満期保険金とは? 対象となる保険の紹介から請求方法・確定申告まで全て解説!

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貯蓄性のある生命保険に加入されていらっしゃる方は、加入されている保険の種類によっては「満期保険金」と呼ばれるお金を受け取ることが出来るのをご存知でしょうか。

では「満期保険金」はどのような時に支払われるのでしょうか?
また、「満期保険金」には税金はかからず、全額を受け取ることが出来るのでしょうか?

今回は、満期保険金についての基礎的な解説からスタートし、対象となる保険の紹介と満期保険金を受け取るための申請方法、さらには満期保険金を受け取る際にかかる税金についても詳しく解説していきます。

この記事を読んでいただくことによって、満期保険金に関する疑問は解消され、満期保険金の受け取り時期を安心して迎えることが出来るようになるでしょう。

満期保険金とは

そもそも満期保険金とは

満期保険金とは、契約時に定めた保険期間の終了(満了)時に被保険者の方が生存されていた場合、保険会社から満期保険金受取人に支払われるお金の事を言います。内容や期間によっては払込保険料総額より大きい額が支払われることもあります。

満期保険金を受け取ることが出来る保険として代表的なものは、養老保険です。あらかじめ定められた保険期間中には死亡保障が有り、その保険期間を終えた時点で被保険者が生存されている場合、契約時に設定した死亡保障額と同額の満期保険金を受け取る事ができる保険です。

また身近な保険としては学資保険も満期保険金のある保険となります。学資保険の場合、満期時の前にお祝い金や、学資金が支払われたりする場合もあるので養老保険とは少し異なりますね。

今ご紹介した保険以外にも、満期保険金を受け取ることが出来る保険はありますが、これについては後ほど解説いたします。

一方で、掛け捨ての定期保険などは保険期間の終了(満了)時においてこのような満期保険金はありません。

満期保険金と解約返戻金の違い

満期保険金と混同されがちなのが、解約返戻金です。ここでは、両者の違いについて解説していきたいと思います。

満期保険金とは、前述の通り契約時に定めた保険期間終了時に被保険者の方が生存している場合、受け取る事ができるお金となります。満期保険金を受け取る時期は基本、加入時に定められます。

対して解約返戻金は契約時に定めた保険期間終了より前に、契約者の意思にて保険を解約することにより、その時点で発生する(発生しない場合もあります)解約時の払戻金となります。

満期保険金とは満期があり、かつ満期保険金の設定がある貯蓄型保険に生じますが、解約返戻金は保険種類、保険期間、契約してからの経過年数などによって発生したりしなかったり、また金額も異なってくることから、先ほど述べた掛け捨ての種類に入る定期保険でも解約返戻金が発生する場合があります。

昨今は低解約返戻金型の終身保険などのように、保障もさることながら、保険料の払込満了時までは解約返戻金を低く抑え、払い込み終了後に大きく解約返戻金が増加するタイプの商品があり、これらの商品は払込保険料総額よりも多少大きなリターンを期待できることもあるので、将来のお金を蓄える目的で加入する保険としては選択肢も広がっていると思います。

また、解約時期については契約者の意思においてコントロール可能ですので、解約返戻金を活用するためのポイント、メリットとも考えられます。

満期保険金を受け取れる保険の種類

養老保険

上述の通り、一般的に契約時に設定した死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れる商品です。

被保険者の方が保険期間中に亡くなられた場合は死亡保険金が、満期まで生存されていれば満期保険金が支払われます。被保険者の死亡保障と生存満期時の満期保険金がある事から生死混合保険とも呼ばれています。

詳しくはこちらの記事にも解説してあります。

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貯蓄保険

貯蓄保険というと養老保険のようなイメージを持たれるかと思いますが、死亡保障が無く貯蓄に特化した保険と思ってください。代表的な商品が年金保険となります。これは保険料の払込期間中に被保険者の方が亡くなられてもそれまでに払い込んだ保険料に応じた死亡給付金が受け取れるだけで死亡保障はありません。一方、年金受取時には払い込まれた保険料が積み立てられた金額を原資として年金を受け取れる商品です。

詳しくはこちらの記事にも解説してあります。

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学資保険

お子様に必要な教育資金に備えるために利用される保険です。

一般的にお子様が幼少のときに加入し、17~18歳の大学進学時に合わせて満期を迎え、満期保険金を受け取れるように期間設定される場合が多い保険です。

期間途中にお祝い金のように一定額の資金が受け取れるようなものもあります。満期保険金と合わせて支払保険料総額とほぼ同等額もしくはそれ以上の金額が受け取れる内容の商品が好まれるのですが、現在はこの低金利に伴い払込保険料総額より総受取額が下回っている商品も多いです。

詳しくはこちらの記事にも解説してあります。

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満期保険金を受け取る際にかかる税金

満期保険金を受け取る時に課税される税金には、3種類あります。

  1. 一時所得として所得税・住民税がかかる場合
  2. 一時所得ではなく源泉分離課税される場合
  3. 贈与税がかかる場合

です。

これら3種類のうち、どの税金が適応されるかについては、
①契約者と満期受取人が同一人物の場合
②契約者と満期保険金の受取人が異なる場合
のどちらになるか、という観点で分類することができます。以下ではそれぞれの場合について解説して活きたいと思います。

所得税と住民税

満期保険金受取人と保険契約者が同一人物の場合、受け取る満期保険金は一時所得となり、所得税、住民税の課税対象となります。

課税対象金額を算出する計算式は
(満期保険金+配当金-払込保険料総額-特別控除50万円)×0.5=(一時所得課税対象金額)
となります。満期時に受け取った合計額から払込保険料総額を引いた額が50万円以下ならば税金は発生しません。
分かりやすく具体的に計算してみましょう。

契約者は40歳男性で保険金は200万円 保険期間は20年 保険料8000円(月払い) 満期保険金受取人は契約者と同一と仮定します。20年後に配当金は無く200万円を満期保険金として受け取る事ができたとして計算してみます。受け取った200万円がすべて課税されるわけではない事が分かると思います。上記の計算式に当てはめると

200万円-(8000円×12カ月×20年)-50万円
=200万円-192万円-50万円
=-42万円 ≦ 0円

つまりこの場合では払込総保険料より満期保険金の方が8万円多くなりますが、50万円の控除を引いた時点でマイナスとなり税金が掛からない事となります。

次に源泉分離課税扱いとなる場合を見てみましょう。上記のように一般的には満期保険金は一時所得となりますが、一時払養老保険等で保険期間が5年以下のもの、または契約日から5年以内で解約をした場合は金融類似商品とみなされ、利益部分(満期保険金から保険料総支払額を引いた金額)については源泉分離課税という扱いになります。税率は20.315%(所得税:15.315%、住民税5%)となり、他の所得等から分離され課税されることになります。

贈与税

満期保険金の受取人と契約者が異なる場合は以下のような贈与税がかかります。
課税対象金額を算出する計算式は
満期保険金額-110万円(基礎控除*1)=課税対象金額
となります。

*1 同年(1月1日~12月31日)に他の贈与にて基礎控除を使用しない場合〔年間基礎控除額=110万円〕

先ほどの例と同じ状況を考えてみましょう。
契約者は40歳男性で保険金は200万円 保険期間は20年 保険料8000円(月払い) 満期保険金受取人は契約者と別の奥様と仮定します。20年後に配当金は無く200万円を満期保険金として受け取る事ができたとして計算してみます。基礎控除が使えるとしたら受け取った200万円がすべて課税されるわけではない事になります。上記の計算式に当てはめると

200万円-110万円=90万円

つまりこの満期保険金での課税対象金額は90万円となります。課税対象金額が200万円以下ですと、贈与税率は10%になりますので奥様に対して実際に掛かる贈与税は
90万円×10%=9万円
となります。

満期保険金を受け取る際に確定申告が必要な3つのパターン

今まで満期保険金にかかる税金について述べてきましたが、まとまったお金を受け取った時にみなさんの頭の中に浮かぶのは確定申告ではないでしょうか?

では満期保険金を受け取った場合については確定申告が必要なのでしょうか?

実は、確定申告が必要な場合があります。3つのパターンに分けて解説します。

満期保険金の一時所得が20万円を超えるパターン

満期保険金による一時所得が20万円を超える、あるいは給与以外の所得と満期保険金の一時所得の合算で20万を超えるとなると確定申告が必要となってきます。

例えば前述の一時所得の計算式にあてはめ、満期保険金額が払込総保険料より100万円多いとした場合、(100万円-50万円)×0.5=25万円となります。従ってこの場合は確定申告が必要となります。

参照:国税庁タックスアンサー「No.1903 給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1903.htm

満期保険金が贈与税の対象になるパターン

贈与税については、満期保険金額が基礎控除の110万円を超える場合は確定申告が必要となります。
つまり、贈与税の納税義務が生じた場合は、確定申告も必要になってくるということになります。

もともと確定申告が必要なパターン

自営業者の方などでもとより確定申告をしないといけない方であれば満期保険金の金額によらずとも確定申告する必要があります。

満期保険金を受け取った際には、その申告を忘れずに行うようにしてくださいね。

満期保険金の請求に関する3ステップ

以上満期保険金についてご説明してきましたが、その満期保険金の受け取りをされる場合どの様な手順で何が必要なのか簡単にご説明します。

被保険者が生存しているか確認

まず満期保険金の受け取り時期になると、保険会社から自動的に満期保険金が振り込まれるわけではありません。受取人の方から満期保険金の請求手続きを行うことが必要になります。

その時に大切な事は、まずは被保険者の方が生存していることです。

被保険者がお亡くなりになられている場合は死亡保険金、もしくは死亡給付金の対象となり、その時点で満期保険金が発生しなくなる為です。

満期保険金の請求案内を受け取る

通常、満期を迎える2カ月程度前に、ご加入の保険会社より満期保険金の請求に伴う案内が送付されてくると思います。

ただし満期保険金の請求案内が届くと言っても、住所など変更されている場合届かないことも考えられます。(変更手続きがされていない場合等)満期保険金の受取時期になっても請求案内が届かないような場合は保険会社に連絡して確認してみて下さい。

保険契約締結後に生じた各種変更については、保険金をスムーズに受け取る為にも、遅滞なく保険会社に届け出をしておいてください。

必要書類を添付して送付

各保険会社の案内に記載されている必要書類を添付し、必要事項を記入した後、保険会社に必要書類を返送する事になります。

満期保険金額によって準備する必要書類も異なってきますので、必ず各保険会社からの案内を確認するようにしてください。基本的な必要書類としては

  • 保険会社から送付された満期保険金請求書
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポートのコピー等)

などが挙げられるでしょう。

書類が保険会社に届いた後、おおよそ1週間程度で保険会社による確認が終了し、保険期間満了日以降に指定された口座に満期保険金が入金されます。後日、保険会社より支払明細書が郵送されてくることになります。

満期保険金に関するQ&A

満期保険金額はいくらくらい? 赤字になることはある?

代表格の養老保険では、一般的に死亡保険金額と同額の満期保険金を満期時に受け取る事ができます。ですが、保険期間が10年と短い場合などでは、現時点では支払保険料総額に対して92~3%程度の満期保険金額となる事が多く、元本割れするような状態のようです。

学資保険なども、受け取り方によりますが、少し前までは払い込んだ保険料総額と同等額もしくはそれ以上の金額を受け取ることができるのが一般的でした。しかしながら、養老保険同様に昨今の低金利の影響により、ひと昔前と異なり元本割れする場合が多くなってきております。特に学資祝金や進学祝金のように、満期までに何度か支払金が発生する場合などは尚更元本割れする可能性が高くなっています。保険会社によっても異なりますが、受取総額が保険料総支払額の90~95%程度となっていることが多いようです。(最近は低金利等の影響で学資保険の販売自体を自粛している会社も多いですね。)

このような状況を踏まえて貯蓄性のある保険に加入される場合、養老保険タイプでありながら、変額保険のような運用目的とした保険を選択される方も最近は多くなってきているのではないかと思います。

もちろん、変動のリスク等を十分に検討した上での選択が重要であることは言うまでもありません。

満期保険金を据置することはできるの?

満期時に満期保険金を受け取らず、満期保険金の全額もしくは一部を据え置き、後日受け取る事は多くの場合できます。保険会社によって対応期間や据え置きできる最小金額等は異なりますが、おおよそ10年程度据え置くことが可能なようです。ただし、据え置いたとしても満期保険金にかかる税金は満期時に支払うことになりますのでご注意ください。したがって、後に据え置き金を受け取る際には税金はかかりません。(据え置いた金額に対しての利息分は雑所得として所得税の対象となります。)

満期保険金支払証明書と支払調書の違いってなに?

満期保険金が支払われた契約について -ご指定の口座にいくらお支払いしました。- といった内容の文書が満期保険金受取人の元に届きますが、これが満期保険金支払明細書となります。

一方、支払調書とは何かと言いますと、これは所轄の税務署に対して、保険会社より『〇〇さんに△△円の保険金を支払いました』と通知する書面のことを言います。これは保険金額等を受け取った人がきちんと申告をしているかどうかを税務署が照らし合わせる為のものです。これは一度の支払金額が100万円を超える保険金、解約返戻金(改正後100万円以下の解約返戻金も対象)に対して通知されるものです。

まとめ

満期保険金にかかわる基本的な事項を解説させて頂きました。

満期保険金にかかる税金や、満期保険金の申請方法については、少し難しく感じられたかもしれません。

保険商品選択にあたり、貯蓄性のあるタイプに加入するか、またその中でも変動リスクはあるがリターンに期待できる変額保険タイプに加入するか、はたまた外貨建ての商品に加入するのか・・・。既に加入されている場合には、満期まで継続するのが良いのか、それとも解約して解約返戻金を受け取るのが良いのか、これも状況により判断が難しいと考えます。

ましてや昨今のような低金利、金融市場環境においてはなおさらのことで、そのような場合は是非一度身近な保険のプロ、FP方に相談されてみてはいかがでしょうか。今回の情報がそのような行動のきっかけになり、皆様の保険や資産運用の一助なれば幸いです。

執筆者

清水 要(ファイナンシャルプランナー)

サーフィンに明け暮れ外房と湘南に入浸り、先の事など考えない、いい加減な学生時代。卒業後は、仲間の影響で広告代理店に就職、その後外資系金融機関へ、全国転勤しながら「本気の仕事」を知る。 そして、当時日本立ち上げ草創期の外資系保険会社へ転職。札幌から福岡まで(人の羨むエリア)にて現場組織の立ち上げに従事。仕事もプライベートも充実した日々。近年、金融セミナー等を開催する講師育成に携わり、講師とクライアントの「信頼関係や繋がり」に思いが強くなり、自身も講師およびコンサルティング業務へ。現在は、情報還元も考え色々な面で、情報量の少ない故郷へ戻り、活躍中。自分自身が経験し知っているが故に「早いうちに将来の事を考える重要性」「将来の資金準備の重要性」を説いている。あの頃の友人達は今も現役のサーファーだ、人生一生青春!
■保持資格:トータル・ライフ・コンサルタント
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