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医療保険の「一時金」って何?

医療保険

この記事を書いた人

宮脇 英寿CFP®資格

中学高校の数学教師を経てファイナンシャルプランナーの道へ。「100歳まで元気に生きるためのライフプランニング」が独身者、家族世帯を問わず好評である。年間100世帯以上の個別相談に対応しながら、確定拠出年金や住宅ローン、ねんきん定期便の見かた等各種セミナー講師も担当。プライベートでは中・高・大学生、3人の子どもの子育て中である。
■保持資格:CFP®資格住宅ローンアドバイザー宅地建物取引士
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医療保険を検討していて「入院一時金タイプ」というようなフレーズを目にすることが多くなってきました。従来の医療保険になかった、入院に対する一時金給付とはどういうものか、確認していきましょう。

医療保険の入院一時金とは

「入院一時金」とは、病気やケガで病院に1日でも入院した場合、まとまった給付金が受け取れるというものです。

近年の医療技術の進歩などにより、入院日数は急速に短くなっています。

厚生労働省による「平成29年(2017)患者調査の概況」によると、病院に入院する場合の平均在院日数は30.6日となっており、これは平成2年の47.4日、平成14年の40.1日と比較しても年々短くなっていることが分かります。

また入院期間別の構成割合を見てみると、2週間以内の入院が全体の68.2%、1ヶ月以内の入院が83.9%に上り、8割以上の方が1か月以内に退院していることになります。

参照:厚生労働省 「平成29年(2017)患者調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/index.html

一般的に、病気やケガによる入院に備えるために加入する医療保険ですが、多くの商品で基本保障は「入院給付金」となっています。

つまり受け取れる給付金は、入院日数が長いほど多くなり、入院が短い場合は給付金が少なくなる仕組みです。

例えば「入院給付金日額1万円」の医療保険に加入しているなら、1泊2日の入院で受け取れる給付金は2万円となりますね。

受け取る給付金が思っていたより少額となることもあります。

加えて、入院を証明するための「診断書」を取得するだけで3~5千円の費用がかかることもあり、給付金が本来の目的である治療費や交通費などには不足するケースも出てくるかもしれません。

そこで近年「入院一時金」という保障が重視されるようになってきました。

多くの商品で5~20万円の一時金を設定することができ、1日でも入院すればまとまった給付金を受け取ることができます。

つまり一時金給付型の医療保険であれば、入院が短期の場合でもまとまった給付金を受け取ることができるので、入院がより短期化している現代でも、もしもの時の経済的な備えとなってくれるでしょう。

入院一時金タイプの医療保険のメリット・デメリット

メリット

「入院一時金」のメリットは、分かりやすさと受け取りやすさです。

入院一時金がない場合、入院した時点では医療保険からどれくらいの給付金が受け取れるのかは分かりません。

最終的な入院日数や治療法によって違うからです。入院一時金であれば、最低でもいくら受け取れるかが計算できます。

また、何と言っても使い道が自由であることが挙げられます。

病気やケガで入院した時、実際にかかるお金は医療費だけではありません。

入院前後に通院する際の本人や家族の交通費(宿泊費)、入院時のパジャマ・ガウン代・日用品などの雑費、お見舞い返し等さまざまです。

さらに、入院する方が普段の生活で家事・育児・介護などを担っているような場合、代わりにこれらのことをする人がいなければ、入院中の家族の外食費や家事代行費用、ベビーシッターやヘルパー費用などのお金もかかってくるかもしれません。

加えて、共働き世帯の増加により、親や家族が病気で入院しても病院の付き添いなどが難しいケースも増えているようです。

いずれにしても、入院一時金というまとまった資金を受け取ることで、これらの費用に充てることができるのです。

デメリット

「入院一時金」のデメリットは、長期入院の場合でも金額が変わらない、という点です。

前述したように、入院一時金は治療費だけでなく交通費や雑費、生活のサポート費用として使うことができますが、それらは入院が長引いた場合には費用がかさんでいくと考えられます。

しかし、一度の入院で受け取れる入院一時金の金額は、入院の長さに関係なく定額です。

また、特に注意が必要なのが入退院を繰り返すような場合です。

多くの商品で、同一の病気またはケガで複数回入院する場合、退院から次の入院までの期間が180日以内の場合は「一回の入院」とみなされ、入退院を繰り返しても入院一時金は1度しか給付されません。

また、入院一時金がない商品と比べれば当然、保険料は高くなりがちです。

商品選択をする際、入院一時金に重きを置きすぎると思ったよりも保険料が高額になるケースがありますので注意しましょう。

入院一時金タイプの医療保険を選ぶときのポイント

従来からある医療保険は、入院給付金を基本保障(主契約)とし、その他の保障をオプション(特約)として選択していく商品構成が一般的でした。

しかし最近では、「入院一時金」を基本保障とする商品も登場しています。いずれにしても、どのような時に給付金を受け取りたいのかを明確にしておく必要があります。

また、「入院一時金」と言っても、保険会社によっては「入院給付金の先払い」という方式をとる商品もあります。

例えば入院給付金を「日額1万円」と設定している場合、入院が10日以内の時は一律10万円を受け取れる、というような商品です。

入院給付金とは別に一時金が受け取れる商品なのか、入院一時金を先払いしてもらう商品なのか。

どちらがベターかは一概には言えませんが、どちらのタイプなのかはしっかり確認しておく必要があります。

まとめ

今回は、医療保険の中でもよく見かけるようになった「入院一時金」に焦点を当てて解説してきました。

条件に該当すればまとまった金額が受け取れる、という分かりやすさが好評です。

そのため、最近では他にも多くの「一時金」保障を見かけるようになりました。

従来からある「ガン一時金」や「三大疾病一時金」に加えて、例えば、「退院時一時金」や「継続入院一時金」、「難病一時金」、「認知症一時金」など様々なものが登場しています。

目新しさや保険料だけにとらわれず、自分のニーズに合った商品やオプションを選択することが重要です。

自分のニーズが今ひとつ明確にならない、迷いすぎて結論が出せないような時には、客観的にまたフラットな目線でアドバイスをもらえるFPに相談してみるのもひとつの方法です。

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