に該当する必要があります。
なお、保険料負担者と保険金の受取人が誰なのかによって、受け取った保険金にかかる税金の種類が異なることに注意が必要です。(負担者=受取人の場合は一時所得、負担者≠受取人の場合は贈与税の対象となります。)
※その他の親族とは6親等以内の血族と3親等以内の姻族の方です。
生命保険料控除を受けるための必要書類と提出時期
給与所得者の場合
給与所得者は年末調整で
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 生命保険料控除証明書
を添付する必要があります。
年末調整書類の提出期限は年内ですので、保険料の払い込みが確認できていない、「払い込み予定額」部分の申告については、次のような流れとなります。(給与所得者でも一定の条件に当てはまる方は確定申告が必要です)
※月払契約の控除証明書には「証明額」と「申告額」の2つの記載があります。保険料の払い込みが確認できている金額が「証明額」、12月まで保険料を支払った場合の金額が「申告額」です。12月まで保険料を支払う場合は申告書には「申告額」を記入します。
※年払・半年払の控除証明書も、保険料のお払い込みを確認できてからの発行となるため、たとえば保険料払込の月が
10月~12月の場合等は生命保険料控除証明書発行が勤務先の年末調整の申告期限に間に合わない場合があります。 この場合は保険会社が発行する「生命保険控除申告予定額のお知らせ」等を提出して年末調整をして、後日発行された「生命保険料控除証明書」を提出することで控除を受けることが可能な場合がありますが、勤務先によりご対応が異なる場合がありますので勤務先へのご相談をお願いします。
注)「生命保険控除申告予定額のお知らせ」等で控除証明書に替えることはできません。
※その年に生命保険に新しく加入した場合も年末調整までに控除証明書の発行が間に合わない場合があります。この場合も勤務先へのご相談ください。
自営業者など事業所得者の場合
事業所得の方は確定申告で
- 確定申告書の生命保険料控除の欄を記入
- 生命保険料控除証明書の添付
が必要になります。
生命保険料控除証明書を紛失している場合
生命保険料控除証明書を紛失している場合は保険会社に再発行を請求してください。
保険期間が5年未満の場合は、控除対象にならない場合も
学資を積み立てる目的で学資保険以外の生命保険に加入している場合も、保険種類に応じて保険料控除を受けることができます。ただし、次の場合は控除を受けることができません。
- 保険期間が5年未満の契約の貯蓄保険や貯蓄共済
- 外国生命保険会社等又は外国損害保険会社等と国外で締結したもの
- 財形貯蓄契約、財形住宅貯蓄契約、財形年金貯蓄契約
生命保険料控除額は上限があり控除できない可能性も
生命保険料控除制度は、平成22年に改正が行われました。契約日が、平成24年1月1日以後の契約は、「新制度」(所得税での適用限度額4万円)が適用されますが、契約日が、平成23年12月31日までの契約では、改正前の「旧制度」(所得税での適用限度額5万円)と新制度のいずれかを選ぶことができます。
支払った額に応じた控除を受けることができますが、それぞれの限度額を超えた部分は、控除の対象外となります。
※両方の契約を併せて申告する場合の限度額が、別途決められています。
新制度
【所得税】
支払った保険料の額 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払った保険料の全額 |
20,001円から40,000円まで | 支払った保険料の合計×1/2+10,000円 |
40,001円から80,000円まで | 支払った保険料の合計×1/4+20,000円 |
80,000円を超える場合 | 一律40,000円 |
【住民税】
支払った保険料の額 | 控除額 |
---|---|
12,000円以下 | 支払った保険料の全額 |
12,001円から32,000円まで | 支払った保険料の合計×1/2+ 6,000円 |
32,001円から56,000円まで | 支払った保険料の合計×1/4+14,000円 |
70,000円を超える場合 | 一律28,000円 |
旧制度
【所得税】
支払った保険料の額 | 控除額 |
---|---|
25,000円以下 | 支払った保険料の全額 |
25,001円から50,000円まで | 支払った保険料の合計×1/2+12,500円 |
50,001円から100,000円まで | 支払った保険料の合計×1/4+25,000円 |
100,000円を超える場合 | 一律50,000円 |
【住民税】
支払った保険料の額 | 控除額 |
---|---|
15,000円以下 | 支払った保険料の全額 |
15,001円から40,000円まで | 支払った保険料の合計×1/2+ 7,500円 |
40,001円から70,000円まで | 支払った保険料の合計×1/4+17,500円 |
70,000円を超える場合 | 一律35,000円 |
学資保険の控除で還付される金額をシミュレーション
新制度での、還付額の試算(概算)は次のようになります。
※年間に支払った保険料10万円・控除額は所得税で4万円・住民税で2.8万円として試算しています。
※所得金額=(収入金額)-(給与所得控除・基礎控除・配偶者控除・扶養控除)
学資保険の控除申請の具体的な方法
会社員
前述と重なりますが、年末調整で
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 生命保険料控除証明書
の2点を添付します。
自営業
こちらも前述と重なりますが、確定申告で
- ①確定申告書の生命保険料控除の欄の記入
- ②生命保険料控除証明書を添付
することになります。
まとめ
学資保険で受けることができる、生命保険料控除について、ご理解いただけたのではないでしょうか。
学資金の積み立てができて、控除を受けることもできるので、とてもお得な制度と言えるのではないでしょうか。
ですから、生命保険料の控除申請は忘れずに行ってくださいね。
申告時に気をつけるべきポイントについてもご紹介しました。少し複雑な部分もありますから、わからない点がある方もいらっしゃるかもしれません。そんな時は、「保険のプロ」である、ファイナンシャルプランナーに相談してみることをお勧めします。
お気軽にご相談ください。