何が違う? 生命保険と損害保険

生命保険

世の中には多くの保険が存在しますが、その中でもよく聞くのが「生命保険」と「損害保険」だと思います。生命保険が、どのような保険なのかイメージできる人は多いと思いますが、損害保険については曖昧な人もいることでしょう。

そこで、この2つの保険の違いと、主に損害保険とはどんな保険なのかを解説していきます。

生命保険と損害保険の違い

まず、「生命保険」と「損害保険」の特徴を説明していきます。

生命保険の特徴

生命保険は、被保険者が死亡されたとき、または一定時期に生存されていた場合、契約時に定めた金額が保険金として定額で支払われるものです。

保険金の支払条件により、死亡保険、生存保険、生死混合保険の3つの基本形に分類でき、それぞれを組み合わせたり、特約を付加することで様々な保険商品が販売されています。

損害保険の特徴

損害保険は、偶然の事故や災害等の危険に対して、保険料を拠出して万一の経済的な損失を軽減させるためのものです。

偶然の事故で損害があった場合、その損失を補填するために加入するものです。

損害保険は保険の対象となるものにより、人的リスク・物的リスク・賠償責任リスクに分けられ、また、保険金の支払は、実際の損失額が支払われるものと、実際の損失額にかかわらず、定額で支払われるものの2種類のタイプがあります。

私たちの日常生活や事業活動は、火災・地震などの自然災害や自動車事故・ケガ、また労災事故や賠償事故など、さまざまなリスクに取り囲まれていますので、それに対応するために、火災保険・自動車保険・傷害保険・賠償責任保険など多くの保険商品が用意されています。

もし、火災保険がなければ、家に住むことはできるのでしょうか?
もし、自動車保険がなければ、車に乗ることはできるのでしょうか?

ほとんどの方が、日常生活や事業活動のリスクが怖くなって、何もできない状態に陥ることになるのではないでしょうか。

損害保険とは、生命保険と同様、まさに私たちの生活の基盤を支え、なくてはならないものだと理解していただけるのではないでしょうか。

損害保険の代表的な保険

次に損害保険の代表的な保険を説明していきます。

火災保険

火災保険は、火災だけでなく、落雷や風災などの自然災害による、建物や家財などの保険の対象に生じた損害を補償する保険です。

保険の対象となる建物、家財、什器・備品、商品、設備等について、それぞれに保険金額(保険契約において設定する契約金額)を設定し加入します。

保険金額の設定は、加入にあたり非常に大事なポイントとなります。

火災保険は保険金額を上限として、保険金が支払われますので、設定されます保険金額は保険価額(保険の対象物の時価評価額)と同額にて契約することが重要となります。

仮に保険価額(時価評価)を超えた保険金額を設定し契約していても(超過保険といいます)、超えた部分に関して保険金は支払われませんので、その部分の保険料は無駄となります。

また逆に、保険価額を下回る設定の場合(一部保険といいます)、保険金が比例払され、十分な保険金が支払われませんので、適切な保険金額を設定することが大事となります。

なお、家計分野の住宅に対する火災保険は、現在、保険金だけで元どおりに再築できる再調達価額(新価)で評価し、損害発生時の損害額を保険金として支払われる実損払いの商品が主流となっております。

地震保険

地震保険は、地震保険に関する法律(地震保険法)に基づき、政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の高い保険です。

火災保険では、地震・噴火またはこれらを原因とする津波による損害は免責となっているため、地震等による損害をカバーするためには、火災保険に地震保険を付帯して契約する必要があります。(地震保険は単独では契約できないため)

保険の対象は、居住用の建物およびそれに収容されている家財となっており、全損、大半損、小半損、一部損の損害を被った場合、それぞれの損害の程度に応じて保険金が支払われます。

自動車保険

自動車保険は、自動車損害賠償保障法で加入することが義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と任意に加入する自動車保険に分けることができます。

自賠責保険では、人身事故(例えば、被害者1名に対して、死亡保険金は3000万円など限度額があります)のみを補償の対象としているため、自賠責保険でカバーできない損害に対して、任意の自動車保険で備えることが必須となります。

任意の自動車保険は、自動車事故に対する様々な損害を補償する保険で、大きく以下の3つの補償に分けることができます。

  • 他人の身体や財物に与えた損害を補償(対人賠償責任保険、対物賠償責任保険)
  • 運転者や同乗者の身体の傷害を補償(人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険、自損事故保険、無保険車傷害保険)
  • 自分の自動車が被った損害を補償(車両保険)

また最近は新しく、補償範囲を拡大した保険や、契約者の年齢・車種・使用目的・走行距離等に応じて保険料が決まるリスク細分型自動車保険なども販売されています。

海外旅行保険

海外旅行保険は、海外旅行を目的として、住居を出発してから帰宅するまでの間(旅行行程中)に生じた事故による損害を補償する保険です。

基本補償は、旅行行程中の傷害による死亡・後遺障害・治療費用などの補償です。

また、特約を付帯することにより、旅行行程中の病気や賠償責任を負ったとき、携行品の損害や事故のときの救援者費用、本人や近親者が死亡したりして旅行をキャンセルしたり短縮したりしなければいけないときの費用などの保険金が支払われます。

第三分野の保険の保険って?

保険は、国などが取り扱う公的保険と、民間の保険会社が取り扱う私的保険に大きく2つに分かれます。

保険業法では、その私的保険を、第一分野の保険(生命保険)、第二分野の保険(損害保険)、第三分野の保険(傷害疾病保険)と3つに大別しています。

第一分野の保険は生命保険会社が、第二分野の保険は損害保険会社が取り扱い、第三分野の保険は、生命保険会社、損害保険会社いずれの会社でも取り扱うことができます。

具体的には、傷害保険、医療保険、ガン保険、介護保険、海外旅行保険などが第三分野の保険商品となります。

まとめ

私たちを取り巻くリスクは、大きく3つに分けられます。

  • 人的リスク(個人や経営者・従業員が死亡、傷害、病気等により個人や企業が被る経済的損失や長生きのリスク)
  • 物的リスク(火災や爆発、風水害、地震等により、住宅・家財や店舗、工場、機械、設備、商品などに被る経済的損失)
  • 賠償責任リスク(自動車事故等により他人を死傷させたり、他人の物財を損壊させたりすることにより被る経済的損失)

それぞれのリスクをカバーするためには、補償(保障)範囲が違う損害保険、生命保険をそのリスクの対象に合わせて組み合わせて、付保していくことが重要となります。

保険制度は、相互扶助の精神により成り立っており、保険料という少ないコストにより、大きなあんしんを得られる保険は、リスクに備えるためのなくてはならない、合理的な仕組みです。

監修者

橘 美穂子(ファイナンシャルプランナー)

1997年大学卒業後、外資系金融機関に新卒入社。契約管理部門から営業部門へ。女性の少ない営業現場で、女性ならではの気配りや丁寧な対応でクライアントから絶大な信頼を得て営業部門初の女性管理職となるも、よりお客様に寄り添ったコンサルティングがしたく2014年に転職し現在。マネーセミナーの講師などもつとめる。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格
この監修者の記事一覧
プロフェッショナルの
ファイナンシャル・プランナーに

無料保険相談!
ほけんペディアを運営する、アイ・ティ・コンサルティング(ITC)は、
国家資格をもった50名以上のファイナンシャルプランナーで構成する保険技術者集団であり、
ファイナンシャルコンサルティングを基本手法とする独立系保険代理店です。
保険のことでお困りのことがありましたら、
お気軽にご相談ください。