昨今、自然災害が猛威をふるっていますが、地震や津波、台風などによって死亡したときでも生命保険は支払われるのでしょうか。そんな疑問をお持ちの方に、「災害死亡保険金」についてご説明します。
災害死亡保険金とは?
不慮の事故や感染症で死亡もしくは高度障害状態になった場合に支払われる保険金です。
ただし、不慮の事故が発生したその日を含めて180日以内の死亡に限る等の支払事由が定められています。
感染症は、コレラ、ジフテリア、エボラウィルス等の総務庁告示の分類、厚生労働省大臣官房統計情報部編「疾病、傷害および死因統計分類提要ICD-10準拠」によるものとなります。
主に、災害死亡特約や災害割増特約等、死亡保険の上乗せ保険とされることが多いです。
地震や台風などの自然災害でも生命保険は支払われる?
一般的な保険会社の約款の「災害保険金の削減支払」の項目等には、以下のようにあります。
以下のいずれかにより死亡もしくは高度障害状態に該当した被保険者の数の増加が計算の基礎に影響を及ぼすとき、保険会社は災害死亡保険金もしくは災害高度障害保険金を削減して支払うかまたはこれらの保険金を支払わないことがあります。
1)地震、噴火または津波によるとき
2)戦争その他の変乱によるとき
災害死亡保険金にかかわる保険料
支払事由が不慮の事故、感染症に限られているため、普通死亡保険に比べ保険料は安価になります。
災害割増特約
終身保険、定期保険、養老保険等の主契約の死亡保険に付加出来る特約です。
不慮の事故、感染症により死亡または高度障害状態になった場合に災害死亡保険金が支払われます。
主契約の死亡保険金までや、年齢、職業等により、加入出来る保険金額の制限がある場合もあります。
傷害特約
災害割増特約同様に死亡保険に付加できる特約です。
不慮の事故、感染症により死亡または高度障害状態になった場合に災害死亡保険金が支払われます。
それに加え不慮の事故により、保険会社所定の身体障害状態になった場合、障害の状態に応じた障害給付金が支払われます。
例えば、
- 両眼の視力を全く永久に失ったもの。(第一級)→ 給付割合100%
- 1眼の視力を全く永久に失ったもの。(第三級)→ 給付割合 50%
- 1手の第1指および第2指の用を全く永久に失ったもの。(第五級)→ 給付割合 15%
など、状態に応じて支払われる給付金額が異なります。
災害割増特約よりも加入出来る保険金額の上限は低く設定されています。
災害死亡保険金が支払われる主なケース
「不慮の事故」とは、急激かつ偶発的な外来の事故のことです。
- 横断歩道を歩いている時に自動車が衝突等の交通事故
- 作業中に誤って高所から転落などの落下事故
- 歩行中に上空より飛来物が直撃などの事故
- 有害物質による不慮の中毒
- 電流、放射線ならびに極端な気温および気圧にさらされる
- 溺死、溺水、火災等
等々、これらの偶発的な事故が原因で180日以内に死亡もしくは高度障害状態になった場合に支払われます。
感染症に関しては、各保険会社の約款に症病名を記載しておりますが、主に総務庁告示第75号に定められた分類項目のものとし、分類項目の内容については厚生労働省大臣官房統計情報部編「疾病、傷害および死因統計分類提要ⅠCD-10(2003年版)準拠」によるものと記載している会社が多いです。
災害死亡保険金が支払われない主なケース
上記の地震、噴火、津波、戦争の他にも、重大な過失、犯罪行為、精神障害の状態、酒気帯び運転、無免許運転等も支払われません。
例えば、高速道路を逆走しての事故や、泥酔して路上に寝転んでいるところを自動車にひかれた場合等々。
これらの例の他に、支払いの可否に関して裁定審査会で数多くの案件が審理されています。
~生命保険協会HPより~
「事案21-11」災害保険金請求
食べ物の誤嚥による窒息死だったが、検察医は「脳梗塞の後遺症を原因とする嚥下障害にて死亡と判断」
「事案18-7」災害保険金請求
ベランダからの転落事故死だったが、その後自殺等の本人の重大な過失の可能性
その他の事案も生命保険協会HPにて閲覧が可能になっています。
災害救助法適用地域について
地震、津波等、支払対象にならない、いわゆる免責事項がありますが、災害救助法が適用される場合があります。
保険料の支払猶予期間の延長や、必要書類を一部省略し迅速な保険金支払がされます。
その中でも、地震を免責非該当とし支払われる場合もあります。
- 平成30年 大阪北部を震源とする地震
- 平成30年 北海道胆振地方中東部を震源とする地震
- 平成20年 熊本地震
については、全保険会社が免責非該当ととして、保険金が支払われています。
生命保険協会HPより
まとめ
保険金を受け取ることはもちろん大切なことですが、もっとも重要なことは、何のための資金を準備する必要があるかということです。
例えば、死亡保険は遺族の生活費等の生活の保障。
傷害保険金はご自身の治療や仕事の制限による収入の減少が見込まれる場合の補償が必要な場合は、損害保険等との比較で安価な保険料で補償されるのであれば有効かもしれません。
まずは、ご自身が何のための保障と補償が必要なのかということを、ファイナンシャルプランナー等にご相談されてみてはいかがでしょうか。