医療保険にも主契約(本体)と特約(オプション)があります。医療保険の主契約は「入院したときの保障」としている商品がほとんどですが「手術をしたときの保障」が主契約とセットになっている商品もあります。その他の保障は特約として主契約に自動セットになっているもの、任意で付加できるものがあります。
入院したときの保障
病気やケガで入院したときに入院給付金が支払われます。多くの商品は[入院給付金=入院日数×日額]支払限度日数(例えば60日、120日、360日)が決められています。
例えば60日タイプの医療保険に加入している場合、70日間入院すると60日分の給付金しか給付されません。
30日入院し、退院してから180日以内に同じ病気で40日入院すると二度目の入院給付金は30日分しか保障されない場合が多いので注意が必要です。これは、継続した入院とみなされることによります。
180日以上経過してから入院すれば40日分の給付金が出ます。180日以上経つと新たな入院とみなされるからです。
最近は長い入院をさせてくれる病院は少なくなりましたので60日タイプなど保障期間の短い保険のほうが合理的と思われますが、がんなどの長期にわたって入退院を繰り返す病気になった場合はある程度日数を保障してくれる保険のほうが安心できます。
入院日数に関係なく、入院したときに一時金が支払われる「入院一時金特約」を付加できる保険会社が増えてきました。金額は入院日額の何倍というものや定額のものなど保険会社によって保障は様々です。
例えば2日の入院をした場合、入院当初は検査など医療費が高額になりますので日額×日数の給付金だけでは入院費を賄えないかもしれません。この特約があれば短い入院でも安心です。
手術をしたときの保障
手術をした場合に入院給付金とは別に手術給付金が支払われます。手術の種類によって給付金の額が変わる保障の保険会社と種類を問わず一定の給付金が支払われる保障の保険会社があります。
胃ポリープや大腸ポリープなど外来で手術することも多くなりました。通院で手術をした場合と入院して手術をした場合とで給付金の額が違う商品もあります。
通院したときの保障
この特約は、通院したときの保障ですが、入院した後の通院に対し、その日数分の通院給付金が支払われます。商品によっては、入院の前の通院も保障するタイプあります。どちらも入院前○○日以内、退院後○○日以内の通院で通院回数についても○○回分などと制限があります。がんの通院のみを保障している商品もあります。
先進医療を受けたときの保障
厚生労働省が定める先進医療を受けたときに給付金が受取れます。がん保険の先進医療特約はがんの治療に限られますが、医療保険に付加した場合はがん以外の治療でも保障されます。
がんと診断されたときの保障
がん保険と同じようにがんと確定診断された場合に給付金が受取れます。
三大疾病(特定疾病)と診断されたときの保障
がんだけではなく脳卒中や急性心筋梗塞で所定の条件を満たした場合にも一時金が受取れます。
三大疾病と診断されると以降の保険料を払わなくてよくなる「特定疾病保険料払込免除」という保障を付加できる商品もあります。
※上記保障の他、特約はさらに多彩である点
医療保険に加入する前に確認しておきたいこと
国民健康保険、全国健康保険協会(協会けんぽ)、共済組合、健康保険組合(保険者といいます)のどれに加入していても「高額療養費制度」という共通の制度があります。
1ケ月(歴月:1日から末日まで)にかかった医療費が高額になったときは自己負担を少なくしてもらえる制度です。
例えば70歳未満の人の場合、収入によって自己負担額は変わりますが年収が約370万円から約770万円までの人は
80100円+(医療費総額-267000円)×1%
を自己負担すればよいというものです。
医療費総額が100万円だと本来は3割負担ですから30万円を支払うところですが
この式に当てはめて計算すると
80100円+(100万円-267000円)×1%
=80100円+7330円=87430円
87430円だけ支払えばよいのです。
一旦3割負担分を支払い、その後保険者に請求すると2~3ヵ月後に差額が戻ってきますが、「限度額適用認定証」を保険者から発行してもらって病院に提出しておくと87430円だけを窓口で払えばよいようになっています。
食事代(一般的には1食360円)、自分が希望して入った個室代は高額療養費の対象になりませんので別途支払わなければなりません。
まとめ
大病をしても医療費自体はそんなに高額になることはありませんが、治療に伴い別途自己負担で支払が必要な部分に対し、ご自身がどれくらいの金額をどれくらいの期間、医療保険でカバーしたいのかを考えられればよいかと思います。