家計から固定費として出費される保険料、できれば安い方がいいと誰もが思っていることでしょう。
一方で、安かろう悪かろうであっては何かあったときには役に立ちません。
安い保険料と手厚い保障を両立させるための保険選びのポイントについてお話ししてみます。
保険料を決める要因を知ろう
保険料はそれぞれの保険会社で独自に決めているため、同じ内容の保障でも保険料は違ってきます。
また一方で、保険の種類や同じ保障でも加入の仕方で保険料は大きく変わってきます。
ここでは保険会社が決める保険料よりも後者によって生じる保険料の違いにスポットを当てていきます。
保険料の安い保険種類を選ぼう
保険には掛け捨て型と貯蓄型の2種類があり、保険料が安いのは掛け捨て型の保険です。
掛け捨て型の保険は保障に特化しており満期時に受け取る「満期保険金」がなく、また途中で解約した時の「解約返戻金」も無いかあっても僅かな分保険料が安くなっています。
その代表例として定期保険があります。
保障される期間が定まっていてその期間内に万一のことがあれば給付金や保険金が支払われ、保険期間が無事に満了してしまうと何も支払われず期間満了後の保障は一切なくなります。
一方で、貯蓄型とくらべると保険料は安価で保障は手厚く万一の際には安心な保険といえます。
特にお子さまがまだ小さなご家庭では、お子さまが大きくなるまで、あるいは教育費が掛かる一定期間だけ保障を手厚くしたいような場合には、大きな保障を安い保険料で準備することができるベストな保険です。
配当の有無でも保険料は変わる
保険には「有配当保険」と「無配当保険」があります。
有配当の場合は差益(余剰金)が発生しやすいように予定率を低めに見積もられていることが多くその分保険料が割高となっています。
一方無配当の場合は予定率が実際の経験値に近いものが使用され実際との差が極力出ないようにしているため保険料が安くなっています。
有配当と無配当のどちらが損か得かは一概に言えませんが、保険料が安い掛け捨て型の保険
商品を希望される場合は無配当の保険を選択されることをお勧めします。
加入期間を検討しよう
保障期間に一定期間の定めがある保険と期間が定められていない(一生涯の保障がある)保険の2種類が有り、保険料は保障期間が短い方が安く、期間が長くなればなるほど高くなります。
保障期間は保険に加入する目的によって決められます。
例えば、保険に加入する目的が残された遺族の生活費ということであれば、保険金はご主人の給与代わりのため、ご主人が働いて給与が発生する期間(例えば定年まで)が保障期間となります。
また、お子さまに教育費がかかる間は保障が必要と考えるなら、末子が大学を卒業するまでの期間となります。
一方、本人の葬儀費用や医療保障等はずっと必要となるため一生涯の保障(終身)とするのが一般的です。
賢い支払い方法を選択しよう
保険料の支払い方法によっても得することはあります。最近は「クレジットカード払い」ができる保険会社が増えてきており、カードポイントの獲得を目的に「クレジットカード払い」を選択する方が増えています。
実際はカードの還元率により違いますが、仮に1%とした場合、月額保険料が10,000円なら100ポイント獲得でき、1ポイント1円相当なら毎月100円保険料が安くなることになります。
支払方法を口座振替からクレジットカード払いに変更するだけで毎月お得に保険料の支払いができるわけです。
一方で年払と月払でも保険料に差が出てきます。年間の支払合計額でみるとは年払の方が数%(保険会社によって違う)安くなります。
1年分の保険料を一度に支払うことになりますが、家計的に問題なければ年払にされることも賢い支払方法と言えるでしょう。
「共済」も検討する
保険に似ていて非なるものに「共済」というのがあります。
皆さんの周りにも「県(道・都・府)民共済」や「JA共済」「コープ(CO・OP)共済」「こくみん共済」などたくさんの共済がありますよね。
根拠となる法律が異なるため制度的には保険と別物ですが、万が一のリスクに対しての保障を準備するという意味では同じものと言えると思います。
どんな保障が受けられる?
共済はどれも手ごろな金額で幅広い保障をカバーしています。
働き盛りの方を対象とした総合保障型を中心に、子供型や65歳以上の方を対象とした熟年型などのラインナップがあり、それぞれ日帰り入院から死亡保障までバランスよく保障してくれます。
また、特約をプラスすれば先進医療やガン・三大疾病、長期入院、介護等の保障を加えることも可能です。
掛け金が一定のため保障額には上限がありますが、一般的な必要最低限の保障はそろっていると言えるので加入の仕方によっては優れたコストパフォーマンスと言えるでしょう。
また、生命共済だけではなく、火災や風水害、地震に対する保障を扱う火災共済や自動車の事故等に対する保障を扱う自動車共済を扱っている共済組合もあります。
「安い」を第一条件にしない
冒頭にあるように安いに越したことはない保険料ですが、保険料にばかり目を向けていて、何の為に保険に加入するのかという本来一番大切な「保険に加入する目的」を見失っては元も子もありません。
その目的は人それぞれご家庭の収入や家族の人数・年齢、家は持ち家なのか賃貸なのか等によって全く違ったものになります。
今一度、保険に加入する目的を確認し自分にとってはどのような保障が必要なのかを考えてみることが何よりも大切です。
それから必要な保障内容への対価である保険料をいかに安くするかはそれから考えても遅くはありません。大事なのは加入の目的です。
保険料が安い保険に加入するメリット・デメリット
メリット
保険料が安いこと自体が家計に優しくメリットそのものですが他のメリットも考えてみましょう。
例えば同じ額の保険料とするなら差額分で保障額を増やしたり、保障期間を延ばしたりすることができるかもしれません。
また安くなった分を教育費や住宅ローン、老後の資金等に充当することも考えられます。これらもメリットと言えると思います。
一方、保険料が安いというのは他の保険と比較して初めて気づくことです。
他の保険と比較することによって保険のいろいろな仕組みを理解することができたり保険に対する知識が増えることもメリットと考えられないでしょうか。
デメリット
前述したように保険料が安いこと自体がメリットではありますが、保険料が安いということはそれなりの理由があることにご注意いただく必要があります。
例えば保険種類の名称や特約の名前が同じだからといって保障内容も同じということにはならず、保障期間が短かかったり、保障の対象に違いがあったりすることが多々あります。
また、最近よく耳にするネット通販専門の保険は一般的に保険料が安く設定されていますが、それは保険の内容についての説明や万一が有った時の手続き等のアフターフォローをしてくれる担当者をなくすことで保険料を安くしています。
ご自身で必要な保険の選定から保険金・給付金の請求までをほとんど自己完結できる方にとっては、ネット通販を利用することで不要な担当者を排除し保険料もお安くなりますのでメリットといえるかもしれませんが、逆に多くの手続きを自己完結することが煩わしい、サポートが欲しいと感じる方にとってはデメリットにもなりえます。
このように保険料がなぜ安くなっているのか、その理由を知らないまま保険に加入することは大きなデメリットとなってしまいます。
安さ以外に重視すべき保険選びのポイント
目的に合った保険か
前述したように、保険に加入する際に一番大切なのは「保険に加入する目的」です。
いくら安くても本来の目的に合っていない保険に加入することは無駄の何物でもありません。
保障が手厚いか
保障内容が手厚くなればなるほど保険料は高くなります。
同じ保険料であれば手厚い保障の方が良いように思われるかもしれませんが、本来必要とする保障内容に減らしていくとその分保険料も安くなります。
保障内容の引き算も考慮されることをお勧めします。
必要保障額は十分か
保険に加入する時に考えなければならない保障額ですが、必要な保障額ってどうやって計算するのかなかなかむつかしいと思います。
そこは信頼のおけるFPに「ライフプラン」を作成してもらい算出されることをお勧めします。
貯蓄性があるか
冒頭申し上げたように、貯蓄性のある保険は掛け捨ての保険に比べて保険料は高くなります。
貯蓄が目的ということで加入するには問題ないでしょうが、単に掛け捨てはもったいないという理由だけで貯蓄性のある保険を選ぶとかえって割高になったり必要以上に高い保険料を支払うことになりかねませんのでご注意ください。
まとめ
保険料に関係することをお話ししてきましたがいかがでしたか。
いろいろな要件が絡み合って計算されているので保険料を安くするポイントは一口で伝えることは難しいです。
人それぞれに保険に加入する目的が違うのと同様に保険料と保障のバランスのとり方も様々です。保険料の安さだけにとらわれると本来の加入の目的があやふやになってしまいます。
保険は目に見えない商品なので、手に取って考えることもできません。よくわからない、でも損はしたくない!そのような場合は信頼できるファイナンシャルプランナーに相談するのが一番です。