複数の生命保険への加入はあり? メリット・デメリットまとめ

生命保険

生命保険業界の変遷とともに、多く販売される商品の傾向や特徴も変化しています。

一つの保険商品に様々な保障の特約を付加する商品選びから、目的に応じて複数の保険に加入するケースも一般的な選択肢となっています。

私のお客様でも複数の生命保険に加入されている方が多いですが、ではその利点はどこにあるのか。

複数加入のメリットとデメリットについて解説します。

そもそも複数の加入はできるのか

まず基本的なことですが、一つの保険種類でも複数の保険商品に加入することができます。

例えば、就職してすぐの若い頃に加入した医療保険が、保険料は安いが現在の医療情勢で考えると保障がそれほど充実していない・・・

という場合、ほかの医療保険に見直すという方法だけでなく、今加入しているもので不安な部分だけ追加して加入したほうが保険料的にも保障内容的にもよりメリットがあることも少なくありません。

同じ種類の保険でもこのようなことができますので、複数の目的で保険加入を検討する場合は、複数の保険種類に分散することでよりご意向に応じた効率の良い加入となる可能性も高まります。

複数の生命保険に加入するメリット

ここでは、複数の生命保険に加入する考え方とメリットについてお話ししていきます。

必要な保障内容を選択できる

そもそも、生命保険に加入する目的はどんなことが考えられるでしょうか。

1)病気やケガ・がんや大きな病気に備える

2)自分や家族に‘’もしものことがあったとき‘’に備える

3)子供の教育資金に備える

4)将来の資産形成に備えるetc・・・・・

これらのことを一つの保険でカバーすることは非常に難しいですし、場合によっては効率が悪くなってしまうこともあります。

保障内容を手厚くできる

例えば“もしものことがあったとき”に備える場合、一般的には死亡保障として終身保険と定期保険があります。

どちらも死亡保障としての機能はありますが、終身保険は解約返戻金が貯まっていくタイプで定期保険は掛け捨てタイプ
(一部解約返戻金が貯まるものもある)になります。

したがって、同じ保障を考えた場合には終身保険の方が当然保険料は高くなります。

こういった場合、例えば解約返戻金がない定期保険で死亡保障をカバーすれば、保険料を低く抑えて保障額を大きく取ることができます。

一方終身保険で備える場合には解約返戻金が積みあがってきますので、貯蓄機能と死亡保障を兼ねることができます。

そこで、終身保険と定期保険を組み合わせることで大きな死亡保障と将来に向けて貯蓄の両立をはかることもできます。

このような例のように複数の生命保険に加入することでその目的に対して的確に備えることができ内容を手厚くすることが出来ます。

相続・相続税対策も考えられる

平成25年度に行われた税制改正で、平成27年以降に発生する相続について相続税の基礎控除額が大きく引き下げられました。

このことに伴い、巷では相続対策のセミナーをよく見かけるようになりました。

相続対策としては様々な方法がありますが、生命保険で備えることは非常に大きなメリットがあるためセミナーでもよく話題になっているようです。

相続対策の大きな点は

1)相続税対策

2)“争族”対策

の二つが挙げられます。

生命保険で行う対策として、1)については、相続が発生した際に保険金で準備するという方法です。

実際にいざ相続となると不動産や株券などすぐに現金化できないものも多く、相続税を納めるために金融機関からお金を借りなければならなかった・・・・というのは本当によくある話です。

生命保険で備えておけば、納税資金に悩まされることはありません。

また、複数の相続人がいる場合、2)のようになることが非常に多く見られます。

私の複数の近しい人たちでも実際に何度もありましたので、決して珍しいことではありません。

そのような場合に備えて、複数の生命保険に加入して各相続人を受取人にすることで相続時のトラブルも抑えることができます。

保険種類ごとに保険会社を変えることができる

日本には、複数の生命保険会社が存在します。

それらの会社が販売している商品はそれぞれに特徴があります。

医療保険の保障内容がすぐれている商品や保険料を低く抑えている商品、貯蓄機能に特徴がある商品や外貨建て商品が得意な会社など、中身が非常に多岐にわたっています。

お客様の意向も一つだけではない、例えばがん保険に加入したいけど将来に向けて資産も殖やしたいと考えているときに、希望する機能の保険を比べた結果一つの保険会社ではカバーできないということはよくあります。

そういった場合には、それぞれの目的に合ったものの中で最もご意向に合ったものを選ぶことでメリットが大きくなります。

複数の生命保険に加入するデメリット

ここまではメリットについてお話ししてきましたが、もちろんデメリットもあります。以下のこともよく理解して加入しましょう。

手続きが複雑になる

複数の保険に加入しているのですから当然手続きも加入している数だけ出てきます。

例えば引越しをされたとき、ひとつ(若しくは1社)の保険であれば手続きは一度で済みますが、複数の場合はそれだけ煩雑になります。

他にも、複数社の医療保険に加入している場合、入院して手術したあと保険会社に給付金を請求する際の診断書を複数用意しなければなりません(1枚をコピーで対応してくれる保険会社もあります)。

こういった時の為にも、複数社の加入であっても信頼のおける一人を担当者にされた方が良いでしょう。

保険金・給付金の請求漏れ

上記にも通じることになりますが、複数の医療保険の給付金を請求する際に請求漏れが起きることがあります。

ほとんどの場合、ご連絡はお客様から入院前にいただきますが、請求自体は退院後に診断書を医療機関から受け取ってからしか出来ないため、複数の保険を請求しようとすると医療機関に診断書を渡してなかったり、そもそも加入を忘れていたという例もあります。

こういったことを防ぐためにも、信頼のおけるプランナーに管理してもらうことが重要です。

加入状況を把握しきれなくなる可能性がある

これもよくある話ですが、お客様が“自分が何に入っているかわからない”と言われることがあります。

複数に入っているから、というだけではないのですが、毎年契約内容の確認で保険会社が書類を送付した後で“こんなのが来たけどこれなんだっけ?”とご連絡いただくことがあります。

当然、どういった保険で目的は何だったかを詳しく伝えるとすぐに思い出してもらえるのですが、やはり複数加入されていると送られてくる書類も多くなりますので、このようなことは少なくありません。

私の場合、複数加入されているお客様にはご希望に応じ加入状況と目的を定期的に確認させていただいております。

まとめ

ここでは、保険種類に応じて複数加入されるメリットと、デメリットに対する対応についてお話ししてきました。

生命保険は商品開発が絶えず続けられて、機能も複雑化し多岐にわたるようになりました。

お客様の希望に沿うためには複数の保険を考慮することが必要になっていますが、一方で複雑化することによってお客様は保険に対してより“わかりにくい”イメージを持たれてしまいます。

しかし生命保険を上手く活用することで経済的な保障を得られたり、将来への備えができますので、是非一歩踏み出してください。

いずれにせよ、保険の加入には信頼のおけるプロのファイナンシャルプランナーに相談するということが一番重要になってきます。

皆様の明日が幸せでありますように。

執筆者

武宮 英樹(ファイナンシャルプランナー)

1994年大学卒業後、医療機器商社へ入社。開業コンサルタントとして、ドクター・薬剤師の方々の独立支援に一貫して従事。13年間、そこで培った医療法人の経営、医療関連の知識、そして長きに渡る実父母の介護、様々な経験より、ファイナンシャルプランナーへの道へ導かれる。2007年、外資系生命保険会社に転職。更に飛躍すべく2014年より現職へ。「知っているのと知らないのとでは大違い」を合言葉に、「リスクマネジメント」と「資産形成の必要性」を一人でも多くのクライアントへ伝えることをモットーとしている。
■保持資格:トータル・ライフ・コンサルタント
この執筆者の記事一覧
プロフェッショナルの
ファイナンシャル・プランナーに

無料保険相談!
ほけんペディアを運営する、アイ・ティ・コンサルティング(ITC)は、
国家資格をもった50名以上のファイナンシャルプランナーで構成する保険技術者集団であり、
ファイナンシャルコンサルティングを基本手法とする独立系保険代理店です。
保険のことでお困りのことがありましたら、
お気軽にご相談ください。