生命保険の基本:何のために必要なのか?
◎インタビュアー
まず、生命保険の基本についてですが、生命保険は何のために必要なのでしょうか?
◆保険の専門家
生命保険は、被保険者、つまり保障の対象になる方が死亡や所定の高度障害、病気や怪我、要介護状態になった時の、いわゆる万が一のリスクに備えるために必要です。
◎インタビュアー
例えば、高度障害とはどういった状況を指すのでしょうか?
◆保険の専門家
「病気やけがなどが原因で、身体機能が重度に低下した状態」を言います。
例えば、交通事故に遭って手足に大きな障害が残ってしまった後の状態のことなどを指します。
ファイナンシャルプランナーが考える生命保険の役割
◎インタビュアー
次に、ファイナンシャルプランナーとして生命保険の役割を基本的な部分から教えていただけますか?
生命保険の最も基本的な役割や目的とは?
◆保険の専門家
はい、まず3つ挙げますと、第一に、その方が亡くなった場合、家族に万が一の時に備えてあげるために必要です。第二に、残された家族がその後の生活を守るために必要です。第三に、貯蓄性のある保険が最近人気ですが、将来の資産形成のために活用されることもあります。
◎インタビュアー
基本的なこの3つの中で、特に重要なのはどれでしょうか?
◆保険の専門家
やはり一番は家族の万が一に備えるためですね。亡くなった時に保険金が家族に残せることが一番大きいのではないかと思います。
ライフプランニングの中で、生命保険はどのような位置を占めているのか?
◎インタビュアー
それでは、ライフプランニングについてお伺いしようかと思います。このライフプランニングについて簡単に説明していただけますか?
◆保険の専門家
はい。昨今話題になっているのが、人生100年時代という話ですね。私が考える100年時代とは、多様性の時代だと思っています。自分と家族がどのような人生を歩みたいか、様々な情報が溢れる中で自分らしく生きるためのライフプランニング、どう生きるかを作り上げていくためにも、自分らしい人生とそれを守るというバランスが必要だと思っています。守るという部分が、つまり生命保険の在り方だと考えています。
資産形成の側面がある一部の生命保険商品は、ライフプランニングの中でどのように活用されるべきか?
◎インタビュアー
それではもう一つ、ライフプランニングの中で資産形成の側面がある生命保険について、どのように活用すべきか教えてください。
◆保険の専門家
先ほどの人生100年時代とも合わせて、よく課題になってくるのが老後2000万円問題ですね。これも社会的に大きな課題だと思います。生命保険本来の目的は万が一のリスクですが、その枠を超えて中長期的な資産形成に一躍を担う金融商品として活用されるべきだと考えています。
◎インタビュアー
なるほど、生命保険が金融商品の一つとして資産形成の役割を果たしているということですね。
保険の種類とそれぞれの特徴
◎インタビュアー
さまざまな保険の種類があると思いますが、それぞれの特徴についてお伺いできますか?
◆保険の専門家
主に4つの保険の種類があります。まず、「終身保険」という、一生涯の保障をするタイプの保険があります。次に、「定期保険」です。これは、いわゆる電車の定期券のように一定期間保障するタイプです。さらに、「養老保険」というものがあり、これは満期まで保険料を払い、満期時に満期保険金を受け取るタイプです。最後に、「年金保険」というタイプがあり、これは保険料支払い完了後、主に10年間年金として保険金を受け取るタイプです。
家族構成やライフスタイルに合わせた生命保険の選び方
子供がいる家庭といない家庭で、保険の選び方にどのような違いがあるのか?
◎インタビュアー
家族の構成やライフスタイルに合わせて、これらの保険をどのように選んでいくか教えていただけますか?特に、子どもがいる家庭とそうでない家庭とでは保険の選び方にはどのような違いがありますか?
◆保険の専門家
はい。子どもがいる家庭では、子どもが独立するまでの生活費や教育費の準備が必要です。一般的に教育費は子どもの成長とともに増加するため、小さい頃からしっかりと準備する必要があります。また、子育て期間中は特に家族の主な稼ぎ手に万が一の事態があった場合、残されたご家族が生活費や教育費で金銭的な課題に直面することがあります。そのための準備としての生命保険は大きな役割を持っています。これは家族がいるときに家族の保険を選ぶ際の考慮点ですね。
◎インタビュアー
それでは、子どもがいないご家庭の場合はどうでしょうか?
◆保険の専門家
お子様がいない家庭では、まず共働きかどうかによって、生命保険の保障内容が異なってきます。共働きの家庭で、お互いがフルタイムで働いている場合、配偶者が亡くなっても残された家族に一定の収入があるため、大きな死亡保障は必要ないと言えます。しかし、配偶者が専業主婦やパートである場合には、残された家族の生活費の保障を考慮した生命保険への加入が必要です。
また、大きな病気やケガで働けなくなるリスクに備えて、医療保険、がん保険、三大疾病保険、介護保険などの加入も重要です。特に、介護保険はお子様がいない家庭にとって、就労不能保険などと共に介護の備えとして加入することをお勧めします。
◎インタビュアー
奥様が専業主婦の場合、配偶者が亡くなった時の社会保障の大きさが年齢等によって変わるのでしょうか?
◆保険の専門家
はい、そうですね。まず、遺族年金が保障の対象となります。年齢が上がるにつれて、奥様自身の老齢年金への切り替わりも考慮する必要があります。また、特に生活費を高く設定されている夫婦の場合、残された家族の保障としての生活費は非常に重要になります。
高齢の親と同居している場合、特に考慮すべき点はあるのか?
◎インタビュアー
次に高齢者についてお聞きします。高齢の親と同居している場合、どのような点に注意すればよいでしょうか?
◆保険の専門家
高齢の親と同居する世帯では、介護や突発的な事故、入院に備える必要があります。確かに高額療養費制度や後期高齢者医療制度などの公的保障はありますが、長期入院に備えて、医療保険の保障内容をしっかり確認することが大切です。
持ち家と賃貸で、保険の選び方にどのような違いがあるのか?
◎インタビュアー
次に、持ち家か賃貸かによる住居環境の違いが保険選びに影響するのでしょうか?
◆保険の専門家
持ち家の場合、住宅ローンを抱えている場合が多いです。住宅ローン返済期間中はほとんどの場合、団体信用生命保険に加入しているため、万が一の際には住宅ローンの返済分がカバーされます。一方、賃貸の場合は団体信用生命保険の保障がなく、万が一の際に家賃の支払いが継続するため、持ち家に比べてより大きな保障が必要です。特に社宅に住んでいる場合、万が一の際に社宅から出される可能性があるため、この点は注意が必要です。
◎インタビュアー
つまり、賃貸の場合は保険の保障が大きくなるということですね?
◆保険の専門家
そうですね。
重い病気を持っている、または過去に持っていた場合は、生命保険を選ぶ際に何を注意すべきか?
◎インタビュアー
次に、過去に病気をされた方、例えば重い病気を経験された方にとって、生命保険を選ぶ際の注意点はありますか?
◆保険の専門家
はい。まず、現在のその病気についての詳細な情報が必要です。そして、どのような保障を必要としているかをよく精査し、その情報をもとに保険会社の引き受け条件を確認することが大事です。保険会社や保険種類によって、加入の可否や条件が異なることがありますので、必要な方は保険会社などにお問合せいただければと思います。
喫煙者と非喫煙者で、生命保険の選び方に違いはあるのか?
◎インタビュアー
タバコを吸わない場合、生命保険の選び方に違いはありますか?
◆保険の専門家
はい。非喫煙者、つまりタバコを吸わない方には、非喫煙者用の保険料率を適用できる保険会社があります。喫煙者の方に比べて、より安い保険料で加入できる保険商品も多く販売されています。
生命保険の契約前に確認すべきポイント
◆保険の専門家
では、契約前に確認すべきポイントについてお話しします。まず、加入希望者の意向が重要です。どのような保険に加入したいか、その必要性を確認することが大切です。それを踏まえて、適切な保険の種類を考えていくことが重要です。
◎インタビュアー
なるほど、まずは意向(必要性)の確認が大事なのですね。加入希望者の健康状態も関係ありますか?
◆保険の専門家
ええ、実際には健康状態によっては保険に加入できない場合もあります。可能であれば、事前に保険会社などに問い合わせることも重要です。
◎インタビュアー
体の状態によって加入できないとは、どういうことでしょうか?
◆保険の専門家
そうですね。保険は相互扶助の仕組みによって成り立っています。そのため保険加入者間での公平性を保つため健康状態により入院や死亡リスクの高い場合には保険自体に加入できなくなったり、場合によっては加入に条件が付いたりすることが有ります。
◎インタビュアー
条件が付くとはどういうことでしょうか?
◆保険の専門家
はい、例えば既往症がある場合などはその部位に関しては給付金の対象とならないなどの条件です。最近では「引受条件緩和型」などと言われる保険も多くなり、こちらでは既往症があるような方でも加入しやすくなっています。ただし一般的な保険よりは保険料が割高になるケースが多いです。
生命保険料の節約テクニック
◎インタビュアー
分かりました。健康状態によっては割高になるということですが、一般的に生命保険料を節約する方法はありますか?
◆保険の専門家
なるほど、節約については難しい質問ですが、例えば、クレジットカード払いで保険料を納めることができる保険会社も多くあります。その場合、クレジットカード払いでポイントを獲得できるわけですね。ポイント活用(ポイカツ)をすることも一つの方法です。また、特約を利用することもおすすめです。例えば、医療保険にがん保障を特約で付けると、保険料がやや割引されるケースもあります。さらに、生命保険料控除を利用すると一年間に支払った保険料によって所得税・住民税が軽減され節約に繋がります。バランスよく生命保険に加入することが大切です。
◎インタビュアー
クレジットカードでポイントを貯めたり、特約を利用するのは理解しました。では、保険料を一括で払う場合、割引はありますか?
◆保険の専門家
はい、一時払または全期前納払にすると割引になる場合もあります。年間の支払い保険料との収支バランスを考慮して、問題がなければ一時払または全期前納払も一つの選択肢と言えます。
まとめ
◎インタビュアー
ファイナンシャルプランナーが教える、正しい生命保険の選び方について色々とお聞きしました。最後に、まとめをいただけますでしょうか?
◆保険の専門家
そうですね。まず、生命保険に加入するにあたって、どのような保険に加入したいかというご自身の考えをまとめておくことが大切です。ただ、生命保険は難しいとよく言われますので、保険に詳しいファイナンシャルプランナーによく相談をして、相手から出てくる提案に対してご自身でもよく考え、保険に加入することが一番大事だと思います。