民間保険に所得を保障するような商品はある? 所得補償保険とは

生活

突然の病気やケガなどで働けなくなった時、収入が無くなると大変困りますよね。住宅ローンの支払いは待ってくれないですし、家族が生活できなくなるかもしれません。

そんな時に国の制度として労災保険や傷病手当金などがありますが、民間の保険で何か所得を保障出来るようなものがあるとより安心ですね。損害保険会社において「所得補償保険」と言われる商品がありますが、必要なものでしょうか。

民間の所得補償保険を加入する前に、国の社会保障制度からどれだけ保障を受けられるかを理解してから加入するか、しないかを検討しても決して遅くありません。今日は、社会保障制度と所得補償保険の必要性について、一緒に考えていきましょう。

所得補償保険ってどういうもの?

所得補償保険とは、病気やケガなどが原因で働くことができなくなり、収入が減ってしまった時に不足分をカバーする保険です。

国の社会保障制度から、どんな保障を受けられる?

それでは実際に病気やケガで働けなくなった場合、国の社会保障制度から、どのような保障を受けられるか考えていきましょう。

公務員やサラリーマンの方達の場合

業務中のケガや病気が原因の場合、労災保険から休業補償給付金が給付基礎日額の60%支給されます。

業務外のケガや病気が原因の場合、社会保険の傷病手当金から平均所得月額の2/3を4日目~最長1年6か月まで支給されます。

なお、労災保険は業務中、傷病手当金は業務外のケガや病気が対象となりますので、労災保険と傷病手当金を同時に受け取ることはできません。

また、後遺障害が残った場合、障害等級や家族構成により障害基礎年金と障害厚生年金が支給されます。

自営業・フリーランスの方達の場合

公務員やサラリーマンの方達と違って、傷病手当金はありません。
また、障害厚生年金もなく、労災保険も特別加入をしていなければ、受けられる保障はありません。
つまり、働けなくなったらその分、収入が減ってしまいます。

※参照元
厚生労働省:「労災保険休業補償給付金の請求手続」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040325-13.html
全国健康保険協会:「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139
日本年金機構:「障害年金」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html

就業不能保険や収入保障保険との違い

所得補償保険と就業不能保険や収入保障保険、名前は似ていますが大きな違いがあります。
その違いについて考えていきましょう。

所得補償保険と収入保障保険の違いとは

所得補償保険と収入保障保険、名前は似ていますが、実は全く違う保険です。

所得補償保険は、病気やケガで働けなくなった時の収入減をカバーする保険で、ご自身が保険金を受け取ります。

それに対して、収入保障保険は死亡または高度障害になった時に家族の生活費をカバーする保険で、保険金は遺族が受け取ります(高度障害時の受取は被保険者です。)

所得補償保険と就業不能保険の違いとは

所得補償保険と就業不能保険は、内容はほぼ同じです。

どちらも病気やケガで働けなくなった時に保険金を受け取ることができますが、細かな違いがあります。

所得補償保険は損害保険会社が販売しており、一般的に1年~2年の短期の補償で、保険料は更新毎に上がっていきます。

就業不能保険は生命保険会社が販売しており60歳や65歳までの長期の保障です。

所得補償保険と比較して保険料は割高ですが、更新毎に上がることなく契約時の保険料のまま一定です。

所得補償保険に加入するメリット

所得補償保険に加入する最大のメリットは、働けない状態になっても収入がゼロにならないことです。

また、多くの方が加入される医療保険では、治療により入院や通院を行った場合に保障され自宅療養では保険金を受け取ることができません。

ところが、所得補償保険は就業不能と診断され免責要件に該当しなければ、たとえ自宅療養であっても保険金を受け取ることができます。

例えば、うつ病で就業不能と診断されて仕事ができなくなり、入院しないまでも自宅療養を余儀なくされた場合であったとしても、精神疾患(うつ病)が免責要件ではない所得補償保険に加入していれば、保険金を受け取ることができるのです。

さらに個人で受け取った保険金は非課税で、その使い道は自由です。いかがでしょうか。

※参照元
国税庁No.1760所得補償保険金を受け取ったとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1760.htm

所得補償保険に加入するデメリット

所得補償保険は基本的に掛捨てです。中には20%の無事故戻し金があるものもありますが、何もなければ支払った多くの保険料は返ってきません。

保険金を受け取ることができない免責期間や、保険金支払い要件が保険会社によって規定が異なりますので、十分注意する必要があります。

所得補償保険の加入に向いている人

貯蓄が豊富で収入が減っても困らないという方には所得補償保険は必要ありません。

しかしながら、そうではない方、特に自営業・フリーランスの方達は所得補償保険の加入を検討しても良いかもしれません。

自営業・フリーランスの方達は、サラリーマンや公務員の方達と違って、傷病手当金がありません。

労災保険も特別加入していなければ保障されませんし、障害厚生年金もありません。

国の社会保障の範囲の狭い自営業・フリーランスの方は、民間の所得補償保険の加入に向いている人と言えるでしょう。

むしろ、傷病手当金のない自営業・フリーランスの方達向けに開発されたのが所得補償保険なのです。

専門的な技術や技能、資格で商売をしていて、自分が倒れてしまったらお店を開けることができない業種・業態の事業主の方、例えば開業されているドクターや弁護士、税理士などの方達であれば、所得補償保険は大変心強い保険と言えるでしょう。

まとめ

社会保障制度と所得補償保険の必要性、就業不能保険や収入保障保険との違いについてご紹介しましたが、いかがでしょうか。

所得補償保険と就業不能保険は、病気やケガなどで働けなくなった時の収入減をカバーする保険です。

収入保障保険は死亡や高度障害時の生活保障を目的としています。

みなさんの働き方によって、国の社会保障制度でカバーされる範囲が大きく異なりますので、所得補償保険が本当に必要なのかどうか、保険金額や保険期間をどのように設定すれば良いかなど、信頼できるFPに相談されてみてはいかがでしょうか。

執筆者

梶野 俊太郎(ファイナンシャルプランナー)

東京都足立区に住む、旅行とサウナが趣味の2児の父親。平成12年AIU保険会社入社。平成16年全ての基準を達成し法人代理店として独立開業。生命保険、損害保険代理店経営を経て、現職へ参画。1,600件以上の事故処理の経験を柱に、常にお客様に寄り添うコンサルティングサービスを提供し、提携先や法人個人の数多くのクライアントから絶大な信頼を獲得。誠実に一生懸命をモットーに保険を通してお客様の満足の創造を目指します。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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