「生命保険」という言葉、子どものころから良く耳にしていても、学校ではその仕組みや加入方法など詳しいことは教えてくれません。それでも、一般家庭の生命保険加入率は約9割(89.2%)と実に高い加入率です。(生命保険文化センター「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」より)
ここでは、この「生命保険」の仕組みや成り立ち、そして、保険の基本から保険の意義など、学校では教わらなかった生命保険のことを、簡単に解説致します。
そもそも生命保険とは
日本において生命保険会社は、慶応3年(西暦1867年)福沢諭吉が欧米の近代的保険制度を紹介したことが発端となり、明治時代に入り設立されました。生命保険は、相互扶助の理念に基づく、助け合いの仕組みです。その起源は、古くから、集落生活や集団生活の中で、道具を共有したり、獲物を分け合ったり、共に助け合うという、わたしたちの人間が続けてきた共同保障の工夫です。
この助け合いの仕組みこそが、生命保険の原点という訳です。産業が発達し社会的分業が行われるようになった近代・現代においては、家族構成単位が小さくなり、一家の大黒柱の死が、残され家族へ与える影響はかつてないほど大きくなってきました。そこで、生命保険が社会的大きな役割を担うようになったのです。
生命保険は必要?
前述のとおり、そもそも生命保険は、相互扶助の精神から生まれ、公平な危険分担のもと、大きな保障が得られる合理的なシステムです。病気や災害などによる死亡の場合の遺族の保障、病気やケガに対する医療費の確保や、老後の生活資金準備など、生命保険は、幅広い機能をもっています。人それぞれ必要とする機能は違い、一概に、「必要だ」「必要ない」と言い切ることは難しいでしょう。
ただ、思いもよらぬ事態、例えば入院や災害、それによる死亡などが発生し、たちまち家計の収支バランスが崩れ、安心した家庭生活が送れなくなる、といったような危険に対して、誰しも、事前に十分な準備をしておくことは必要不可欠です。
生命保険の保障について
一見複雑にみえる生命保険も、死亡保険・生存保険・生死混合保険と3つの基本型に分類されます。これは、保険を販売する人やファイナンシャルプランナーであれば、一番初めに学習することですが、一般的にはあまりなじみのないことです。
死亡保険
保険の対象者いわゆる被保険者が、死亡または高度障害状態になった場合、保険金が支払われる保険
生存保険
契約してから一定期間が満了するまで被保険者が生存していた場合にのみ保険金が支払われる保険
生死混合保険
死亡保険と生存保険を組み合わせた保険、つまり、保険期間中に死亡した場合は、死亡保険金が支払われ、満了まで生存した場合は、満期保険金が支払われる。いわゆる、養老保険と言われる保険はこれに該当します。
生命保険の保険料はどう決まる?
多くの生命保険商品は、性別毎、年齢毎、保険料が決まっているものが一般的です。この保険料は、予定死亡率、予定利率、予定事業費率を基礎として計算されています。この3種類の予定率について説明致します。
予定死亡率
統計をもとに年齢、性別毎の死亡数を予測し、将来の保険金の支払いにあてるために必要な保険料の計算をしますが、このときの計算に用いられる死亡率を予定死亡率といいます。
予定利率
保険会社は、一部保険料を運用し将来の支払に備えていますが、その運用によって得られる収益を予定して、あらかじめ一定の利率で保険料は割引かれています。このときに使用する利率を予定利率といいます。
予定事業費率
生命保険会社では、例えば、保険証券を作成したり、保険料をクレジットカード決済したり、ご契約の案内を郵送したりと、さまざまな経費がかかります。保険事業の運営上必要となる経費をあらかじめ保険料の中に組み込んで計算します。この割合を予定事業費率といいます。
生命保険の特色 預貯金との違い
生命保険商品は預貯金とは違い、保障といった素晴らしい機能を兼ね備えております。
預貯金は、毎月コツコツ積立てをしていく残高を図に表すと図1のように△になります。
しかしながら、その途中で災害や病気で遺族の生活費などの経済的損失が発生した場合、預貯金では不足が生じるかもしれません。
一方で、生命保険は加入したその時から、想定される経済的な損失のサイズに合わせて保険金額を設定できます。
つまり、加入した時点から必要な額が準備できているのでそれを図で表現すると図2のように□となります。
※保険商品によっては、保障と貯蓄機能兼ね備えた保険種類もあれば、いわゆる掛捨て型の保険もあります。
まとめ
ここまで生命保険の仕組みや意義について簡単に説明してきましたが、より詳しいことが知りたいという人は、近くにいる専門家や自分の保険を手続きしてくれた外務員、もしくはファイナンシャルプランナーに聞いてみましょう。
経験豊かな彼らはきっと、多くのご家庭の危機を救い、生命保険の本来持つ大事な意義を熱く語ってくれるかもしれません。