生命保険で資産運用する方法

生命保険

昨今の低金利のことを考えると、株などの資産運用をしたい、と考える方もいるでしょう。今回は一つの選択肢として、生命保険での資産運用をご紹介します。

生命保険と資産運用

まず生命保険のそもそもの役割を考えてみましょう。

一面は加入者の方に万が一の場合の準備としての保障を重視したもの、それからもう一面には貯蓄性に重きを置いたものがありますが、どちらも加入される方の大切な資産を守ることを目的としています。

つまりは生命保険本来の目的には資産を守る・運用するといった側面があるという事をまずご理解ください。

ただ、同時に保険としての機能がある分、その部分のコストが発生するということも理解しておいてください。

さて、資産運用をしたいと考える方は、まずは株式や投資信託などの金融商品を思い浮かべられると思います。

ただこれらの商品は価格変動などのリスクがあり、商品構造的にも複雑で何となくレベルが高く、なかなか第一歩を踏み出せないといった方のほうが多いのではないでしょうか。

その点、生命保険は万が一の場合の準備を併せ持っている点からも、まずは検討しやすい部類の資産運用商品に分類できるのではないでしょうか。

既に多くのご家庭で、貯蓄として学資保険などを活用されている方々も多くいらっしゃいますよね。

老後準備の年金保険などもその一つですし、意外と意識しないで活用されている方も多いのでないでしょうか。

最近は、投資信託的な要素を含んだ生命保険や外貨での運用対応ができる生命保険も多くの方々に採用されている点など、既に生命保険を活用した資産運用も一般的になってきたのではと考えられますね。

・・・そもそも、生命保険で資産運用ってどういうこと?

少し戻って、そもそも何故生命保険で資産運用するの?という事ですが。

資産運用を考えるとき、昨今の日本の低金利状況から、預貯金で資産運用しても大半の方の目標通りにはお金を増やすことはできません。

したがって預貯金のみならず、多くの金融商品に資金を分散して運用していくことが重要となります。

その一つとして生命保険を活用するという事ですが・・・

運用のみならず、万が一の場合の保障も兼ね備えている点からも、選択肢としての生命保険は他の金融商品には無いメリットがあると言えます。

ただ生命保険での資産運用といっても様々なタイプの商品がある為、どのようなタイプの商品を資産運用商品として選んでいけば良いのかが大切になってきます。

資産形成可能な保険の種類とは

資産形成可能な商品として既に生命保険は活用されていることは、ご理解いただけるとは存じます。

代表的なものでは、先に述べた学資保険や年金保険、養老保険や終身保険も該当する商品と言えると思います。

ただ昨今はさらに構造的にも進んだ(投資信託的な要素や外貨運用を組み込んだ商品)保険商品が販売されている事も注目すべき点です。

以下にその代表的な商品についてお伝えしていきます。

まずは変額保険

変額と名の付く通り、運用実績の成果により将来受け取るべき満期保険金や解約返戻金が変動していくものです(変額個人年金保険などもその代表格です)。

投資信託的要素の強い保険で、保険料がその商品が持つ株式や債券などの運用ファンドに振り分けられ、そのファンドの運用実績が成果に現れ満期保険金や解約返戻金が上下していきます(万が一の死亡保険金は最低保証が確保)。

変額保険の種類を細かく説明することはまずさておいて、大きく異なる成果を生むものとして、一時払と月払のように払込期間が異なるものに分けて考えることが重要です。

一時払の変額保険は、株式を購入するイメージに近いものがあります。

ポイントはその時に購入した価格(変額保険の場合その時に契約した保険に組み込まれているファンドの価格)が基準となり、その価格より上昇したか下落したかによって運用成果が上下するという点です。

ある意味判りやすいですよね。

ただ購入単価が安くはなく(~百万円単位)、リスクもリターンも大きく跳ね返来るというメリット・デメリットが生じます。

次に月払のような購入期間が分散されるものですが、リターンについては簡単には判りにくいですが、リスクについては一時払で購入するよりかなり軽減されます。

また、月々支払う保険料の組み入れ割合もある程度自由に変更できるというメリットがあります。
双方ともに運用実績に応じて満期保険金や解約返戻金が変動するもので、物価の変動・インフレに対しての対応力に優れていると言えますが、リスクのかかり方やリターンにおいてかなり異なるので、検討される際は十分に保険会社の担当者やFPの方に説明を受けた上で契約されることが重要です。

次に外貨建て終身保険

外貨建ての終身保険とは払込保険料や受け取る保険金や解約返戻金が外貨になっているという商品です。

米ドル建てや豪ドル建てが主流かと思いますが、相対的に日本の市場金利よりは高金利である点が大きなメリットです。

ともに一時払、平準払(月払や年払)といった払い込み形式があります。

ちなみにこれは当方の外国人のお客様からのお話ですが、「資産をすべて円で保有することが信じられない」と言っておられました。

貨幣においても分散保有し、リスクを軽減・分散した上で日本の市場金利より高い金利で運用する事ができるという点で外貨建ての保険はメリットがあると言えます。

ただし為替レートの変化により、払込保険料はもとより、死亡保険金や満期保険金・解約返戻金が一気に上下するリスクを十分に考慮した上で検討することが重要です。

例えば1ドル=100円の時に10万ドル一時払保険料の米ドル建て終身保険に加入、それが1ドル=110円になれば運用効果ゼロでも100万円の益が発生します。

また逆に1ドル=90円になれば100万円の損が発生するという事です。

いくら高金利と言っても、為替レートの変化により金利の収益など一発で吹っ飛んでしまいかねませんね(解りやすく説明するために様々なコスト部分は除いてお話しした場合です)。

当然双方の結果がある訳ですが、運用として検討する場合、この差損発生のリスクを避けるためにも余裕を持った運用期間の設定が大切になってきます。

昨今は外貨建てと変額保険の融合(ハイブリッド?)タイプの一時払商品もあるので、この点も含め、検討される場合は 身近なFPの方に相談されることを推奨いたします。

保険料と税軽減の関係

さて生命保険を活用しての資産運用のメリットとしては、一般生命保険料控除や個人年金保険料控除も忘れてはいけません。

貯蓄、運用している上で所得税や住民税の負担が軽減される点も資産運用で保険活用するメリットの一つです。

更に解約返戻金や満期保険金を受け取る場合も、一定条件下において一時所得控除のメリットを得ることができます。

このようなポイントからも、資産運用にて生命保険を活用することを選択肢の一つとして捉えることができると思います。

生命保険を活用することによる税控除、所得税と住民税の軽減

一般生命保険料控除枠としては最高4万円、個人年金保険料控除枠としても最高4万円が所得控除となり、所得税・住民税の負担軽減につながります。

また解約返戻金や満期保険金を受け取る場合一定の条件下、以下のような控除を得ることができます。

(満期保険金・解約返戻金―払込保険料―50万円)×2分の1=一時所得

ex:(250万円(解約返戻金)-200万円(払込保険料)-50万円)×1/2= 0円

満期保険金・解約返戻金、払込保険料相当金額から算出される一時所得金額は0円となりますので課税対象にはならないという事です。

株式の配当や売買益には20.315%(所得税+復興特別所得税:15.315%・住民税:5%)の課税となります。

まとめ

資産運用としての生命保険活用についてお伝えしましたが、大切な事は、分散投資の一つの手段として捉えておくことです。

昨今はイデコのような所得控除対象商品や、NISAのような非課税運用可能な制度など取り組みやすい資産運用商品、制度も身近に増えてきました。

それらも含めて吟味し、どこかにすべての資産を預け入れるのではなく、効率的にしかもリスク分散を考えながら資産運用を進めて頂きたいと思います。

その一つの方法として、万が一の場合の保障も確保されている生命保険での資産運用も組み込まれるとよいのではないかと考えます。

資産運用と税控除を考えると生命保険も有用な資産運用方法の一つと言えるのではないでしょうか。

ただ一方、毎月の保険料を長い期間にわたって支払うことになる生命保険の場合、短期での解約等の場合、元本割れのリスクも発生するので、その目的と期間、支払保険料が自分に合っているのかどうかはしっかりと検討する必要があります。

冒頭に述べた部分と重複するとは思いますが、今回は資産運用面に少しフォーカスして生命保険を見てきましたが、もう一方の側面、万が一の場合の保障性といった部分が本来生命保険の持っている非常に大切な役割です。

限られた予算・資金の中で、守るべき資産、運用すべき資産を如何にして確保、運用していくかを考えるとき、スタートとして生命保険を検討項目に入れる事は決して無駄にはならないと思います。

運用先も多岐にわたる選択肢が存在する昨今、どのような運用先を採用するのか、不安になられた場合は、身近なFPにご相談された上で資産運用を進められることが肝要かと思います。

執筆者

清水 要(ファイナンシャルプランナー)

サーフィンに明け暮れ外房と湘南に入浸り、先の事など考えない、いい加減な学生時代。卒業後は、仲間の影響で広告代理店に就職、その後外資系金融機関へ、全国転勤しながら「本気の仕事」を知る。 そして、当時日本立ち上げ草創期の外資系保険会社へ転職。札幌から福岡まで(人の羨むエリア)にて現場組織の立ち上げに従事。仕事もプライベートも充実した日々。近年、金融セミナー等を開催する講師育成に携わり、講師とクライアントの「信頼関係や繋がり」に思いが強くなり、自身も講師およびコンサルティング業務へ。現在は、情報還元も考え色々な面で、情報量の少ない故郷へ戻り、活躍中。自分自身が経験し知っているが故に「早いうちに将来の事を考える重要性」「将来の資金準備の重要性」を説いている。あの頃の友人達は今も現役のサーファーだ、人生一生青春!
■保持資格:トータル・ライフ・コンサルタント
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