貯蓄型保険とは
一般的に、保険種類を分類する上で「貯蓄型保険」という正式な種類・名称はありません。保険は「掛捨て」というイメージが強いのに対し、途中で契約を解約した際、戻るお金が支払った保険料相当額ある商品や、満期保険金等がある商品を総称して分かりやすく表現した言葉です。
貯蓄型保険の種類
では、実際のどのような保険のタイプが、この「貯蓄型保険」と呼ばれる商品なのでしょうか? 詳しく解説してまいります。
養老保険
この保険は、死亡保障額と同額の満期保険金が設定されたものです。
例えば10年満期、保険金500万円の養老保険に加入した場合、保険期間中に被保険者が亡くなると保険金500万円を残された死亡保険金受取人が受け取り、契約は終了します。一方で、被保険者が10年後に生存して満期を迎えた場合、満期保険金500万円を満期保険金受取人が受け取り、契約は終了します。
終身保険
この保険は、文字通り、一生涯に渡り保障が継続するタイプの保険です。満期と言われる終了はありません。しかし、死亡保険金を受取らず、途中で解約した場合に、解約返戻金を受取ることができるという特徴があります。中には払込んだ保険料より多くの解約返戻金を受取ることができる場合もあり、貯蓄型保険と呼ばれる一つと言えるでしょう。解約をしなければ亡くなったときに死亡保険金を受取って保険契約は終了します。
ただし、終身保険の中には「低解約返戻金型」というものもあります。保険料払込期間中は通常の終身保険の解約返戻金よりも低く抑えられていて、払込が終わってからは解約返戻金が多くなるタイプの終身保険です。解約返戻金が低く抑えられている期間がありますので、注意が必要です。
また、保険料は一生払い続ける「終身払」と一定期間で払込みが満了する「有期払」(「短期払」ともいいます)がありますが、「有期払」のほうが貯蓄性は高くなります。また、保険料を一括で支払う「一時払」の商品もあります。
学資保険(こども保険)
親が契約者、子が被保険者になる保険で、こどもの教育資金の準備を目的にした保険です。
満期まで被保険者である子が生存していれば満期保険金が支払われます。一方で、契約期間中に契約者である親が亡くなるとその後の保険料の支払いが免除になり、その上契約で決められている入学祝金、満期保険金は支払われます。満期まで毎年一定額の育英年金がこどもに支払われるタイプもあります。
定期保険
一定期間の死亡保障があり、保険期間が満了となったときには満期保険金はありません。被保険者が死亡せずに満期をむかえると何も受取らずに保険契約は終了します。また、途中解約をすると解約返戻金はない、あるいはあってもごく少額なのが一般的です。しかし定期保険のなかには保険期間が99歳や100歳迄と長い「長期定期保険」という保険があり、長期間の死亡保障がついているなどから保険料は高くなりますが、途中で解約した場合は相当額の解約返戻金を受取ることができます。
このような「長期定期保険」は学資保険(こども保険)や年金保険の代替商品として検討されるほど貯蓄型の保険という特徴も持ち合わせています。
年金保険
将来年金として、あるいは年金原資としてまとまったお金を受取る保険です。一定期間保険料を払込み、払込みが終了した時点で年金として受取るか年金原資として一括で受取ります。払込みが終了してもすぐに受取らず据え置きをしておいてその後に受取る方法もあります。
貯蓄型保険のメリット
加入期間中は保障を備えながら、一定期間保険を継続すれば、支払った保険料相当額が解約返戻金や満期保険金等で手元に戻って来る、保障と貯蓄の良いとこどりと言えるでしょう。
貯蓄にもなる
保険料は、月払・年払・半年払・一時払と回数を選択でき、保険会社によっては、支払方法をクレジットカードにすることも出来ます。これなら、計画的に目的を持って貯蓄する手段としても利用可能です。途中で遣ってしまう心配も減るかもしれません。
所得税・住民税が軽減されます
保険料は条件を満たせば、生命保険料控除により所得控除の対象となりますので、一定の所得税・住民税が軽減されます。実質的に受け取る金額が多くなると考えることもできます。
貯金の満期で元利金を受取った場合は、利息の20.315%の税金が源泉徴収されます。
一方で、保険の場合は、満期保険金や解約返戻金を受取ったときには払込んだ保険料より多く受取っていればその差額の部分に税金がかかります。ただし一定の条件を満たして、[一時所得]として受取ることができた場合には、所得税法上の一時所得控除が受けられるので税金がかからない場合もあります。(契約内容によっては利益の部分に20.315%の税金が源泉徴収されるケースもあります。)
貯蓄型保険のデメリット
急な資金需要や保険料の支払困難により、保険満期や予定していた解約時期よりも早めに解約をした場合、解約返戻金がなかったり、あっても、かなり少ない場合などもあります。
貯蓄型保険の賢い選び方
ライフスタイルの変化があっても保険料を払い続けることができるかどうかは大切なポイントです。例えば、子どもをもう1人授かり妻の収入が減った、転職をして一家の収入が減った、などにより保険料が払えずやむを得ず保険を解約する場合は大きな損失となります。いつまで、いくらなら払い続けることが出来るかを確認して、どの保険がご自身の計画に最適かを考えて選びましょう。
貯蓄をする目的をはっきりさせましょう
例えば、○○年後にはこどもの大学進学資金が必要になる、○○年後にはマイホームを建てるので頭金を準備する、○○年後には退職するので公的年金を受給するまでの間の生活費を準備する、などです。
満期の時期や解約時期を決めましょう
何年後に資金が必要なのか確認した上で、そのためにいつまで保険料を払込めばよいかを検討しましょう。
まとめ
貯蓄型保険に加入するときには、
①いつ、どれだけの資金が必要なのか?
①保険料はいくらなら無理なく払えるか?
③保険料払込み期間はいつまで可能か?
この3つの条件を満たす貯蓄型保険を探しましょう。