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生命保険受け取り時にかかる税金の種類と仕組みは? 具体例を交えて解説!

生命保険

この記事を書いた人

橘 美穂子(ファイナンシャルプランナー)

1997年大学卒業後、外資系金融機関に新卒入社。契約管理部門から営業部門へ。女性の少ない営業現場で、女性ならではの気配りや丁寧な対応でクライアントから絶大な信頼を得て営業部門初の女性管理職となるも、よりお客様に寄り添ったコンサルティングがしたく2014年に転職し現在。マネーセミナーの講師などもつとめる。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格
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自分が加入している生命保険。万一の場合に残された家族が受け取ることになる保険金にも税金がかかることはご存知でしょうか。

『自分の保険にはどれくらの税金がかかるの?』
『対策は必要なの?』

と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

生命保険金の受け取り時に関する課税の仕組みがとても複雑で何をどう調べて良いのかわからないという方のために、ここでは、どのような生命保険金にどのような税金がかかるのか詳しく解説していきます。

この記事を読めば、自分の加入している生命保険の保険金の受け取りにどのくらいの税金がかかるのか理解出来るでしょう!

生命保険にかかる税金についての基礎知識

生命保険の契約形態における登場人物

生命保険に出てくる用語は、日常生活で使うことも少なく馴染みがない方も多いと思います。一般社団法人生命保険協会のホームページに生命保険に関する用語の解説があります。その内容を参考にしながら、まずは契約形態における登場人物と用語を確認していきましょう。

今回は、登場人物を分かりやすくするために次のような具体例を設定させて頂きました。

具体例

保険加入者:45歳男性会社員
家族構成:配偶者(専業主婦)・子2人
概要:10年前、第1子の誕生と共に生命保険に加入。保険料は毎月給与から天引きとなっている。
参照:(社団)生命保険協会 「生命保険の基礎知識:用語解説」 
https://www.seiho.or.jp/data/billboard/introduction/content09/

契約者

保険会社と生命保険の契約を結んでいる人のことです。保険料を払い込む義務や契約の内容を変更する権利など、さまざまな権利・義務を有しています。
上述の具体例においては、45歳男性会社員の方が契約者となります。

被保険者

保険の対象となっている人のことです。
上述の具体例ですと、45歳男性会社員の方に万一があった場合の保険ですから、被保険者となります。

受取人

保険金、給付金などを受取る人のことです。
上述の具体例ですと、一般的に配偶者の方が死亡保険金の受取人となることが多いです。

生命保険に税金がかかる3種類の「お金」

ここからは、生命保険に加入している中で受け取ることになる保険金のうち、税金のかかる3種類の「お金」について説明致します。生命保険に加入している中で受け取ることになる保険金の中には税金のかからない、いわゆる非課税の「お金」もあります。医療保険で受け取る、入院給付金や手術給付金などはこれに該当します。

死亡保険金

3種類のお金の一つ目、死亡保険金から説明しましょう。被保険者が死亡した場合に発生する保険金です。これを個人が受取った場合には、税金の対象となることがあります。どの種類の税金に該当するかについては、

  1. 誰が契約者なのか?
  2. 誰が被保険者なのか?
  3. 誰が受取人なのか?

といった保険の契約形態、つまりは保険の契約者(=保険料負担者)、被保険者(=保険対象者)、および受取人の関係によって税金の種類が決まります。

課税される可能性がある税金は次の3種類になります。

①相続税

契約者=被保険者≠受取人(相続人)の場合
例えば、契約者(夫)、被保険者(夫)、受取人(妻)

②贈与税

契約者≠被保険者≠受取人の場合
例えば、契約者(祖父)、被保険者(父)、受取人(子)

③所得税

契約者=受取人の場合
例えば、契約者(子)、被保険者(父)、受取人(子)

具体的な計算については次章以降で詳しく解説していきます。

満期保険金

3種類の「お金」の2つ目は、満期保険金です。満期保険金とは、満期を迎えたときに保険会社から支払われるお金のことを指します。

個人が満期保険金を受取った場合、2種類のうちどちらかの税金の対象となります。どちらの種類に該当するかについては死亡保険金と同様、契約形態により税金の種類が変わります。

  1. 所得税 契約者=満期保険金受取人の場合
  2. 贈与税 契約者≠満期保険金受取人の場合

満期保険金については、こちらの記事でも詳細を説明しております。

養老保険の満期保険金と税金の関係 養老保険の満期保険金と税金の関係 養老保険の満期保険金を受け取る場合に税金はかかるのか、かかるとするとどのような税金がかかるのか? 養老保険の満期保険金と税金についてまとめています。 目次 養老保険ってどんな保険?養老保険が満期になると税金はかかる?養老 […]

解約返戻金

3種類の「お金」の3つ目は、解約返戻金(保険会社によっては解約払戻金ともいいます)です。解約返戻金とは、保険の契約を途中で解約した場合に保険の契約者に払い戻すお金のことを指します。

個人が解約返戻金を受け取った場合、受け取った解約返戻金額がそれまでに支払った保険料総額よりも多い場合、一時所得として所得税の対象となります。一時所得の金額計算は後述します。

解約返戻金については、こちらの記事でも詳細を説明しております。

生命保険の解約返戻金とは? 仕組みを解説 生命保険の解約返戻金とは? 仕組みを解説 生命保険を契約途中で解約したときに払い戻されてくるお金のことを解約返戻金(かいやくへんれいきん)と言います。解約返戻金の仕組みを知り、この解約返戻金も目的の一つとして保険加入を検討する場合は、課税方法の違いなど、加入前にしっかりと確認しておきましょう。

生命保険に相続税がかかる場合

ここまでは、3種類の「お金」にどのような税金がかかるのか説明して参りました。ここからは、被保険者が死亡した場合に発生する死亡保険金にかかる税金に焦点を絞って解説して参ります。まずは相続税からです。

相続税の控除額はいくら?

相続税がかかる契約形態は、契約者=被保険者≠受取人(相続人)の場合です。

この契約形態の場合、受取った死亡保険金にかかる相続税はどのように計算されるのでしょうか?実は、死亡保険金の一定額は非課税となります。

非課税額の計算は、500万円×(法定相続人数)となります。

なお、相続を放棄した者や養子がいる場合は、法定相続人数の扱いに確認が必要となります。

例えば、夫・妻・実子A・実子Bの家族で、夫が亡くなった場合
死亡保険金の非課税限度額は、500万円×3人(妻・実子A・実子B)=1,500万円 となります。

この家族の場合で、夫のすべての保険金額合計が1,500万円以下であれば相続税はかかりません。

死亡保険金にはこんな特典があるのですね。残された遺族の為の大事なお金。生命保険の役割は重要ですね。

でも、これを超えた場合はどうなるのでしょうか?

非課税枠を超えたからといって必ず相続税を払うわけではありません。まだ控除できる分があります。

そもそも相続税には、基礎控除というものがあります。

基礎控除額は、3,000万円+600万円×(法定相続人数)となります。

なお、相続を放棄した者や養子がいる場合は、法定相続人数の扱いに確認が必要となります。

前述の家族の場合であれば基礎控除額は、
3,000万円+600万円×3人(妻・実子A・実子B)=4,800万円となります。

不動産や現預金、死亡保険金などそれぞれを相続財産として評価計算した合計額が、上記の基礎控除額(4,800万円)以下ならば相続税はかかりません。

また、死亡保険金が1,500万円以上あり、その非課税枠1,500万円(500万円×3人)をそのまま使える場合は、相続税の基礎控除の4,800万円を加えた6,300万円までが非課税ということになります。

※上記計算は基礎控除以外に控除できるものが無い場合とします

具体的な事例での計算

では、正味の遺産が1億円だった場合(うち、死亡保険金は3,000万円 受取人は妻)で、基礎控除額を上回る場合はどうでしょうか?

(正味の遺産10,000万円) - (控除額 6,300万円) = (課税対象額3,700万円)
(控除額 6,300万円) = (死亡保険金非課税額1,500万円) + (基礎控除額4,800万円)

課税対象額を、法定相続分通りに分けたと仮定します。
妻:3,700万円 × 1/2 = 1,850万円
実子A:3,700万円 × 1/4 = 925万円
実子B:3,700万円 × 1/4 = 925万円
※上記計算は他に控除できるものが無い場合とします

それぞれの法定相続人の税額を以下の速算表記載の控除額と率により算出し、合計された金額が相続税の総額になります。

各相続人の課税額

妻:1,850万円 × 15% - 50万円 = 227.5万円
実子A:925万円 × 10% = 92.5万円
実子B:925万円 × 10% = 92.5万円
合計 412.5万円

相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円
1億円超~2億円以下 40% 1,700万円
2億円超~3億円以下 45% 2,700万円
3億円超~6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

各相続人の税額の合計412.5万円の課税額を法定相続分で分けた場合、それぞれが支払う相続税額は、
妻:412.5万円 × 1/2 = 206.25万円
実子A:412.5万円 × 1/4 = 103.125万円
実子B:412.5万円 × 1/4 = 103.125万円
となります。

ここでもう一つ税額軽減の規定があります。

それは、配偶者の税額軽減です。配偶者が取得した遺産額が法定相続分もしくは1億6千万円までの場合、配偶者には相続税がかかりません。

結果、相続税の額は
妻:0円 実子A:103.125万円 実子B:103.125万円
となります。

死亡保険金の受取人が複数に存在する場合や、保険金の額が高額になる場合、各相続人の非課税限度額などについては細かい計算が必要になりますので、詳しいことは、担当税理士さんや所管の税務署に確認してみましょう。

生命保険に所得税がかかる場合

次に所得税について詳しく説明します。
この税金は、契約形態により死亡保険金・満期保険金にかかります。また、解約返戻金に税金がかかる場合もこの税金となります。いずれの場合も一時所得として所得税の課税対象となります。

ただし、保険商品等により、源泉分離課税対象となるお金もありますのでご注意ください。

ここでは、一時所得としての所得税の計算対象となる「お金」について説明します。

一時所得に課税される所得税

一時所得の金額の計算は、
一時所得額 =(死亡保険金)- (正味払込保険料総額)- (特別控除額50万円)
そして、総合課税の対象となる金額は、この一時所得額の1/2となります。
(総合課税の対象金額)= (一時所得額)×1/2
総合課税の対象金額に収入に応じて変化する所得税率を乗じた額が、一時所得に課税される所得税額となります。

具体的な事例での計算

例えば、死亡保険金500万円を受取った場合を考えてみましょう。 (契約形態:契約者=受取人)

契約者=受取人Aさんは、保険料を総額200万円支払っていたと仮定しましょう。
(死亡保険金500万円) - (正味払込保険料総額200万円) - (特別控除額50万円)= 250万円
となり、一時所得の金額は、250万円となります。

一時所得の金額の1/2、つまり、125万円が総合課税の対象となります。所得税率が、10%だった場合
125万円 × 10%税率 = 12.5万円が、この死亡保険金に対する所得税となります。
※上記計算は他に控除できるものが無い場合とします

所得税率は、課税所得金額によって一人一人違い、平成27年度分以降より5%から45%と7段階に区分されています。詳しくは次の表をご確認ください。

課税総所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

収入に応じて、所得税率は違います。また、死亡保険金以外にも手にした所得があれば総合課税される可能性があります。やはり、詳しいことは担当税理士さんや所管の税務署に確認してみましょう。

生命保険に贈与税がかかる場合

最後に、贈与税について詳しく説明します。この税金も契約形態により死亡保険金・満期保険金にかかります。

贈与税の控除額はいくら?

死亡保険金を受け取る場合で考えてみましょう。まずはこの税金がかかる契約形態から確認です。
契約者≠被保険者≠受取人の場合に贈与税がかかることになります。

贈与税には、基礎控除があり、その金額は110万円となります。しかしながら、この基礎控除以外に控除が存在しないため、受け取った死亡保険金から110万円を引いた額が贈与税の課税対象になります。

(死亡保険金)- (基礎控除額110万円) =(贈与税の課税対象額)

贈与税の課税対象額に贈与税率を掛けた額が、この死亡保険金に対する贈与税となります。

具体的な事例での計算

例えば、死亡保険金300万円を受取った場合(契約形態:契約者≠被保険者≠受取人)
〔(死亡保険金300万円)-(基礎控除額110万円) 〕× (税率10%) = 贈与税額19万円

贈与税率についても、課税対象額によって一人一人違ってきます。詳しくは次の表をご確認ください。

基礎控除後の課税価格 特例贈与財産 一般贈与財産
税率 控除額 税率 控除額
200万円以下 10% 10%
200万円超~300万円以下 15% 10万円 15% 10万円
300万円超~400万円以下 20% 25万円
400万円超~600万円以下 20% 30万円 30% 65万円
600万円超~1,000万円以下 30% 90万円 40% 125万円
1,000万円超~1,500万円以下 40% 190万円 45% 175万円
1,500万円超~3,000万円以下 45% 265万円 50% 250万円
3,000万円超~4,500万円以下 50% 415万円 55% 400万円
4,500万円超 55% 640万円

※特例贈与財産とは、20歳以上の者が直系尊属(父母・祖父母等)から贈与を受けた財産のこと

贈与税は控除額が少なく、税率が他の税よりも高く設定されているため支払う税金は思っていたより多くなることもあります。また、死亡保険金以外にも、1月1日から12月31日の1年間に、同一人物より贈与を受けていた場合は、合算した額で贈与税の計算となります。詳しいことは、担当税理士さんや所管の税務署に確認してみましょう。

生命保険にかかる税金に関するQ&A

ここまで、3種類の税金のこと、税額の計算の仕方、非課税や控除される「お金」もあることなどを説明致しましたが、多く寄せられる質問について回答致します。

生命保険で保険金を受け取った場合確定申告は必要ですか?

生命保険のうち、医療保険等で受取る入院給付金や手術給付金は非課税ですから、確定申告の必要はありません。

これまで説明した3種類の税金については、それぞれの計算の結果、納税の必要がある場合は確定申告が必要となります。

詳しいことは、担当税理士さんや所管の税務署に確認してみましょう。

配偶者は生命保険にかかる税金の控除額が大きいのですか?

前述してきました通り、生命保険金の受取にかかる税金は、概ね3種類となります。

①相続税 ②所得税 ③贈与税です。

所得税や贈与税では、非課税額や控除額、税率などが一律に決められていますので、配偶者の「生命保険金」にかかる税金の控除額が大きい訳ではありません。

ただし、①相続税については、配偶者は「配偶者の税額軽減」を差し引いた上で相続税が計算されますので、配偶者は他の方と比べると控除額が大きいということが出来ます。

どのような契約形態で配偶者が生命保険金を受取るのか、これが重要なポイントとなります。

まとめ

今回は、生命保険で保険金を受け取った際にかかる税金について、かかる税金ごとに分けて詳しく解説してきました。

受取人・被保険者・契約者をそれぞれ誰にするかで、課税金額に大きな差が出てくることがお分りいただけたと思います。

場合によっては支払わなくても良い税金を支払うことにもなりかねませんから、しっかりと確認をする必要があります。

複雑な制度であるため、どのような契約形態にするのがベストなのか分からない方もいらっしゃるでしょう。そんな時は「保険のプロ」であるFPに相談してみてください。

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