がん保険の解約の注意点とは? 解約返戻金は受け取れる?

がん保険

これまで続けてこられたがん保険。
家計状況や心境の変化などにより中途解約を検討されることがあると思います。
実際に解約する前にどのような問題があるのかについて知っておきましょう。

がん保険の中途解約で注意すべきこと

「自分はがん家系ではない」、「何だかんだ健康だ」などの考えから、必要ないと思われるかもしれません。

家計の状況変化などやむを得ない事情もあるかもしれませんが、経済的に厳しい方こそ、保険機能が必要な場合もあります。

ここでは、がん保険を中途解約する場合のデメリットなど、注意点を見ていきたいと思います。

がん保険の保障が受けられなくなる

第一には、がん保険を解約すると、当然ですが、それ以降に保障を受けられなくなります。

がんは、いまや日本人の2人に1人が掛かる※1国民病とも言われており、大手先進国では、欧米などはがんによる死亡率が下がっているのに対し、日本だけが上がっているとも言われます。

要因は様々ですが、がんは細胞の病気のため、長生きすれば罹患の確率は必然的に高くなり、長寿社会になるとがん家系云々の問題ではなく、誰しもが掛かる可能性があります。

また、ほかの疾病と比べて治療費が嵩み易く、治療期間も長期化しがちです。

一旦解約した後に、健康状態が危ぶまれ、がんかもしれないから入り直そうと考えても、がん保険には90日間の待機(免責)期間があるため、保険契約を出来ても、実際の保障開始は90日以降となり、その間に本当にがんであると診断されても、保険適用されません。

※1. 国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」(全国がん罹患データ(2018年))
  https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

新しい保険に入れない可能性がある

がん保険に加入する際の告知項目は「今までにがんに掛ったことはあるか?」という聞かれた方をすることが多く、手術や抗がん剤投与などの治療を終えても、その後の経過観察のための検査、診察が続いていると再加入は難しいです。

またそれらを終えてからも、さらに5年以上経過していないと加入しづらい現状があるため、一旦がんと診断されますと、新たにがん保険に加入するのはとても困難です。

さらに申し上げると、がんでなくても、ポリープや筋腫などの症状が出た段階で加入しづらくなる場合もあります。

がん保険で解約返戻金は受け取れるのか

上記のことを踏まえた中でも、やはり解約される場合についてみていきましょう。

受け取れる解約返戻金の目安

がん保険には積立タイプと掛け捨てタイプがあり、タイプによって解約返戻金は異なります。

個人向けのがん保険は、多くの場合で掛け捨てタイプとなり、解約返戻金が無いか、あったとしてもごくわずかです。

一方、積立タイプの場合は、商品および契約の継続期間などにより、解約返戻金の割合は大きく変わってきます。

それまでに支払った保険料に対して半分程度しか戻ってこない場合から、100%近く戻る場合もありますので詳しくは担当者やカスタマーセンターにご確認ください。

また、法人向けのがん保険は積立タイプであることが多く、払い込んだ保険料に対して8割~9割と戻る場合もあります。

解約返戻金を受け取れるタイミング

解約返戻金は、解約関連書類が保険会社に到着し、不備なく受理されてから数営業日後には指定の口座に着金するのが一般的です。

がん保険の中途解約に適したタイミングは?

掛け捨てタイプは、特にタイミングを計る必要は無いと思いますが、積立タイプの場合には解約返戻金の状況も加味した方がいいかもしれません。

一方、契約の見直しによる新規切り替えをするために前契約を解約する場合は、90日間の待機(免責)期間に十分に注意した上で解約処理を進めてください。

がん保険の解約手続きの方法

最後に、具体的に解約を進めるための手順を確認したいと思います。

必要書類

一般的な必要書類は、以下となります。
①解約申請書類 
②保険証券
③身分証明書(本人確認書類)
など

また契約時に使用した印鑑も必要となることがありますので、こちらもご用意ください。

手続きの手順

手続きの手順としては、
①担当者やカスタマーセンターへ連絡いただき、解約申請書類を取り寄せてください。
②手元に関連書類が到着しましたら、
→必要事項(ご署名や解約返戻金がある場合には、振り込み先口座情報など)をご記入
→ご署名、契約印の押印
③解約申請書類とともに、保険証券の返送が必要となる場合がありますので準備してください。
④保険証券を紛失されてしまった場合など、身分証明書(本人確認書類)の写しの提出を求められます。その場合、免許証やパスポート、健康保険証などをご用意ください。免許証やパスポートといった写真付きの身分証明書(本人確認書類)であればベストです。

念のためですが、電話をしただけでは、まだ解約したことにはなりません。上記関連書類一式が保険会社へ到着し、不備なく受理されてはじめて解約となります。

まとめ

解約手続き自体は難しいものではなく、手続きを進めてから数日で解約でき、解約返戻金がある場合も数営業日後には指定口座に着金します。

現在、がん検査の研究はものすごく進んでおり、近い将来、血液一滴や尿一滴で初期のがんから発見できるようになります。

そうなれば、がん保険の活躍の場は広がり、費用負担を抑えて初期段階でがんが治る機会も増えてくると思います。
なので、改めて本当に解約してしまっていいのかを慎重に考えた上でご決断ください。

執筆者

杉村 和哉(ファイナンシャルプランナー)

東京都杉並区で生まれ、幼少期をニューヨークで過ごし、帰国後は茨城の大自然で育つ。2人の娘の父親。メーカーの国際営業として社会人をスタートしたが、人生をより豊かにしたいと金融の勉強を独学で始め、30代後半で大手外資系金融へ移り、FP資格を取得。大手ハウスメーカー提携FPとして、住宅購入資金・返済計画の個別相談を受けつつ、ライフプランをもとに教育、老後、将来の夢の実現に向け、経済的解決策をアドバイス。『話す』より『聴く』をモットーに、延べ1,000世帯以上をコンサルティング。趣味は、学生時代より30年以上続けるバンド演奏、キャンプやトレッキングなどアウトドア活動、ヨガなど。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格相続診断士
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