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最低限入っておきたい保険とは? プロFPが徹底解説!

生命保険

この記事を書いた人

吉本 忠男(ファイナンシャルプランナー)

京都生まれ、京都在住。1994年大学卒業後、銀行に入行。個人顧客への住宅ローン相談、法人顧客への融資業務など幅広い銀行業務に携わる。ある出会いがきっかけで、外資系生命保険会社へ転職。「一度しかない人生を少しでも安心して豊かに過ごして頂きたい」をモットーに、出会った方には全力かつきめ細かく家計相談やライフプランニング、個人保険販売を行う。12年の勤務の後、お客様への幅広い提案を求め現在に至る。プライベートでは4人の男の子の父親であり、教育・住宅・老後・家計簿診断など生活に密着した相談を得意としている。ほけんペディアにおいても、金融、住宅、子育てなど、自身の経験が生かされた記事が多い。また、マネーに関するセミナー講師をつとめるなど幅広く活躍中。
■保持資格:トータル・ライフ・コンサルタント
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この記事は、とある日の午後に書いていますが、今回のお題目「最低限入っておきたい保険・保障」を新婚でお子様が生まれたばかりの保険未加入のご夫婦にまさに今日の午前中に尋ねられました。

日本では、生命保険の加入率は高く、なんらかの保険に加入されている方が大半です。

その保険料が家計において負担になってくるとその必要性を考えたり、そしてその必要性が感じられなくなると解約を検討したりする方も多いかと思います。

保険は、必要がなければ入らないのが一番です。今回は、最低限加入しておいたほうが良い保険について考えてみましょう。

最低限入っておくべき生命保険の種類

一般的に最低限入っておくべき保険は、王道の「死亡保険」「医療保険」「がん保険」の3種です。

これら3つの保障の世帯加入率は、(公財)生命保険文化センターの2021年「生命保険に関する全国実態調査」にデータがあります。保険の加入率も踏まえてみていきましょう。

参照:(公財)生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査 生命保険(個人年金保険を含む)の加入状況」
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/p003-043.pdf
参照:(公財)生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査 民間の特定の保障機能を持つ生命保険や特約の加入状況」
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/p057-077.pdf

     

死亡保険

まずは個人年金保険を含めた生命保険全体の加入率から見ていきますと世帯加入率は、なんと89.8%になり29歳以下の70.2%を除けば69歳までの加入率はほぼ90%を超える加入率になっています。

つまりほとんどのご家庭で何らかの生命保険に加入されていることになります。

生命保険の中の一つである死亡保険は、読んで字のごとく人が万が一死亡された時に保険金受取人に保険金が支払われる保険です。保険料が掛け捨てのものや貯蓄性があるものもあります。

また保障の長さが、ある一定の期間または年齢までの保障のものや一生涯(終身)の保障のものもあります。

ではなぜ死亡保険に入っておくべきなのでしょう。

皆さんは、「今日も生きて帰ってきたでぇ」というような死と隣り合わせの環境下で日々暮らしているわけではないと思います。

そのように、突然死んでしまうようなことが起こる可能性は低いかもしれません。

ですが例えばお子様がまだ幼くこれからまだまだ教育費がかかる、まだご自宅を購入する前で(住宅ローンを組んでいれば団体信用生命でローンが無くなる)これからの住居費用が必要など、一家の大黒柱が亡くなることで家庭状況・タイミングによってはその後非常に大きなお金が必要になることがあります。

これらのお金は、なかなかすぐに貯蓄などでは賄えない金額になります。そんな時に保険金としてお金を皆さんのご家庭に届けてくれるのが死亡保障つまり死亡保険になります。

医療保険

次に医療保険の世帯加入率は、93.6%で29歳以下から79歳までおよび85歳から89歳までの幅広い年齢層で加入率が90%を超えています。もはや加入されていない世帯を探すほうが難しい加入率です。

この保険は、いわゆる入院や手術、その前後の通院等に対して保障される保険です。女性の帝王切開や切迫早産などにも給付金が支払われるものです。

最近は、入院一時金といって入院すれば10万円など短期間の入院でもまとまったお金がもらえる商品も人気があります。

この医療保険についても掛け捨てのものや一定の年齢まで利用しなかったら支払った保険料が還付されるものもあります。

医療保険の加入率の高さは、死亡保険と違い身近な入院や手術が対象になる為、給付金を貰えるイメージがつきやすい事もあると思います。

では、なぜ最低限加入すべきなのでしょうか。

病院で入院・手術をしても現役の方や現役なみの所得者であれば窓口負担割合が3割の負担で済み、また高額療養費制度で自己負担が過重なものにならないようになっています。

ですがやはり自己負担は発生します。それに加えて自己負担でよく言われるのが差額ベッド代や食事代、テレビカードや着替えなどです。

食事代は、平成28年3月31日まで260円であったのが平成28年4月1日から360円になり、さらに平成30年4月1日から460円と上がってきています。

入院や手術のために貯蓄されている人は少ないでしょうし、それが原因で収入が下がる人もいると思います。

医療保険に加入していることで、入院の際に貯蓄を取り崩さなくてもよかったり、収入の補填になります。

がん保険

最後にがん保険の加入率ですが、66.7%あり半分以上のご家庭で加入されていることになります。

病名が保険商品になっている唯一の保険です。がんと診断確定されたり、がん治療のために入院したら一時金が出るもの。

入院や手術、抗がん剤やホルモン剤治療、放射線治療などの治療を受けたら給付金が支払われるものが一般的な保障内容になります。

がんについては、よく「日本人の2人に1人ががんになる※1」と言われています。

また最近では比較的若い芸能人の方ががんに罹患されニュースに出ていたりしますので、より身近に感じる病気でもあると思います。がんは早期発見されればほぼ治る病気になってきています。

ですが治療には、色々な種類があり罹患されるステージによっては治療そのものが5年10年と長期化することも多々あります。

それに加えて罹患後に収入が下がることや働けなくなることもあります。

その際に治療費は勿論その後の収入減少や貯蓄減に備えてがん保険は、必要になると思います。

※1.国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん登録・統計」罹患データ(全国がん罹患データ推計値(2016~2019年))データに基づく)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

保険に入る目的は?

まず保険に加入する前に知っておいて欲しいことがあります。民間の保険加入は、ご自身で準備するものになりますが、その前に既に保障を準備してくれているものがあります。まずは公的保障です。

亡くなった時の収入によって金額が異なりますが、国民年金または厚生年金より給付される遺族年金という制度です。

また、医療保障についても見てみます。医療費は、健康保険で基本的に3割の自己負担で済みます。

さらに医療費の自己負担額が高額になった場合一定の自己負担額の支払いで済む高額療養費制度というものがあります。

つぎに、お勤め先の企業内の保障です。組合や共済会などから支給されるケースもありますが、死亡退職金や死亡弔慰金などといった制度が充実していることもありますので勤め先にご確認頂ければと思います。

これらで不足しているものがある場合に自己負担で民間の保険に入るべきなのです。

もしものときの保障

独身かご家庭を持たれているかで変わりますが、結婚してお子様がいらっしゃる前提でお話しさせて頂くと、このもしものときの保険、いわゆる死亡保険が一番必要になるかと思います。

なぜなら貯蓄で対応出来ない可能性が非常に高いからです。

上記のようにまずご主人が亡くなった場合に公的に遺族年金が給付されます。それに加えてお勤め先からの制度が収入になります。

次にこれから払っていくお金です。

まずは生活費ですが、これは遺族年金で対応可能かもしれません。(国民年金の方は、お子様が18歳までの給付となりますので注意が必要です。)

次に住宅費用です。住宅を購入されていてご主人が住宅ローンを組んでおられたとしても、大半の場合はローンを組む際に団体信用生命保険に加入されているので、亡くなった時点でローンが無くなるのが一般的なのでこの分は安心です。

しかし賃貸の場合は、これからの家賃か遺族の住まいのための最低限の購入費が必要かもしれません。

次は、教育費です。お子様が今何歳で今後大学までいかせるのか? またそれは私立なのか? 公立なのか? などにもよりますが、大雑把に言っておおよそ一人当たり1,000万円準備しておけばいいでしょう。

勿論高校を卒業後は就職や奨学金を利用し自力で大学に進学してもらうことなどを考えれば教育費を下げることが出来ます。これらの合計金額がご主人に万一あった当初に必要となる保障額と言えるでしょう。

病気になったときの保障

病気については、公的な保障が充実していることに加え、貯蓄などでも対応しやすく、大きな金額の医療保険は必要ないかと思います。保険で貰える金額も給付金日額5,000円であれば一か月入院して貰える金額は5,000円×30日で15万円です。

死亡保険の何百万何千万という必要な金額と比較すれば貯蓄で賄いやすいのでないでしょうか。

最低限というテーマで考えれば保障は給付金日額5,000円あればよいでしょう。

ガンについては、罹患後治療が長くなることもあり、収入が下がることが多い為、医療保険よりご加入をお勧めします。

貯金や老後の生活資金

保険には、お金が貯まる貯蓄機能があるものもあります。万が一を亡くなった時と考えるなら残りの万が9999は、生きているときです。

それには、やはりお金が必要です。お金が貯まる方程式 収入―貯蓄=支出(生活費)と考えると保険には保険料を支払っていかなければならないという強制力もあり自然とお金を貯めることが出来ます。

いつ、どれくらい必要かを考えて無理のない範囲でしっかり計画的に貯めていきましょう。

保険に入るときに気をつけたいこと

保険料と貯蓄のバランス

保険はよく『万が一』という表現を使います。では、残りの『万が9999』は何でしょうか。それは今生きているときの生活、これからの人生設計です。親が亡くなったら大学に行くお金はあるけるけど健在だとお金がない、では意味がありません。

つまり万が一の為だけで保険料を考えるのではなく、今後の生活の中で適正な保険料をしっかりと判断し来るべき住宅購入や教育費、セカンドライフ資金などへの備えとして貯蓄も考えましょう。

保険の加入期間

保険の保障期間には、大きく分けて2つあります。一生涯保障つまり終身の保障と何歳までまたは何年間という一定期間を保障してくれるものです。

終身の保障は、何歳まで生きようと亡くなるまで保障が効いているので保険期間の心配はありません。

かたや何歳までや何年間の保障というのは、期間限定の保障になります。

やっぱり延ばしたいと言っても商品的な問題や健康的な問題で思うように保険期間を延ばせないこともあります。

保険期間終了時のご家族構成を想定して問題がないか、また昨今では年金支給時期が遅くなることも考えられます。

保険期間については延長することは難しいこともありますが、長く組んでおいて保険の必要性がなくなったら解約をすることはいつでも出来ますのでせっかく保険に加入されるならしっかりと期間においても考えておきましょう。

無理に加入しなくても良い保険

必要のないものにおカネを払うことほどもったいないことはありません。

いつ必要なのか、保険でないと対応できないのか、ご加入前に保険以外の方法はないのかということも含め検討しましょう。

学資保険

子供が生まれたら学資保険。親にも加入を勧められたり、加入が当たり前感すらある学資保険ですが、皆さんは何の為に学資保険を検討されますか。

おそらくほとんどの方が来るべき時の為にお金を貯めておきたいという意向ではないでしょうか。

保険の基準金利は、今低金利でしかも固定金利の為なかなか以前の様にお金が増えるわけではありません。

昨今ですとつみたてNISAなども選択肢として比較検討してもよいかと思います。

個人年金保険

最近では老後に2000万円必要だ。なんてテレビで言われています。

「老後と言えば個人年金保険」と商品名からお考え頂く方も多いと思います。

個人年金保険は、個人年金保険料控除と言って税金の還付もありますし、身近な商品です。

ですが税金の還付ですとイデコの方が大きな効果があります。

ただ運用先によっては変動要素も大きく、様々な手数料がかかります。

また60歳まで引き出せなかったりします。それぞれ一長一短ありますのでタイミングも含めしっかり検討しましょう。

介護保険

介護保険はなかなか若い時にはイメージの無い保険で、必要性を考え出すのも50歳代ごろからでしょうか。

やはりここで大切なのは、優先順位です。介護保険加入の前に準備しておくものはないか。時系列でみていくことで今加入しないといけないのかどうか。

また金額の大小や国の制度も理解した上で考えましょう。

まとめ

保険にも色々な種類があり様々な機能があります。その中で保険にしかできないことは保障であり、かつ少額な保険料で大きな経済的リスクに備えることができることです。

経済的なリスクの観点から「死亡保険」「医療保険」「がん保険」については、やはり加入すべきであろうと思います。

保険販売を長年していますと医療保険→がん保険→死亡保険という順番で保険を求める方が多いように思います。

これはご自身が使う可能性、お金を貰える可能性が高い順番に希望されているのだと思います。

私の考える順番は、全く逆になります。死亡保険→がん保険→医療保険になります。

これは利用する確率からではなく自分で対応出来ない経済リスクからの順番です。

保険は、必要でなければ加入しないのが一番ですが、加入するとなれば、保険の種類の優先順位、更に公的な保障で足りない金額をこれからの人生設計から算出し最終的に数ある保険会社の商品から費用対効果を考えご加入するのが良いのではないでしょうか。

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