生命保険を契約途中で解約したときに払い戻されてくるお金のことを解約返戻金(かいやくへんれいきん)と言います。
保険料の仕組み
毎回支払う保険料はどのように決められているのでしょう?
保険料の中身は大きく2つに分類できます。
まずは、保険会社が事業を継続するために必要な経費部分である「付加保険料」。
もう一つは、将来支払う「死亡保険金」「給付金」「満期保険金」などを準備するための「純保険料」となります。「純保険料」は、性別や年齢による死亡者数から計算された「予定死亡率」と、お預かりした保険料を運用する際に見込んだ「予定利率」から算出されます。
保険料から付加保険料(保険会社の必要経費)を差し引いた部分、つまり純保険料がおおよその「責任準備金」となります。保険会社は、この責任準備金を将来の「死亡保険金」「給付金」「満期保険金」に備えて積み立てています。
解約返戻金がある保険の種類
主なものは
- 養老保険
- 終身保険
- 年金保険
- 学資保険(こども保険)
- 定期保険(いわゆる長期定期保険と呼ばれる定期保険です。)
などです。
解約返戻金の種類
従来型(初期低解約返戻金型ではないもの)
養老保険、終身保険、学資保険、年金保険などは支払った保険料と同じような上昇率で解約返戻金も増えていきます。定期保険の解約返戻金は保険期間の3分の2あたりまでは増えていき、その後は減り続け満期時には0になります。
初期低解約返戻金型
保険料払込期間中は従来型の解約返戻金よりも低く抑えられていますが、払込みが終わってからは従来型の解約返戻金よりも高くなるのが一般的です。
無解約返戻金型
終身保険、定期保険は本来解約返戻金がありますが、これを全くなくしてしまったものです。いつ解約しても解約返戻金はありません。ただし、その分保険料が割安に設定してあります。
解約返戻金を知るには
設計書で確認
保険の加入を検討するときには保険設計書を提示されますが、この設計書に解約返戻金が将来いくらなのかが記載してあります。記載されていなければ、担当者に確認しましょう。
保険証券で確認
保険に加入すると保険証券が郵送されてきますが、保険会社によっては保険証券に解約返戻金が記載されているものもあります。
保険加入後はカスタマーセンターに問い合わせ
設計書を失くした、保険証券に記載がないなど解約返戻金が今どのくらいなのか知りたいときは契約者が直接カスタマーセンターに電話をして聞くことができます。
また、保険設計書などに記載されている金額は年単位の金額となります。現時点の正確な金額についても、やはり直接カスタマーセンターに確認する必要があります。保険会社によっては将来の解約返戻金をおしえてくれることもあります。
保険契約のときに必ず受取る「約款」に解約返戻金例表が記載されていることもありますが、これはあくまでも例であって「○才の人が保険料を○年間支払い、保険期間が○年の場合、○年後の解約返戻金はいくらです。」というものです。解約返戻金は、契約ごとに金額が違いますので、参考程度にしてください。
解約返戻金の税金
解約返戻金を受け取り、その額がそれまでに支払った保険料の総額よりも多い場合、税金がかかるケースがあります。
一時所得の課税対象
1月1日から12月31日に受取った解約返戻金に対し、必要であれば、翌年確定申告をし、納税します。
計算式
総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円)= 一時所得の金額
具体的なケースを例に計算してみましょう。
払込保険料の総額が400万円
解約返戻金が500万円
この場合、差額は100万円です。
この100万円が一時所得となりますが、50万円を特別控除として引くことができます。
100万円 - 50万円 = 50万円
この金額が一時所得金額という計算になります。
この一時所得のうち、課税される金額は、2分の1です。
50万円 × 1/2 = 25万円
最終的に、この金額が他の所得と合わせて総合課税されます。
源泉分離課税の対象
一時所得ではなく源泉分離課税となるケースもあります。
課税方法が違うのは、生命保険ではなく金融類似商品とみなされているからです。
- 5年満期の一時払養老保険を満期で受取る
- 10年満期の一時払養老保険を5年以内に解約をする
- 一時払の個人年金保険(確定年金)を5年以内に解約をする
- 一時払の変額個人年金保険(確定年金)を5年以内に解約をする
この場合は、利益の部分に20.315%をかけたものが差し引かれて(源泉徴収されて)残りの金額が支払われます。納税がこの時点で終了していますので、確定申告等、自身での手続きは必要ありません。
(※平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得については、所得税とともに復興特別所得税が源泉徴収されます。)
まとめ
解約返戻金の仕組みを知り、この解約返戻金も目的の一つとして保険加入を検討する場合は、課税方法の違いなど、加入前にしっかりと確認しておきましょう。
自分で確認するのが難しいようであれば、専門のファイナンシャルプランナーに相談し、どの商品が自分には向いているのかしっかり見極めましょう。