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生命保険の審査は厳しいの? 加入前に知りたい審査内容と通らない時の対処法

生命保険

この記事を書いた人

武宮 英樹(ファイナンシャルプランナー)

1994年大学卒業後、医療機器商社へ入社。開業コンサルタントとして、ドクター・薬剤師の方々の独立支援に一貫して従事。13年間、そこで培った医療法人の経営、医療関連の知識、そして長きに渡る実父母の介護、様々な経験より、ファイナンシャルプランナーへの道へ導かれる。2007年、外資系生命保険会社に転職。更に飛躍すべく2014年より現職へ。「知っているのと知らないのとでは大違い」を合言葉に、「リスクマネジメント」と「資産形成の必要性」を一人でも多くのクライアントへ伝えることをモットーとしている。
■保持資格:トータル・ライフ・コンサルタント
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人生100年時代と言われる現代、生命保険に興味を持たれる方が非常に増えていますが、気をつけなければならない点がいくつかあります。

その中で今回取り上げるのは、生命保険や医療保険の加入時に必要な『審査』についてです。

生命保険や医療保険の加入には、単純にお金を払えば良いというだけではなく、様々な条件をクリアしなければならないのです。

この結果次第では希望する保険に入れなかったり、保険料が高くなったり、保障額が低く抑えられたりする場合があります。

今回は、生命保険加入時に必要な「審査」について、その審査内容や審査が通らなかった時の対象法について解説します。

生命保険の審査は契約者間の公平性を保つため

はじめに、生命保険の審査について説明していきたいと思います。相互扶助の原則で成り立っている生命保険には公平性が求められるため審査が必要になってきます。

そもそも生命保険の審査とは

生命保険は、万一の際の経済的不安に備えて多くの加入者が少しずつお金を出し合って、病気やケガ・万が一のことが起こった時にお金を分配するというのが基本の仕組みですが、その加入条件は公平である必要があります。

例えば、現在何らかの持病がある方は、持病がない方と比べれば入院や手術の可能性が高くなってしまいます。健康な方と同じ保険料で加入できるとすれば、持病のある方が給付金を受け取る可能性が高くなってしまい不公平になってしまいます。

また、20歳の方と60歳の方では死亡する確率は全く違いますが、死亡保険金が同じだからといって同じ保険料では不公平なのは皆さんお分かりですよね。

次に生命保険にはどのようなタイミングでどのように審査があるのか、詳しく説明していきたいと思います。

保険の加入を検討する場合、ほとんどの方が保険の担当者=プランナーと面談することになります。

面談する際に、加入の目的や検討している保険種類・職業や家族構成など多くのことを聞かれるかと思いますが、その時点で担当者はヒアリングした様々な情報を基に審査の一部を開始しています。

また申し込みの際に、お客様の意向確認を書面や電子情報(ペーパレス申し込みの場合PC上で)最終確認と署名をしてもらうことになっています。

いずれも重要! 3つの審査ポイント

審査の項目内容は各保険会社によって若干異なりますが、ポイントとしては大きく分けて3つです。
ではどのような点を保険会社はチェックするのか、具体的な内容を見ていきましょう。

健康面

審査のポイントとしてはここが一番重要になります。
若い人や健康な人、喫煙しない人と、ご高齢な人や病気・けがの人、喫煙する人とでは医療保険や生命保険の保険金や給付金を受ける可能性が異なるためです。

今では、持病の方でも簡単な告知で加入できる告知緩和型の保険が多くの保険会社から販売されていますが、通常タイプの保険よりも保険料が高めに設定されています。これは健康面のリスクを考慮して作られているからです。

ただし入院中は緩和型でも加入できませんので、早めに備えるようにしましょう。

職業面

次のような職業の場合、死亡保険金額や医療保険の入院日額に上限が設けられたり、そもそも生命保険に加入できない場合もあります。

  • 高所作業を伴う職種
  • 危険物を取り扱う職種
  • レーサー
  • スタントマン
  • 危険性がある趣味の方
  • プロの格闘家 etc.・・・

また、健康告知は不要とされる貯蓄型の一時払終身保険や個人年金保険でも、職業については告知が必要なものもあります。

モラル面

保険業界では、保険制度を悪用し保険金や給付金を不正に得ようとするリスクをモラルリスクと呼びます。保険会社はこの点を非常に慎重に判断します。具体的には、保険金額と収入のバランスや契約者・被保険者・受取人の関係が不自然じゃないか、加入の目的についてなど多岐にわたります。

これらは保険の制度と役割が浸透してきた結果、それを悪用して不正に利益を得ようとする行為が増えてきたため、それを防ぐ目的で重要視されるようになりました。

しかし、残念ながら保険金・給付金目的の事件はなくなっておらず、保険会社としても慎重な対応が求められています。

審査期間(日数)はどれくらい?

次に、審査にはどれくらいの期間が必要かという点について解説します。
加入の申し込みをしたのは良いがいつから保険が使えるのか、という疑問をお持ちの方も多くいらっしゃるでしょう。

保険加入時の審査のスケジュールは、書面申し込みの場合とペーパレス申し込み(PC申込)の場合で若干異なってきます。

書面申し込みの場合、加入者が申し込み手続きをしたのち、担当者が保険会社担当部署に提出 ⇒ 受理 ⇒ 申込内容・健康面(告知書)・各書類の不備の有無の確認、という流れです。

一連の流れに問題がなければ、大まかに5営業日(1週間~10日)程度で成立します。

一方の、ペーパレス申し込みの場合は書類の不備が発生しないように工夫されていますので、告知に問題なければ1~2日程度で成立します。

なお保険契約が有効になるタイミングは契約が成立した時点ですが、保障のスタートは一般的には申込と告知・保険料の支払いが揃った日(責任開始日)からになりますので注意が必要です。つまり、契約が無事成立して初めて、責任開始日にさかのぼって保障が始まり、保険が使えるようになるのです。

また保険を切り替える場合、新しい契約が成立する前に既契約を解約すると、健康状態等によっては保険料が割り増しもしくは保険金・給付金が減らされるなどの条件がついたり、最悪の場合契約が不成立となり無保険状態になる可能性もあるためくれぐれも注意が必要です。

あるお客様で、保険料が安くなるということで切り替えを希望されましたが、健康上の理由でかえって保険料が高くなってしまったため切り替えを見送られた事例があります。もちろん既契約は解約していなかったため問題はありませんでしたが、珍しいことではありませんのでご注意ください。

必ず押さえたい生命保険の審査内容

ここからは、具体的な生命保険の審査内容や告知内容を偽った場合どうなるのか、といった点について説明していきます。

審査に必要な告知書の内容

告知項目には、健康面と職業面があります。ここではそれぞれについて具体的な内容を説明していきます。

健康面

  • 過去3か月以内の診察・検査・投薬の有無(病気・けが問わず)
  • 過去5年間の入院・手術と7日間以上の診察・投薬の有無(病気・けが問わず)
  • 健康診断受診と、受けている場合指摘の有無
  • いままでがんに罹ったことはないか
  • 妊娠の有無(女性の場合)

上記4項目はほとんどの保険種類で聞かれることです。これらに加えて最近では

  • 過去2年(保険会社によっては1年)以上喫煙していないか

といったことも聞かれることが多くなっています。

喫煙者より非喫煙者の保険料の方が低く設定されているためですが、これについては書面と併せて簡単な検査キットで検査する場合が多いです。

また、年齢や保険金額が高い場合は、上記に加えて健康診断書や人間ドックの写しや医師の診査が必要になってくることがあります。

職業面

  • 有職者の場合:具体的な勤め先・業種・職種(自営業の場合は業種・職種)
  • 無職の場合 :主婦・主夫・年金受給・学生など具体的に

これらの項目に加えて、収入についても審査時に担当者から聞かれることが多いですが、担当者は保険会社に収入など含めた報告書をそのまま提出することとなりますので、担当者に聞かれた場合は正直に回答してください。収入額に基づいて保険金額・給付金額の妥当性を判断します。

告知義務違反とその対応

上述の通り、健康な人と病気を患っている、大きなケガをして体に何らかの障害がある人とでは、保険金や給付金を受け取る可能性が違うので保険料にも差が生じます。

したがって告知は正確に行わなければなりませんし、もし正確に行わなかった場合は告知義務違反となります。

保険適用時に告知義務違反が発覚した場合、過去のデータと照合・検証が行われ、保険金や給付金が支払われず契約が解除されることもあります。また、より悪質な場合は契約が無効となることもあり、その場合は支払った保険料は返還されませんので不明点が有ればプランナーにしっかり聞くことが肝心です。

過去に実際に起こった告知義務違反の例をご紹介します。

ある方がA社の医療保険に申し込まれました。この方は過去に大きな病気で入院したことがありましたがそれを告知せずに加入しました。加入してしばらくすると同じ部位の病気で入院することになりましたが、入院給付金を請求しましたが、保険会社の調査が入り過去の病歴を隠していたことが明らかになった結果、この方の契約は解除されました。

このような調査を保険会社が行う場合は、センシティブな個人情報ですから被保険者の許可が必要になり、保険会社も慎重に行います。しかしもしこれを拒否すると保険金・給付金は支払われないことになっていますので、くれぐれも告知書に書かれた質問には正直に答えるようにしてください。

通らないこともある! 生命保険の審査結果

お気づきの方も多いと思いますが、生命保険には審査があるため加入したくとも加入出来ないこともあります。このことで落ち込まれる方もいらっしゃるかもしれません。告知書をはじめ申込書類には正直に記入いただく必要があり、もしその内容が保険会社の決めた基準に満たない場合、残念ながら加入できないこともあります。

ここからは、生命保険の審査基準と3種類の審査結果について解説します。

審査基準は保険会社でまちまち

そもそも「生命保険の審査にはどんな基準があるのか」という点についてですが、一概には言えないというのが正しい表現です。

各保険会社の保険種類・保障内容・年齢によって細かく分かれています。この理由は、各保険会社が各々持つデータを基準にしているためです。

例えば医療保険であれば告知書だけで手続きできますが、その告知内容も保険会社によって様々です。

また生命保険でも、A保険会社の場合15歳~39歳までは保険金額が4000万円まで告知書のみで加入が可能となる一方で、B保険会社の場合では、同じ15歳~39歳までで2000万円まで、C社では同じく3000万円まで加入可能と、各社で内容が全く違っています。

ほかにも、過去の健康状態についてD保険会社では通院の有無について聞かれているのにE保険会社では手術を受けたかだけを聞いているといったケースもあります。つまり、D社では告知事項になることもE社では該当しないため告知は不要となる場合もあるわけです。

3種類の審査結果

審査結果は大きく分けると3種類になります。下表で詳しく解説します。

審査結果の種類 内容
無条件 健康状態や職業について問題ないという意味
保障内容も保険料も申込時の内容通り
謝絶(見送り) 「加入できない」という意味です。
健康状態や職業に一定の条件が設定されている中で大きく外れていると加入できない
条件付き 病歴やけがをした時期が申込時期に近い場合や、将来的に保険金・給付金を請求する可能性が高いと判断された時に適用される条件
判断基準は保険会社の査定によって異なる
部位不担保
特定疾病不担保
特定の部位や病気に関する入院・手術に対しての保障を一定期間若しくは保険期間中は保障の範囲から外すということ
他の部位や原因での入院・手術は保障される
保険金削減 申込時の保険料は変えずに保障額を減らすこと
生命保険に適用される場合が多いが医療保険でもある
生命保険の場合は下記とセットで適用される場合もあり
保険料割増 保障額はそのままで保険料を割り増しにするということ
割り増し度合いは何段階かあり

無条件

これは、健康状態や職業について基準をクリアしており加入には全く問題ないという意味です。
審査結果が無条件であれば、保障内容も保険料も申込時の内容通りになります。 

謝絶

これは加入できないという意味です。
健康状態に一定の基準が設定されている中で、その基準から若干外れている程度であれば、次の「条件付き」で加入できる場合もありますが、大きく外れていると加入そのものができません。

例えば、医療保険では「過去にがんと診断されたことがありますか?」という告知項目で「はい」の場合は多くの場合加入できません。

条件付き

この項目は更に3つに分類できますが、病歴やけがをした時期が申込時期に近い場合や、将来的に保険金・給付金を請求する可能性が想定されると判断した時に適用される条件です。
判断基準は保険会社の査定によって異なります。

部位不担保・特定疾病不担保

特定の部位や病気に関する入院・手術に対しての保障を一定期間若しくは加入期間中保障の範囲から外すということで、他の部位や原因での入院・手術は保障されます。一般的に医療保険で適用されます。

保険金削減

これは申込時の保険料は変えずに保障額を減らすという意味で、生命保険に適用される場合がほとんどですが、まれに医療保険でも見られます。生命保険の場合は次の保険料割増とセットで適用される場合もあります。

保険料割増

こちらは、保障額はそのままで保険料を割り増しにするというもので、保険料の割り増し度合いも段階が設けられています。

審査の結果、謝絶や条件付きとなったとしても方法はありますので、諦めずにプランナーに相談してみてください。 

審査に落ちたら検討したい 2つの選択肢

あまり考えたくないこととは思いますが、もし審査に通らなかったらどうすればよいか・・・というお話をしたいと思います。

まずは担当のプランナーに連絡してください。審査の状況はプランナーも把握していますので、契約が成立しなかった場合でも次善策を考えてくれるはずです。

ここでは、生命保険の審査に通らなかった際に検討したい、2つの選択肢について解説します。

他社の保険に申し込んでみる

上述の通り、審査基準は保険会社によって異なっています。例えば、肝臓の数値が原因で審査に通らなかった場合でも、より緩い基準の保険会社もあります。

ですので、審査に通らなかった部分とその条件を照らし合わせ、改めて条件に合った保険を比較・検討した上で他社の保険に申し込むという方法は非常に有効です。

告知事項がゆるい 引受基準緩和型保険を選ぶ

引受基準緩和型の保険の場合、告知事項が2~3項目しかないものが多く、その告知内容も

  • 直近3か月に入院をすすめられたか
  • 過去5年以内にがんと診断されたか
  • 過去1年(もしくは2年)以内に入院したか

など、非常に緩い内容になっています。
通常の保険よりも保険料は若干高くなってしまうデメリットはありますが、緩和型であれば加入できる確率は断然上がります。
保険に加入しておらず不安だが、通常の保険では審査に通らないかも・・・という方は是非緩和型も検討してみてください。

生命保険の審査に関するQ&A

肥満の場合 審査が厳しいのでしょうか?

肥満の規定についても各社幅があり、更に保険料体系によっても差があります。

一例ですが、体重に関しては身長と体重のバランスを表すBMI【体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)】=17~27といった条件に合えば「優良体」という区分に入り、保険料が安くなる保険会社が増えてきました。

しかし、BMIが33まで大丈夫な保険会社もあります。詳しくはプランナーにご相談ください。

借金を抱えている場合 審査に落ちるのでしょうか?

借金に関しては、特に必要項目ではないため審査に影響することはあまりありません。

しかし、ポイントの部分でモラルリスクについてお話ししたように、収入と保険金額の妥当性に疑問点があったり、保険金目的の不法行為・自殺等を防ぐ必要から、過度の借金がある方の場合は少しお話を聞かせていただく可能性はあります。

審査期間中に病気が発覚した場合 どうなるのでしょうか?

保険契約が問題なく手続きを済ませており、保険会社が契約承諾したのちであれば、たとえそれが成立の翌日だとしても有効ですので保障されます。また契約成立前に発病やケガした場合でも責任開始日以降の発症やケガであれば保障の対象となります。

また、その発病について契約申し込みの時点で健康診断等において指摘されていたり実際に医療機関にかかっていたことを隠していた場合は告知義務違反となり一般的には契約解除の対象になりますので注意が必要です。

審査のスケジュールの項でお話ししたように、保険が有効となるタイミングは成立した時点で、保障のスタートは申込・告知・保険料の支払いの3つが揃った時(責任開始日)からになります。

書面での申し込みで1週間~10日、ペーパレスでも2日程度かかりますので、切り替えの場合は特に注意してください。

ただ一方で、成立前に事故で死亡した場合などは、手続きが問題なくなされており契約が無条件で成立するものであれば、保険としては有効となり保険金は支払われます。

もし契約成立前に健康状態に問題が出てきたときは、保険会社(もしくはプランナー)に早急に連絡してアドバイスを仰ぐようにしてください。

まとめ

本記事では、生命保険加入時に必要な「審査」について、その審査内容や審査に通らなかった時の対処法について解説しました。

保険は保険料の多寡や保障内容だけでは決められないことが多いものです。

ですので、保険に加入される際は、ご希望の保険料や保障内容と併せて健康状態についてもしっかりプランナーに相談されてください。信頼のおけるプランナーであれば、あなたの希望に加えて、どういった審査が行われるかを踏まえてプランニングしてくれるはずです。

それによって加入すべき保険が絞られて、本当の意味であなたのためのオーダーメイドの保険に出会えることになります。

生命保険加入時には、『保険のプロ』であるFPに相談してみることをおすすめします。

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