よく、テレビCMで観る「共済」、いくつか種類があるみたい、でも、あまりその違いが分からない……
それに、生命保険ともどのように違うのだろう?
ここでは、共済の説明と生命保険との違いを解説していきます。
共済とは
共済とは、「相互扶助の精神」で成り立つ、助け合いの仕組みです。
万一の保障の種類としては、生命に関する保障(死亡・入院)に加え、自動車・火災・賠償責任の補償などがあります。これらの共済商品に加入したい人は、それぞれ組合に出資金を支払い、組合員となる必要があります。
これらの商品の特徴としては、見舞金的性格が強く給付金額には限度があり、1年更新の掛捨て型もしくは10年更新型と定期タイプが一般的です。また、組合連合の毎年の決算で剰余金があれば、割戻金として返されることも特徴の一つとして上げられます。
主な共済
まずは、主な共済の運営母体を見ていきましょう。
全労済
全国労働者共済生活協同組合連合会
設立は昭和32年9月
主な商品:こくみん共済、住まいる共済、マイカー共済
全労済のホームページによれば(2016年度数字)
契約件数:3,217万件
総資産:3兆7,187億円
支払余力比率:1,661.2%
都道府県民共済
各都道府県民共済の元受団体は、全国生活協同組合連合会
設立は昭和46年12月(首都圏生活協同組合連合会)
都民共済(東京都)、道民共済(北海道)、府民共済(大阪府・京都府)、全国共済(神奈川県)、その他は、県民共済の名称で取扱われており、全国47都道府県のうち、沖縄、佐賀、愛媛、高知、徳島、鳥取、福井、山梨の8つの件では、取扱われていない。
全国生協連のホームページによれば(2017年度数字)
加入件数:2,144万件(2018年3月)
資産合計:8,594億円
コープ共済
日本コープ共済生活協同組合連合会
設立は昭和59年(日本生活協同組合連合会)
コープ共済のホームページによれば(2016年度数字)
加入者数:852万人(CO・OP共済 7商品加入者数)
総資産:3,580億円
支払余力比率:1,235.6%
JA共済
全国共済農業協同組合連合会
設立は昭和26年
JA共済のホームページによれば(2016年度数字)
生命総合共済加入件数:2,200万件
総資産:57兆7,651億円
支払余力比率:898.5%
生命保険と共済の違い
「相互扶助の精神」で成り立つ、助け合いの仕組みという観点においては、生命保険と共済は共通しております。
ただ、共済は助け合い色彩が濃く、保険は自助の精神を基本としております。
それぞれの事業の監督官庁は違い、そのため、守るべき法律も相違しております。
生命保険会社の監督官庁は金融庁で、保険業法に業務内容や規制や罰則などが定められております。
全労済、都道府県民共済、コープ共済は厚生労働省の監督のもと、消費生活協同組合法が協同組合に対する監督について定められております。JA共済は、農林水産省の監督で、農業協同組合法となります。
共済のメリット・デメリット
入るなら「共済」? それとも「生命保険」? ここでは、「共済」の一般的なメリット・デメリットをしっかり確認しておきましょう。保障の必要性は人によって違う、商品選びは価格だけに惑わされず、慎重にしたいところですね。
メリット
郵便受けを開けたら、共済のパンフレットや申込書類の入ったダイレクトメールがあった。どこの家でも経験があるのではないでしょうか?
皆さんの中でも、このダイレクトメールで、共済に加入した方もいることでしょう。やはり、共済のメリットの一つは、この手軽さではないでしょうか?
掛け金の安さ、年齢や性別に関係ない一律の保険料、これらの特徴は分かりやすく、重ねて、手続きが手軽るとくれば、最低限の保障だけを備えるには便利かもしれない。いわゆる定期タイプと言われる商品が多いので、保障が必要な期間が明確な人にとってみれば、比較的安い掛金で安心が買えるのかもしれません。
もちろん、一般的な生命保険のように職員との面談が申込に必要がある共済もあるし、年齢や性別により保険料が高くなる共済もあるので、ここは確認が必要です。
デメリット
メリットの反面、しっかりとした死亡保障が必要な方にとってみれば、共済が提供する死亡保障、見舞金程度では不十分です。子供が誕生したばかりで、ライフプランから生命保険の必要保障額を算出したところ、数千万円の保障が必要な場合も少なくありません。
共済商品の多くは掛捨て型タイプですが、中には、数千万円の必要保障額に対して、貯蓄性のある保障商品を選択したい方もいるでしょう。やはり、貯蓄性のある商品となると、共済では選択肢がとても少ないです。また、保険会社が破綻した時には生命保険契約者保護機構による補償があるが、共済は機構へは未加入です。
まとめ
自分は、生命保険と共済のどちらを選ぶべきか分からない、自分に必要な保障とは何か? なかなか自分では難しいと思う人は、やはり専門家のファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。
執筆者
橘 美穂子(ファイナンシャルプランナー)

■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格